五輪プレシーズンに2人の世界女王の帰還

先日、安藤美姫、キム・ヨナの二人の世界女王経験者の復帰が発表されました。

この2人のニュースに関しては様々な温度差を持って受け止められているようだな、と思います。ただ、一旦トップに立ったアスリートが、さらにもう一度モチベーションを高め復帰してくる、ということは非常に大変、かつ素晴らしいことだと思います。
それが解っているからこその、安藤さんはヨナへの称賛、というかエールの言葉を発表したのでしょう。

特にヨナの復帰についてはなぜ今になって?と訝しがる声もあるようですが、フィギュアスケートシーズンの開始は毎年7月1日から。シーズンインの1日が日曜でしたから週日である翌日の2日に会見を指定したわけで、なんの不思議もないと思うんですよね。
プロ野球の自主トレ解禁日、もしくはキャンプインの日に選手が今年の抱負のインタを受けるようなものです。

そして、ソチ五輪シーズンでなく、プレシーズンである今年に復帰を表明した、というのにも彼女の並々ならぬ覚悟が伺えます。現在、韓国女子選手ではヨナの跡を継いでゆける、という選手は残念ながらまだまだ育っていません。今年彼女が戻ってこなければならなかったもうひとつの理由は、複数の五輪枠の確保です。今季のワールドで1桁順位を確保しておけば、自分ともう一人の後輩選手の枠を取ることができます。
前年のワールドで決まる五輪枠はたしか15カ国(開催国は除く).残りの枠は五輪開催年の予選で決定されます。(だいたいシーズン初頭に行なわれるネーベルホルン杯かフィンランディア杯)←この場合は国に与えられるものなので1つのみ

バンクーバーで復帰したランビエールがまさにこのケースでした。スイスは前年に五輪枠をとることができなかったため、彼は五輪予選となったネーベルホルン杯に出場し優勝しスイスの国としての五輪枠を確保、そしてユーロに出場してワールドのミニマムスコアをクリア(五輪はISU選手権ではないので、本来はミニマムスコアは必要ないのですが、スイススケ連がランビエールにクリアするよう言った、と聞いています)、バンクーバー出場へといたりました。


そしてもう一つヨナと安藤さんにとってワールド出場の大きな壁となるのは、予選廃止に伴うミニマムスコアの引き上げです。
これは、ISU選手権の格を保つため、とも言えるルールで、前年シーズン、もしくは当該シーズンにこれだけの記録を出していなければならない、というのが各カテゴリーごとにSP,FSのTESが何点以上、と定められています。(陸上などの「標準記録」と考えていただけるとわかりやすいかと)

2011-2012シーズン成績によるミニマムスコア到達者


ヨナと安藤さんは2011-2012シーズンのISU公式戦の記録がありませんから、最低でも4CCまでに1つカレンダーコンペに出て、ミニマムスコアを出しておく必要があります。(4CCのミニマムスコアまでしか出せなくとも4CCでワールドのスコアに到達すればOK)

安藤さんはGPSの出場が決まっていますのでそれのどちらかで達成すればいいわけですが、ヨナの場合、カレンダーコンペのどれかでこれをクリアしなければなりません。

様々なブログやコメントを読むと、
「メダリストがB級マッチ(カレンダーコンペのことをGPSやISU選手権と区別してこう呼ぶ)なんてプライドが許さないんじゃないの?」
という声をよく聞きますが、シーズン初頭のコンペで新プロの試運転をしつつジャッジの感触を確かめながら調子を上げてゆく、というのは当たり前の調整法です。
また、B級マッチ、という語感からか、いかにも地方の小さな大会、ドサ周りという誤解が多いようですが、NHK杯に負けず劣らずの歴史を持つコンペも少なくありません(というより、GPSが発足するまでは、NHK杯もこういったカレンダーコンペの1つだったのです)

また、おととしからのGPSの人数の削減のために試合数の減った選手たちがカレンダーコンペに出場していますから、かなりレベルは高いものとなっています。正直、欠場者のでたGPSより魅力的なエントリーメンバーが揃う大会も稀ではありません。
GPSでクリアしようが、B級マッチでクリアしようが同じことです。

例えばこれは昨年のネーベルホルン女子リザルト

長洲未来、エレーネ・ゲデヴァニシヴィリ、ヘルゲソン姉妹、サラ・ヘッケン、クセニア・マカロワ・・・そうそうたるメンバーです。

そして、今年はルールの変更もありますから、プログラムの試運転、としてGPS出場者の中でもかなりの人数がネーベルホルン、フィンランディア、クープ・デ・ニース、NRW杯、といったカレンダーコンペに流れるものと思われます。
そんな中にヨナがいたとしても何の不思議もないと思います。

ただ、私が不思議に思うのは何故ヨナが戻ってくることを叩く人がこれ程も多いのか?ということです。
古くはリレハンメル五輪のトーヴィル&ディーン、カタリナ・ヴィット、ヴィクトール・ペトレンコ、ブライアン・ボイタノといったプロ復帰組、最近ではバンクーバーのランビエールやプルシェンコ、彼らがアマチュア競技の休止期間をおいて大会に帰ってきたとき、これほど口を極めて罵り叩く人がいたでしょうか?



正直私はプルシェンコのバンクーバー復帰の際の振る舞いに関してはちょっと・・と思う部分もありましたが、大多数の人々の意見は「おかえりなさい!帝王プル!」といったものだったと思います。

もちろんアスリートとして頂点を目指して欲しいですし、彼女自身もそうありたいと思っていると思いますが、例えヨナが「入賞できなくてもいい、最後の選手生活の思い出に」とソチ五輪を選び、後輩選手と共に出場するのであれば、それは次回の平昌五輪を控えた韓国にとって大きな財産となるでしょうし、彼女の人生の大きな糧となると思います。

リレハンメルで、もう自分の時代は過ぎた、とわかっていても挑戦したカタリナ・ヴィットのように。
2大会連続の五輪女王の見せてくれたものは、10年前のサライェヴォ五輪ではセカンド3Tを含む複数のトリプルジャンプを披露し、まさに「技術の女王」だった彼女が成熟した女性へと変貌を遂げた姿でした。




ぽちよろしく、更新のモチベになります
にほんブログ村 その他スポーツブログ スケートへ
にほんブログ村

こちらも
blogram投票ボタン
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【 五輪プレシーズンに2人の世界女王の帰還】

先日、安藤美姫、キム・ヨナの二人の世界女王経験者の復帰が発表されました。この2人のニュースに関しては様々な温度差を持って受け止められているようだな、と思います。ただ、一...

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
最新コメント
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
スポーツ
189位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ウィンタースポーツ
19位
アクセスランキングを見る>>
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

拘りと屁理屈
検索フォーム
カテゴリ
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR