勝負は時の運 ―道具と人間

もうじきフィギュアスケートの世界選手権がフランスのニースで行われます。

思い出すのが昨年の高橋君の「靴のビスが外れた」一件です。

Daisuke Takahashi WORLD2011 FS

期待されていた選手に起こったハプニングなだけに、様々な論議を呼びました。この動画の中でも杉田さんが「めったにないこと」と言っておられますが、ひとりのスケーターがその選手としての寿命のうち、起きるか起きないかの事故、であることは確かです。でも、決してありえない事故ではない。だからこそ、それを防ぐために選手やコーチたちは気を配るわけです。

ただ、人間が道具を使ったスポーツをする以上、どんなに注意していたとしても思わぬ破損や故障、というのは起こり得ることです。当時、「自己責任」とか、「整備を怠った」といった声もいくつか見かけましたが、そんなに簡単に言って欲しくない、と思いました。
実際、男子の3Aやクワド、といった高難度ジャンプの着氷の際はトン単位の重量がかかるわけで、しっかりとした手入れをしておかなければ選手生命に関わる、というのは選手自らが一番知っていることだからです。

にも拘らず起きてしまった。それも、ワールドという大舞台で。これは不運としか言いようがありません。
あの時、正直、高橋君には申し訳なかったですが、他の滑走者に影響が無くてよかった、と思いました。

靴のトラブル、と言って思い出すのはリレハンメル五輪の男子テクニカルプログラム(現ショートプログラム)です。ボイタノやペトレンコ、といったプロからの復帰組もいて、非常に楽しみな五輪でした。

ペトレンコの滑走の前に滑ったのはエストニアのマーカス・ハーネッツ。
マーカス・ハーネッツ(Margus Hernits )
Markus Hernits (EST) - 1994 Lillehammer, Men's Technical Program


滑走中にブレードのビスが外れてしまったハーネッツの演技後、係員たちがビスを拾い集める間、氷上で待っているペトレンコ、そして拾い集められたビスが映っています。
Viktor Petrenko (UKR) - 1994 Lillehammer, Figure Skating, Men's Technical Program


エストニアはソ連崩壊によって独立した国ですから、エストニアとしての五輪は初参加でした。このハーネッツも、ウクライナ代表として参加したペトレンコも、元々は同じソ連の選手であった、というのもまた運命のようなものを感じます。

この演技で、ジャンプにミスが出てしまい出遅れたペトは最終的に4位。もしこのハプニングがなかったら?
ひょっとしたら彼はカルガリー、アルベールヴィル、リレハンメルと、3大会連続のメダルを取っていたかもしれません。
ただし、これはあくまでもタラレバに過ぎません。同じプロ復帰組のボイタノもTPでコンボミスしていますし、ベテランのカートも同じくジャンプの失敗で出遅れました。ペトにも同じことが起きなかったか、とは決して言えはしないのです。
ただ、やはり傍から見ている人間には、あそこでスムーズに演技に入れていたら・・・と、どうしても思ってしまうのです。


そして、最近では今年のNHK杯のコンスタンチン・メンショフのFS.
2011 NHK Konstantin Menshov LP


ミスが多く、どうも彼らしくない、と思っていたら、大会後、振付師のグリンカ女史から、
「ブレードのビスが破損していた」ということが発表されました。SPで素晴らしい演技をしていただけに、完全な状態で滑れていたら・・と思います。

けれども、どんなスポーツの選手でも、体調、道具の状態、リンクやピッチ、グラウンドの状態が全て完璧な中で試合ができる、というのはほんとに奇跡に近いでしょう。

だからこそ、「勝負は時の運」という言葉があるのですし、さまざまなトラブルやアクシデントの中でも自らの力が発揮できる、そんな選手が本当に強い選手なのだろう、と思います。

もちろんトラブルがないに越したことはありませんが、ワールドに出場するすべての選手が何事も無く持てる力を存分に発揮できる大会であって欲しい、と祈りたいです。

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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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