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セルゲイ・ヴォロノフ 旧採点と新採点の狭間をゆく―

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(NHK杯FSより)

昨日の「セリョージャは旧採点の人」ツイに思いのほかご好評いただいたので、まとめてみました。


+++

セリョージャは良くも悪くも「旧採点の人」なのであろうと思います。

旧採点プロの多くは、これからジャンプー、ここからステップー、という感じで個々のエレメントが独立して存在していて、それが石垣のように組み上げられてひとつのプログラムを構成していました。が、今要求されているものはそれとは違うのです。

プログラムは川の流れのように一体化して、その中に絵の具を落としたように、マーブル模様を描きながら様々なエレメンツが存在しています。淀みない流れ、素人目では目立たないような複雑な分子のつながりの中でプログラムは構成されてゆきます。
言い換えれば、質の良いポタージュのように、丁寧にうらごされて舌触りよく、それでいて元の材料の味を損なっていない。それが新採点におけるPCSとして要求されるものではないかと思うのです。
それに反して、旧採点はエレメンツが素のまま放り込まれ、しかし熟成されたミネストローネのようなものなのかもしれません。

そして、セリョージャがスケートを始めたであろう年代、つまり各エレメンツの基礎を身に付ける年頃は、まだ旧採点の時代であったのです。(セリョージャがスケートを始めたのが’91年、アルベールヴィル五輪の前年です。)
もちろん、旧採点でも、ソヴィエト連邦のファデーエフのように、現在の採点にしても遜色ない繋ぎみっしりのプロを滑る選手はいました。

アレクサンドル・ファデーエフの演技がこちらです。ジャンプミスがいくつかありますが、「繋ぎ」に目を置いたとき、これが一番すごいかなと。1986年のワールドです。


でもそれは少数派で、多くは石垣のようにエレメンツの境目がはっきりとしていました。

例えば旧採点では、ジャンプの直前にステップが必ず要求されるのはSPの単独ジャンプのみでした。しかし、現在ではジュニアでもトップクラスの選手はジャンプの踏み切りギリギリ近くまでステップやMIFを入れてきます。習い始めた幼い頃からそれが習慣付けられているのです。
それに反して、旧採点育ちのセリョージャにはそれができないのです。これは幼い頃に叩き込まれたものの名残だと思います。
これは同年代のビチェンコにも言えます。彼もまた、「旧採点の人」の一人です。
彼もセリョージャと同じように繋ぎがネックになってPCSが上がらない傾向があります。2人とも、1つ1つのエレメントの質は悪くはありません。むしろ基本に忠実すぎるほど忠実です。これといったクセもありません。しかし…です。

この旧採点と新採点の境目はミハルあたりなのかなと思います(ただミハルはチェコ仕込みのツルスケだから例外かもしれません。先輩であるトマシュもそうでしたから)。日本で言えばその境目は無良くんかな・・・?彼もまた繋ぎに腐心していましたね。

また、ロシアは2005年まで国内選手権が旧採点だったのもセリョージャには特に影響しているのかもしれません。

2005-6シーズンのロシアナショナル(ジュニアナショナル?)のセリョージャです。旧採点なのがわかります。


国内選手権は旧採点で、国際試合は新採点で、の二本建てでした。選手や指導者が混乱しなかったわけはありません。
そして、その結果としてセリョージャには旧採点の残滓が奥深く残ったのであろう、と思います。もちろんこれは悪いことばかりではありません。クセのない質の良いエレメンツを彼は持っています。

現在のPBである演技を2つ。
まずSP。今年のNHK杯の「ラフマニノフの前奏曲」


FSは昨年のNHK杯の「サラバンド」です。


正直、コリャダーが初めてナショナルを取った時、ついにロシアにも新採点に合致したスケーターが現れたと思ったものです。
そして、セリョージャが滅びゆく“旧採点”という名の恐竜のように見えてしまったことは否定しません。彼はもうこのまま去っていくしかないのだろうか、というたまらない喪失感とともに、あの時のショックは今でも忘れることができません。

ミハイル・コリャダー 2016 ロシア選手権FS


しかし、まだまだセリョージャは国際大会の第一線で戦い続けています。彼はベテランですから、自らの欠点も知りすぎるほど知っているでしょう。そのうえでまだ、もがき、戦い続けています。どうか少しでも長く、彼の姿を見ていたい。そう思うファンは少なくないと思います。時代に逆行するような演技スタイルを持つ彼ですが、どうか踏みとどまって欲しいと思います。


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プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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