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セルゲイ・ヴォロノフの決断と覚悟 ―デニス・テンから託されたもの

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(坂本清カメラマン撮影)


先日、不慮の死を遂げたカザフスタンのデニス・テン選手にセリョージャが振り付けをしてもらっていたこと、はファンのあいだでは知られていました。が、28日、29日と名古屋で行われた「THEICE2018」において、デニスの追悼のコラボレーションがゆかりの選手たちで行われ、そして第一回公演の際、セリョージャが演じたプログラムがデニス振り付けのフリースケーティングであったことが明らかにされました。
セリョージャは、土曜の第一回公演と、日曜日の楽公演でそのプログラムを行いました。

それについての28日(土)の毎日新聞オンラインの記事です。良記事なのであえて引用は致しません。リンク先に飛んでどうか読んでください。

ボロノフ、今季のフリーに特別な思い

そして、翌日の毎日新聞の朝刊スポーツ面にはこんな記事が載りました。

ボロノフ、追悼の舞 テンさん振り付けの演技

デニスの一件がまだ記憶に新しいとはいえ、こうして取り上げてくださるのは本当に嬉しいことです。それも、海外の選手に、まして、セリョージャ本人にコメントをとって。

私はこの記事を読んだとき、身震いがするのを感じました。

正直なところ、私は彼にこのデニス振り付けのプログラムを滑ってほしい、とは考えていましたが、それは彼にとって余りにも酷な要求のようにも思っていました。だって、切なすぎます。誰もがその演技にデニスを重ねてしまうだろうし、セリョージャにとってもデニスの思い出が蘇ってきすぎて辛いでしょう。私はセリョージャのファンだからつい、彼のことを先に考えてしまうから、不謹慎かもですが…
彼が辛すぎるのならこのプロは封印してもいい、とも思っていました。デニスの遺作となったものだから、見たい、という方は多いと思いますが、これを滑ることはセリョージャの心の傷をえぐるような気がしてならなかったからです。
誰もがそれにデニスを重ね、そして彼を憶う、そんなプログラムを競技プロとして、そしてまだデニスの記憶も生々しい今、滑る、ということはセリョージャにとって余りにも重く、過酷なのではなかろうかと。

でも、彼は「THEICE2018」でこのプログラムを滑りました。MCの方が、
「デニス・テンさん振り付けのフリープログラムです」

その時私は思いました。

セリョージャは覚悟をきめたんだな、と。
デニスの想いを、ファンの悲しみを、そしてそれにともなう様々な雑音や非難も、全てひっくるめて一身に背負うことの。


それは生易しいことではなかったと思うけれども、彼は決心してくれた。本当にありがとう、といいたいと思います。
セリョージャがこのデニスの(結果として)遺作となったプロを滑るということは、まだ生々しいデニスの死を思い出させることにもなるし、多くの人々が彼にデニスの演技を重ねてしまうでしょう。そんな重みを背負って競技プロを滑ることが如何にキツいことか。
素晴らしいものが出来て当たり前、(だってデニスなんですから!)そうじゃなければ、
「デニスの死を利用した売名行為」であるとか、「デニスを使って同情を買おうとしている」とか、いわれのない非難をも浴びかねません。
にもかかわらず、このデニスのプロを世に出すことを決断してくれたセリョージャには、感謝の言葉しかありません。振り付けの際に二人で過ごしたであろう濃密な時間を考えれば、封印したとしても責められはしないでしょう。しかし、彼は再びデニスを活かす道を選んだのです。セリョージャには、そのことにただ感謝したいと思います。

今現在は、というと、「THEICE2018」で滑った段階では、まだ骨組みができたところ、という感じです。デニスの面影を感じさせる部分こそはそこここに見えてはいましたが、前半部分はジャンプ動作のみ、という感じだし(まあ、これはセリョージャのの仕様ではありますがw)トランシジョンもまだまだ不足気味。ただ、セリョージャの魅力である背中の線の美しいイーグルターンをジャッジ前で行った時、ああ、デニス、本当にわかってくれているなぁー、と思い、ゾクゾクしました。
ジョニー評するところの“ワイルドなエッジさばき”、雑に堕さないダイナミックさと繊細さを併せ持つセリョージャと、ノーブルで品のあるスケートが持ち味だったデニス。一見真反対のようにも見えるこのふたりが、お互いの魅力を尊重し合い、ひとつのものに融合させて創り上げたであろうこのプログラム。あとはセリョージャに託されました。これがいかに、高みを目指して完成してゆくのか。本当に楽しみです。

そしてこれが、ただ「デニスを想うプログラム」ではなく、「素晴らしいプログラム、そしてこの作者の凄さに想いを馳せさせるプログラム」としてセリョージャの中で昇華されたとき、初めてデニスは振り付け師として行き続けるのではないかと思います。

そう、セリョージャはデニスを氷上で再び活かすことを託されたのです。

THEICEのパンフレットには、 セリョージャのあだ名がカラスと記されていました。これはおそらくカラスといってもcrowの方じゃなくて、名前(Воронов)の意味が英語のレイヴン(raven,ワタリガラス、大鴉、とも)だからじゃないかと思います。
(ググる先生にセリョージャの記事の翻訳をお願いすると、やたら「レイヴンズ」「ravens」と出てくるのはそのためです(笑)
この鳥は北欧神話では大神オーディンの斥候として登場し、「記憶」と「思考」を司ります。広く世界を飛び回り、様々な世界を巡り、その出来事をオーディンに告げるのです。

デニスの「記憶」と「思考」を託す相手に、これ以上の人物がいたでしょうか。もちろん偶然かもしれません、でもこれはセリョージャの言うように、運命だったのだ、としか思えません。


そして、これがデニスのインスタグラムに載せられていた写真です。
「僕たちはともに素晴らしいことを成し遂げたね!」というようなことをデニスは書いていました。

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おそらく、プログラムが出来上がって、の2人の晴れ晴れとした笑顔です。

このうちのひとりにはもう会うことができないなんて・・・・

デニスの死に関しては、私の中でまだ消化しきれていません。こんなに彼のことが好きだったなんて、自分の中でも思っても見ませんでした。いつか気持ちの整理が着いた時、デニス自身のことも書いてみたいと思います。


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プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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