ルッツは光る―カウンター・ジャンプのダイナミックさ

新採点になって、同じトウジャンプであるルッツとフリップに得点差ができ、その理由として踏み切りの際のエッジに注目されています。そのせいか、スロー再生してエッジエラーか否か、の論議がファンの間でも起きていますが・・・・

このルッツジャンプは私にとって、アクセルの次に好きなジャンプなので、やっぱこだわりがあったりするわけです。ロングエッジなんてどうでもいいじゃん、みたいな声もありますが、やっぱりこの二つのジャンプはまったく違う。エッジの傾き云々よりも、入りの軌道や重心移動自体がまったく違うのです。

ルッツとフリップ、一番の違いは、「ルッツはカウンター・ジャンプである」ということ。
助走してくる際の重心の移動方向と、回転方向が反対になるのがルッツなんです。長めの助走(になる選手が多い)から、内側に切れ込むようにエッジを外側に倒し、カウンターをあてるようにトウをついて跳び上がる。バイクや車を運転される方はイメージ湧き易いかな?
助走のスピードを利用できないですから、回転不足が起きやすい。
フリップはその逆で、回転方向と重心の移動方向が同じ。だから、フリップの方が助走のスピードを回転力に生かすことができるので、とくに非力な女子には跳びやすい。
この動画でかなり詳しく説明されてますが。。



説明役のマイケル・ワイスは元全米チャンプ。トウジャンプ大得意で、クワドルッツをプロに組み込んでたこともありました。1998年アメリカナショナルのマイケル・ワイスのクワドルッツは、おそらく、現在まで、一番成功に近かった4Lzでしょう。
ホント、「見逃してくれよー」といいたいわずかな2フット。ちなみに彼はこの後の長野五輪でも挑戦してます(転倒)
1998 U.S. Figure Skating Championships



ルッツらしいルッツ、というとこれになりますかねぇ・・

ウラジミール・コチン(ソヴィエト連邦)カルガリー五輪SP
Vladimir Kotin (URS) - 1988 Calgary, Men's Short Program


片足を上げた長めの助走から、3Lz-2Loが入ります。この年はSPのコンボのセカンドが2Loと規定されてましたから、なんと3Lz-2Loなんですよね。男子ではダブルといえど今でななかなかお目にかかれないセカンドループ(3連の3rdにちょこっといれる選手はいますが)、貴重です。
そして、踏み切る瞬間、外側に倒れたエッジの内側に照明が当たって光っているのがわかるかと思います。
この光る瞬間!なんといっても私がルッツが好きなのはバシッと当てるカウンターのダイナミックさと、この「光る足元」です!

そしてこれ。ヤマトのルッツもきれいでしたよねえ。
シェルブールの雨傘 田村岳斗 1997年 全日本選手権


3Tとのコンボと、イーグルからと、2本のルッツが入っていますが、撮影角度が違うので比べてみてください。

これは経験者の方から聞いたのですが、わかりやすくいえば、
「両足を肩幅くらいに広げて立って、そのまま足を引いてトウをついて踏み切るのがフリップ、反対の足の真後ろにトウを突いて踏み切る感じなのがルッツ。」
なのだそうです。実際、立ってやってみると自然とルッツの際は外側に、フリップの際は内側に重心がかかるのがわかると思います。そして、結果としてルッツはトウを突くタイミングが狂うと、滑走してくる足でトウをついた足を轢いてしまう、という怪我が起こりやすい。以前のユーロ前のジュベールの怪我(ブレードを反対側の足に刺した、というやつ)はおそらくこれだと思います。

ジャンプ前の長めの助走を嫌う方もいますが、ビッグジャンプに関しては私は好きですねぇ。(まあ、限度もありますが)
「行くぞ行くぞ!」(クワド、3A)
「来るぞくるぞ!」(ルッツ)
て感じで。

とくにルッツの助走は後ろ45度を振り返りながら軽く片足を上げてターンしながら後ろ向きに滑走してくる、あの瞬間がたまりませんねぇ・・・・・。オタ的にいえば、まさに
「見返り美人」
です!
エルヴィスのルッツもダイナミックでかっこいいですが、やっぱり私はコチンのルッツが好きかな。助走の際のスケーティングの美しさも含めて!

1985年世界選手権 ウラジミール・コチン
http://www.youtube.com/watch?v=wwHA_PNphVE&feature=related



そして、女子のルッツで私が大好きなのが彼女、ユリア・セベスチェン(ハンガリー)です。解説の方から、決まって「高い」でもなく、「幅がある」でもなく、「大きい」と評されていた彼女のジャンプ。すばらしいリアルルッツでした。滞空時間もハンパないです。「東欧の伊藤みどり」といわれていたのもむべなるかな。
これは2003年のユーロのFS.



まさに、カウンターを当ててぽーん、と舞い上がってる感じの、大きく、高いジャンプです。
彼女は昨年28歳(!)で引退するまでこのすばらしいリアルルッツを保ち続けていました。彼女のラストシーズンで最もすばらしかったと思うユーロのFS.
Julia SEBESTYEN European Championship 2010 FS


いくつかのジャンプのヌケが残念ですが、大きな3Lzはやはり健在でした。そして、3分過ぎにトリプルからのコンボを成功させてしまう驚くべきスタミナとラストまで落ちないスピード・・
やはり基礎技術の高いスケーターは選手寿命も長いのだ、とつくづく思わされた演技でもありました。

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ストイコと陳露のルッツ

こんばんは!ブログには初めてお邪魔します。
私は男子ではストイコのルッツが超好きでした~。
今の選手に比べて助走が長いんですが、
あの助走がツボだったし、リレハンメル五輪の
着氷したあとでの、フリーレッグをクニっと曲げる所作が
大好きです。そういえばストイコも振り向いてましたね~。

女子では、決してセベスチェンにはかなわないと思いますが、
陳露のこれぞバックアウト―!って感じのカーブから入る
ルッツが好きでした。回転不足になりがちでしたがね。

今、ああいうカーブからルッツを跳ぶ選手、少なくないですか?
長野五輪の頃は、あの跳び方が多かった気がするんですが、
その後、だんだん、跳ぶ前にちょっとだけアウトに傾く跳び方
が多くなってきたような気がします。
あのカーブが好きな自分としては残念です。だからこそ、
今でもあの大きなカーブから跳ぶコストナーとかシズニーの
ルッツが好きですね。

助走の存在感

こんばんは!みゅりえさんいらっしゃいませ!

>私は男子ではストイコのルッツが超好きでした~。

私も好きでした~。だからバロージャを貼ろうか、エルヴィスを貼ろうか実は最後まで悩んだんですw
あの「ドラゴン」で最初の3Lz着氷後、そのままゆっくりと着氷した脚でループを描くところなんか最高でしたね!

伊藤みどりさんもほかのジャンプは「え?助走は?」って感じなのに、「来る来るー」ってかんじで助走の存在感(笑)があったのがLzだった気がします。
あと、ウルマノフのLzも、独特の手の動かし方があって(タイミングを取るクセだったのかな?)うわー、来る来る、って感じで大好きでした。ただ、彼の場合はダブルになりがちだったんですけど。

>今、ああいうカーブからルッツを跳ぶ選手、少なくないですか?

私も思います。新採点になって、TRがいろいろうるさくなったんで、長い助走を避け、ぎりぎりまで要素を詰め込むせいかもしれませんね。

ビッグジャンプの助走はある意味スパイラル並みの魅力、というかわくわく感があると私的には思うので、今の感じはちょっと残念かな、って気もします。
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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