ドミトリー・アリエフ ジュニアチャンプへの扉は開くか ―ロシア選手権男子総括(2)

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(Mikhail Sharov氏撮影)

ロシア選手権男子個人別総括行きます。第二弾はジーマ(ドミトリーの愛称)・アリエフ。
28日のJスポの放映で彼をご覧になった方も多いと思うので・・・・
皆様ジーマ沼に落ちてください!(笑)

ジーマ、といえば膝をついてくるくる回転して跳ぶ3Fがトレードマークですが(ひょっとして彼の名前は知らずともあのジャンプは覚えてる人多いのでは)、彼のジャンプは非常に質が良く、また構えることなく振り付けの流れの中ジャンプを跳ぶことができ、また着氷姿勢も降りたあとの流れもスムーズ、というまさに新採点にドンピシャ!という感じです。ジュニアグランプリファイナル(優勝)では、FSの4TでGOE加点2.00、というジュニア離れした点数を叩き出しました。

今年の彼には、SP、FSともにいいプログラム(途中で変更したFS「仮面の男」も含めて)が揃い、シーズンが非常に楽しみだったわけなんですが、とにかく彼はエッジワークをはじめとするスケーティングスキルがジュニア離れしているのと、感情表現が非常に豊かで、見る人を引き込む力を持っています。その反面、精神的に動揺しやすく、なかなかSP,FSと揃えられない、という傾向がありました。昨期のジュニアワールドが良い例です。ただ、あの時のSPトップ⇒FS大遭難、という挫折を経験したことで、一回り大きくなってくれているんじゃないかとも思っていました。

というわけでSP。
2T / 3A 3Lz-3T

シニアの大会、ということでジャンプ構成を変えて臨んできました。
が、しかし・・・クワドが抜けてしまって単独ジャンプがノーカウント。要素のやり直しがきかないSPとしては大きな失敗です。これで彼は10点近くを失ってしまったことになりますから。アクセルとコンビネーションジャンプは加点付きで降りているだけにいかにも惜しい。苦手のスピンも3つのうち2つがレベル4。各要素の質を上げる、ということを目標に取り組んできた(ルカヴィツィンコーチ談)ということで、頑張りました!
ただ、滑走順が早かったせいか、ちょっと全体的に硬かったかなー、という印象も受けます。それとも慣れていないシニア構成への緊張かな?
ただ、私的には、無理に構成を変えてクワドを入れずとも、ジュニア構成のまま(もしくは単独ジャンプを3Lo⇒3Fにする)でも良かったんじゃないか、とも思うのです。というのは、このジュニア用プログラムが余りにも完成度が高すぎて、ジャンプ構成をいじることによってそのバランスが崩れてしまう気がするんですね。ジャンプ含めエレメンツが流れるようにひとつながりになっているので、ジャンプをいじることによって印象的な部分が省かれたりしてしまうのがとても残念です。
特にジュニア用で入っているスパイラルからの3Lz-3T。シニア用プロではここに3Aが来るので、あの印象的なスパイラルがなくなってしまいました。ほかにもいくつか…。振り付けの完成度自体は高いのに、イマイチPCSが伸び悩んだ、というのはジーマの硬さやジャンプミスだけのせいではなく、こういった部分もあったのでは?と思います。
ちなみにこちらがジュニア構成のSP。(SBを出したJGPF)



そしてFS.
ロシア語のやつを。。。と探したんですが、曲の著作権の関係かミュートになってしまっていて、唯一残っていたのがこの英語解説バージョンでした。
JGPS2大会を終え、リュブリャナの大会でFSで崩れたせいなのか、プログラムを変えてきました。
「曲が僕に鎖で繋がれたようにしっくりきた」とまで言っていた「仮面の男」を何故変えたのか、それはわかりません。ただ、ヤグディンの同プロと結びつけていろいろ言われたりしたのもプレッシャーになったのかな?ただ、ジーマ自身はインタビューで、
「(新プロの曲のように)歌詞があったほうが曲に入り込みやすく、感情表現もしやすい」
と言っていたので、前向きに捉えての決断であったと思います。
このプログラムは最初の大会での披露がパニン・メモリアル(シニア)、次がCSのワルシャワ杯(シニア)そしてJGPF(ジュニア)と来ているので、SPのようなジュニア⇒シニアの不自然さはありません。
また、ジーマ本人の言葉を借りれば
「新しい曲は僕により近くて僕は動きから快感を得ることができ、満足を得ることができ、観客席の一人ひとりの観客の視線を一人占めににすることができ、なんというか、内側から湧きあがるような感情を味わうことができます。この新しい曲では、振り付けのほかに、感情を込めることができます。」
ということなので、ナショナルでも楽しみにしていたのでした。

4T 3A-2T / 3A 3Lz-3T 3Lo(fall 3F 3Lz 2A-1Lo-3S

そして、このプログラムの構成について、クワドを1本にしたことで、「安全策できた」という向きもあるようですが、私はそうは思いません。理由はなんといっても後半6ジャンプ(うち2つはコンビネーション)構成にしていることです。この後半6ジャンプ構成はスキルダとジーマだけ、3A以上のジャンプを持つ選手としてはジーマだけです。これを「攻め」と言わずになんと言いますか!
そしてシニアプロとしての構成(ジュニアより演技時間が長い、コレオシークエンスがある)として滑りきった、ということはやはり肉体的にも精神的にも強い選手である、という証明になったと考えます。男子のFSのジュニアプロからシニアプロへの移行は、我々が考えるよりかなりきついもののようです。シニアに上がった頃の羽生結弦選手が、後半でへとへとになっていたことを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

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「JGPFの疲れが残っていて最善の出来ではなかった」というルカヴィツィンコーチ(写真左)の言葉通り、ジャンプは全体的に着氷がシェイキーで、本来の質ではありませんでしたが、3Loで転倒したほかは目立ったミスはなく、転倒した3Lo付けるはずだった-1Lo-3Sのコンビネーションも2Aでしっかりリカバリーしていましたし、よかったんじゃないかと思います。シーズン序盤で-1Lo-が回転不足になっていましたが、そこもしっかりと修正してきていましたし、彼の代名詞とも言える膝くるくる3Fもしっかり入りました。
着目すべきはステップシークエンスでレベル4が取れていたこと。途中でふらついたのはご愛嬌ですが(その分GOEはマイナスになってます)スピンもレベル3とは言えすべて加点付き。強いて言うならコレオシークエンスのところでちょーっと疲れが出たかな、とも思いますが、全体としてはいい出来だった、と言えるのではないでしょうか。


最後にEX。これはロシアのベテランバンド「リュベー」の曲ですが、ロシアの大地への愛を朗々と歌い上げているものです。
競技では失敗した3連をここで組みこんできました。3Lo-1Lo-3S-1Lo-3S。最後の3Sは回転不足かな?でもおまけしちゃおう!(佐野調w)

EXの中でアクセルを跳ばなかったこと、GPFのEXのフィナーレでも今回のそれでも3Aを失敗していたことを考えると、照明の中でジャンプを跳ぶのはあまり慣れていないのかもしれません。
ゴスペル風の男声コーラスのスローな旋律に、ジーマの豪速でエッジワークの巧みなスケーティングがものすごくあっています。やっぱりスローバラードを活かすのはスピードですね!相反しているようですがこれ、事実です。
ちなみにこの曲の歌詞はこんな感じ(リフレインが多いので大体のイメージです)

漆黒の闇をゆく
俺は愛馬とともに大地を駆ける
夜空には星が美しく輝き そこには俺1人
愛馬と俺だけがこの大地を疾駆する
俺は愛馬に跨りこの大地を駆け抜ける
果てしない大地よ
見ろ、大地に朝が来る
ああ、クランベリー色の朝焼け 
ああ、こんな素晴らしい処が他にあるだろうか
金色のライ麦 そしてカーキ色の亜麻
俺はロシアを愛している
歌え、金色のライ麦よ、カーキ色の亜麻よ
歌え、俺がどれほどこのロシアの大地を愛しているかを
俺は愛馬とともに大地を駆ける…


成績はともかく、SPのミスをFSでしっかりと取り返したこと、またクワド入りのシニアプロを滑りきることができたことで、今回の大会はジーマにとって大きな収穫となったのではないでしょうか。
年明けにはジュニアナショナルが控えており、それを勝ち抜けばジュニアワールドです。彼としては何としてでも昨年の雪辱を果たしたいところでしょう。
焦らず頑張ってもらいたいものです。


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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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