ロシア選手権男子総括 王国復興なるか

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(ライブストリーミングより)

もうはっきり言い切ってもいいでしょう。
3年後には間違いなくロシア男子が世界を席巻する。そして今年がその起点の年となる!と。
いや、今年ワールドで3枠がとれたら、それはもっと早いかもしれません。思えばリーザとアデリナがロシア選手権でワンツーフィニッシュを決めた時、5年後は男子だ!と思ったものですが、ちとそれより時間がかかったかな。
いや、これは単なるファンの欲目ではなくて、ちゃんとした根拠があるのです。
女子に比べて男子は成長の過程もあって、どうしても世界で活躍し始めるのは遅い。それだけシニアの壁が厚い、と言いましょうか。
そして、ロシア選手権出場メンバーの年齢を見てみるとよくわかりますが、セリョージャ(29歳)から下がぽっかりと空いていて、それにドミトリエフJr.(24歳)、コリャダー、コフトゥン(21歳)、シュレポフ(20歳)、ラズーキン(19歳)、サマリン(18歳)、ペトロフ、アリエフ(17歳)と続いています。
こうして見るとわかるように、セリョージャのみが旧ソ連時代生まれ、後の選手はみなソ連崩壊後に生まれてきた選手たちです。ソ連崩壊とそれに伴う経済危機で、多くの人びとが他国に流出しました。その中に有力なスケーターや指導者も多く含まれていました。アルトゥニアン、ズエワなど、現在北米で指導者として活躍している人々の多さがそれを物語っています。また、崩壊を機に独立した周辺国も少なくありません。そこから出てきている有力選手も数多い。
セリョージャのジュニア時代、当時コーチだったウルマノフは、
「この年代(セリョージャたちの年代)の選手をこそ大切に育てていかなければならない、なぜなら彼らは数が少ないのだから」
とことあるごとに訴えていたものでしたが、まさにそれは至言でした。しかし、それも耳を貸さず、旧ソ連時代の遺産、とも言うべきプルシェンコに頼りきっていたが故の男子先細りでした。セリョージャの年代は、ソ連崩壊に伴う経済危機の中で幼少期を過ごしています。当然、子供に習い事をさせたりするゆとりもなかったでしょうし、連盟自体も選手発掘に力を注ぐ余裕もなかったし、指導者の流出で最も大切なノービス、ジュニア期に良い指導が受けられませんでした。その中である意味、セリョージャの存在は、ロシアの救い、奇跡、とも言えるでしょう。
そして今、ソ連崩壊後に育った自国の指導者たちのもとで発掘され、彼らの指導を受けて育ってきたのが、上に名前を挙げた選手たちなのです。

ロシア女子台頭のトップとも言えるリーザは現在20歳。ということを考えると、彼女の同年代の男子選手が台頭してくる。というのも自明の理なのです。

また、今回のナショナルで、本当に新採点がロシアに根付いたな、というのも強く感じました。これは、現役時代を新採点で過ごした若手指導者たちの存在も非常に大きい、と思います。指導者が若い、ということはそれだけ未来がある、と考えても良いのではないでしょうか。

というわけで、上位陣の動画を。親しみやすいように英語解説のものを。おそらく米国向けに放映されたものらしく、選手の紹介も詳しくされています。


ミハイル・コリャダー(優勝) FS 4Lz(fall 4T 3A-3T 3Lz-2T / 3A 3S-2ASeq 3Lo 2A

SP,FSともにトップ、そしてFSのPCSはオール9点台、とまさに揺るぎない演技で優勝。怪我での1年以上の雌伏の時を経て、やっと花開いた感じがします。転倒はしたものの4Lzの質は素晴らしく、これが安定すれば怖いものなし、ですね。

アレクサンドル・サマリン(2位) FS 4T-3T 4T 3A-2T / 3Lz 3A 3Lo 3S 2A

JGPSは2大会とも優勝、ファイナルでも2位、という抜群の安定度で、ジュニアながら表彰台に食い込んできました。コリャダーもそうですが、大崩れの心配がない、というのは非常に頼もしいことだと思います。クワド2本、3A2本の構成。

マキシム・コフトゥン(3位) FS 4S 4T 3Lz-1Lo<-3S / 3A-3T 3A 2Lo<< 3S-2T 2A

SP7位から見事に巻き返してきました。さすがにロシア3連覇、の実力は伊達ではありません。精神力、体力ともに地力がついてきたかなー、と思います。以前のように崩れっぱなし、ということはなくなりました。以上3人がユーロ派遣メンバーです。

アンドレイ・ラズーキン(4位) FS 4T 4T-2T 3A-2T-2Lo 1A / 3Lz-2ASeq 3Lo 3F 3S

予選からの出場組。怪我や不調などでシニアでの実績はほとんどない彼のここまでの躍進を予測した方は少なかったでしょう。いかにも王子様、という風貌と優雅な所作、そしてクワド2本の構成。来期が楽しみです。

ドミトリー・アリエフ(5位) FS 4T 3A-2T / 3A 3Lz-3T 3Lo(fall 3F 3Lz 2A-1Lo-3S

クワド一本ながら、後半6ジャンプ、うちコンボ2つ、という攻めの構成。FSでは4位だっただけに、SPの失敗が惜しまれます。上体の線の出し方の美しさ、早さとエッジワークの巧みさを併せ持ったSSの高さは、シニアに行っても強い武器となることでしょう。彼独自のニースライドから入る3Fも健在。

セルゲイ・ヴォロノフ(7位) FS 4T 3A 4T<+REP 1A / 2Lz 3S 3Lo-2T-2Lo 2A-2T

彼の台乗りはSPの3AとFSの二本目のクワドが鍵になるだろう、と思っていましたが…。二本目のクワドを失敗したことで雑念が入ったかな、その後のジャンプ3連続失敗。これが致命傷となりました。特に彼が得意のサルコウでミスるのは珍しいです。結果としてナショナル今まででの最低順位(これまでは参加初年、2年目の6位)。二年連続で表彰台を逃す、というベテランには厳しい結果となりました。

アントン・シュレポフ(9位) 4Lz<(ft 3A 3Lo / 3A<-1Lo<-3F< 3Lz 3Lz-2T 3S< 2A-2T

彼も予選組。GPSの経験はありませんが、CSでの台乗りは何度か経験しています。ただ、緊張があったのか動きが全体に硬かったですね。もっと美しく所作を見せられる選手なだけに残念です。緊張からくる疲労か、後半目に見えてスピードが落ち、それが跳び急いでの回転不足につながったのでしょうか。来期はロステレの自国枠をラズーキンと争う形になるかな。

というわけで、ロシア選手権は無事終わり、ユーロ派遣選手もスムーズに決まりました。(正直これが一番ホッとしています)
これからユーロ始め、ジュニアワールド、ユニバーシアードと次の試合が控えています。選手たちには怪我なく全力を出しきれる試合でありますように、と心から祈りたいです。


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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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