セルゲイ・ヴォロノフ:「エテリ・ゲオルギーエヴナの所でも、インナ・ゲルマーノヴナの所でも沢山の練習を積まねばならないことに変わりはない」


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(オンドレイ・ネペラ・メモリアル表彰式・男子のみ優勝カップがあるのは、オンドレイ・ネペラ選手の記念大会であるからだと思われます)

セリョージャは、今シーズンの初戦となった、オンドレイ・ネペラ・メモリアルで優勝を飾りました。
シーズン始まったばかりのころのインタで、プログラムについては満足している、特にFSについては。と言っていましたが、まさにその通りでした。
特に腕の動きが柔らかで丁寧で、私は初めて彼の動きから“艶っぽさ”を感じました。
SPからは「静かなる狂気」、FSからは「静かなる渇望」といったものが感じられて、その「静か」さの表現がすごく上手く出来ていたように思います。これはベテランならではのものでしょうか。静かな低音がぐうーっと響き渡り、最後にみなぎり迸るように、とでも言ったらいいかな。

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(Joanna Grams さん撮影、ネペラ杯FS)

衣装は2014シーズンのFSのものを流用していましたが、私はこれでも良い、と思いました。曲に合っていると思いますし・・・・。
これは大会直後のインタビューです。
いつもと同様、ロシア語者の友人にチェックをお願いしました。本当にありがとうございます。m(_ _)m

インタビュアーはタチアナ・フレイドさんです。

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セルゲイ・ヴォロノフ:「エテリ・ゲオルギーエヴナのところと同様にインナ・ゲルマーノヴナのところでもたくさんの練習を積まねばならない」
(訳注:エテリ・ゲオルギーエヴナはトゥトベリーゼ前コーチ、インナ・ゲルマーノヴナはゴンチャレンコ現コーチのこと。2人とも名前+父称(父称は父親の名前から発生した、XXの息子、XXの娘、とういう意味の言葉)呼びで、ロシアでは相手に敬意を払っている際にこの呼び方をします。)


欧州選手権のメダリストであるセルゲイ・ヴォロノフは、今シーズンの初戦となった国際大会である「オンドレイ・ネペラ・メモリアル」において、優勝を飾った。その後彼は、特派員のタチアナ・フレイドの質問に答えた。


F:セリョージャ、おめでとうございます。今シーズン最初のスタートですね。


V:ありがとうございます。しかし僕にとってこれはシーズン初戦ではありません。この前に、ロシアカップのサマーラ大会で既に戦っています。


F:最初の国際大会のスタートですね。


V:国際大会 ― そうですね。
僕は順位には満足しています、けれども出場することは大変でした。2つの国で大会が立て続けでした。僕はサマーラから戻った翌日にはここに飛んできました。そしてその翌日にはショートプログラム・・・
実際には2つの大会の間は1日しか空いていなかったのです。
しかしわかるでしょう、しんどい思いも次に役立ちますよ!おまけにコーチなしでこの大会に参加したんですから。

そしてまず、サーシャ・スミルノフの助けがあったことを強調したいです。彼は僕をとても助けてくれました。
それについて、心の底から彼に感謝しています。そしてなんといっても彼は僕をリンクに送り出してくれました。彼は僕を引っ張り出してくれたんですよ!
僕は、まだ現役の選手が、他の選手にこれほどまでに氷上でやる気を出させることが出来るとは思ってもいませんでした。
これは単なる褒め言葉ではなく、事実です。
もしも全てこのようにうまくいくなら、サーシャの行く末には輝かしいコーチとしてのキャリアが開けているでしょう。


F:では、サーシャは具体的にどんな助けになってくれたのですか?彼はなにか特別なことを言ったのかしら?


V:とても親切に助けてくれました。尊大な態度をとることもなくね。巧みに、男らしく、かつ真剣に。そしてジョークも交えながら。
演技スタート直前に彼が僕に言ってくれた必要なことを、僕はをしっかりと受け止めました。彼が口にした様々の言葉がどのように描き出されたのか、本当にクールでした。
彼は― 偉いです!(訳注1)


F:なぜ、あなたのコーチは来ることができなかったのでしょうか?


V:インナ・ゲルマーノヴナは、既に電話で僕にお祝いを言ってくれましたよ。我々は常に連絡を取り合っています。
彼女がここに来ることができないようにした人は、喜べばいいんですよ。そして何を喜んでいいかわからなくなってがっかりすればいいんです。僕は1位になったんですから。


F:1人きりであるということは、少々大変だったのですか?


V:もちろん、難しかったです。僕は少し前にインナ・ゲルマーノヴナのところに移ったばかりです。我々はサマーラに行ったばかりでしたから。どこに行くのもコーチと共にいました。ソチでのテストスケートでももちろんコーチと一緒でした。

それなのに・・・・何がここで起こったかといえば、僕は誰にも必要とされずにたった一人で放り出されたのです。
ええ、確かに僕は大人のアスリートです。しかし、全てのアスリートは支援、支えを必要としています。誰かが僕の何かを見つめていてくれ、助言を与え、ありふれたことでも言ってもらえる、それは重要なことなのです。決して欠かすことはできません。
しかし、ここに来て頼るべきコーチがいないことが明らかになりました。
1人のコーチは以前門下にいて滑っていた人(男性)でした。2人目も同様です。そして3人目は自分の用事でいっぱいでした。
けれども、結果は素晴らしいものでしたよ!
困難があるときにそれを乗り越えることができたということが、僕にとっては大事なことだったのです。
叩き出したポイントの多寡は問題ではありません。大切なのはいくつもの苦難を克服できたことでした。

僕はもう、だいぶ以前から消し去られようとしています。しかしながら、僕はまだ自分の出来ることをすべてやり尽くした、とは思っていないのです。


F:あなたがサーシャ・スミルノフにリンクサイドにいてくれるよう頼んだのですか?


V:ええ。練習の時に。彼が観客席に座っていたので、僕は行って事情を説明しました。彼は即座に答えて言いました。
「もちろん行くさ!水、ティッシュ、それから何が必要だい?」
僕が試合の時にに氷上に送り出してほしい、と頼むと、彼は愛想よく同意してくれました。
それは馴染みのない、珍しいことでした。 ― 名のある人が、ましてやまだ現役のアスリートが、他の選手を送り出すなんて。


F:それではあなたは、ブラチスラヴァでの演技についてはどう考えていますか?


V:肯定的に評価しています。まず一番には、複数のクワドをクリーンに決められたことですね。二番目は、これだけの困難な状況であったにもかかわらず、二つのプログラムを大禍なく通常のレベルで滑りきることができたことです。もちろん、これが限界であるということはありません。
しかし、緊張を解くことなく練習を続けなければなりません。皆が僕を助けてくれます。僕には素晴らしいコーチとよいグループがあります。


F:あなたは新しいコーチのもとに移籍しましたね。試合や練習に対する備えで何か変わったことはありますか?


V:インナ・ゲルマーノヴナとエテリ・ゲオルギーエヴナは、それぞれ独自のやり方を持っています。
エテリ・ゲオルギーエヴナのところでは、常に手足を絶え間なく動かし、練習に勤しまなければなりませんでした。しかしそれは、インナ・ゲルマーノヴナのところでも同じことです。
おそらく彼女たちは異なるアプローチの方法を持っていますが、実情はなんの秘密があるわけでもなく、いたってシンプルなのです。

一生懸命に練習をするなら、おそらくなんとか形になるでしょう、けれど、もしもコーチを変えて、それが悪かったとか、こんなはずじゃなかったとかいっていたとしたら、うまくいくことはないでしょう。
本当につい最近、僕はこういったことを悟りました。残念ながら、多くのことは年齢とともにわかってくるのです。
何をしなくてはならないのか、どのくらい、どこでどこまで自分を追い込まなくてはならないのか、へとへとになるまで練習しなくてはならないか、悩まなくてはならないか、どこで他の何かをやらなくてはならないのか、切り変えなくてはならないのか、などの理解が生れます・・・これが経験です。
経験は金銭で贖うことのできないものです。しかし、歳月とともに手に入るものです。


F:あなたは、マキシム・コフトゥンと一緒のグループで練習をしていますね。彼の存在はあなたへの刺激になっていますか?


V:僕の存在が彼の励みとなっているかどうかはわかりません。しかし、マックスは僕にとって、今まで夢に見ることしかできなかった、ロシアにおける最高で完璧なスパーリングパートナーです。皮肉抜きでね。
コフトゥンは全ての種類のジャンプが跳べ、練習でそれを見せています。


F:初戦は終わりましたね。次はなにを?


V:とにかく練習です。耐え忍び自分自身に打ち勝つために。次の試合はスケートアメリカになることを期待しています。


F:なぜ“期待”なのです?行かないわけではないですよね?


V:つまり、リオ五輪前に起きた諸々のスキャンダルのことを考えると、ロシアのアスリートたちはまるで道化として扱われていたかのように僕には感じられます。何故このようなことになったのか、僕には理解できません。
政治は政治でしょう。クリミア半島がクリミア半島であり、シリアがシリアであるように。
しかし、それが何故スポーツに(影響があるのでしょうか)?なぜそこに、ホールで、トラックで、あるいはリンクで、またはフィールドで黙々と練習を積んできたアスリートたちが関係があるのですか?
禁じられた薬物を使用していた選手かいるというのなら ― その選手本人を罰すればいいのです。それならばわかります、けれどもそうはなりませんでした。そしてどうなったかといえば、ロシア人であるということだけで、ロシアのパスポートを持っているということで、アスリートたちはリオに行かなかったのです。
まったく、我々はいつの時代に戻ろうとしているのでしょう?どんな連帯保証ですか?
一人が罪を犯したら、全員が罪人になるなんて・・・


F:フィギュアスケート競技においてはしょっちゅう、そしてよくロシアの選手は好意的に取り扱われていましたね。


V:率直に言って、僕はジャーナリストたちがこのテーマについて、何らかの反駁をするかと思ってこの試合にやってきました。結局、これら全てのスキャンダルは、ロシアのスポーツ界に黒い染みを残しました。
僕が言っていることは正しくはないですか?


F:新しいプログラムについて話してください。


V:ショートプログラムは、アントニオ・バンデラス主演の映画『私が、生きる肌』(2011年公開のスペイン映画、内容については⇒こちら)の音楽を使いました。映画は心理的に複雑で、自身を襲った悲劇を乗り越えたある外科医が、その後少しづつ正気をなくしてゆく、というものです。僕はそれを表現しようと努力しています。
フリープログラムは、ミューズの『エクソジェネシス第3章』です。これは、だれかの受け売りなのですが“分子に分解する”音楽です。今のところ、それを最後まで解明するところまではいっていません。しかし、この曲は僕の内面にエネルギーを注ぎ込んでくれます。


F:本当に素晴らしい音楽ですね。


V:ええ、とても。
静かに始まります。ささやき声でここは滑ります。


F:古い衣装でしたが、変えるのですか?


V:ええ。これらの衣装は少々古びていて、擦り切れていましたけれど、よく耐え抜きました。
しかし、スケートアメリカでは晴れ着を着て滑りますよ。


=====ロシア語本文=====


(訳注1)この молодец! (マラジェッツ!)はフィギュアのロシア語中継でもおなじみの言葉。(タラソワさんがよく絶叫してますね)偉い、すごい、よくやった、などの意味です。He is a great! って感じでしょうか。セリョージャのスミルノフに対する最大級の賛辞ではないかと思われます。
また、ここで出ててくる「送り出す」というロシア語は、ただ単に見送る、キスクラで見守る、という意味ではなく、「引っ張り出す、(気が向かないものを)現場に連れ出す」というかなり能動的な意味を持った言葉だそうです。日本語で言うと「やる気を出させ、背中を押してくれた」という感じでしょうか。海外初戦で、コーチもいなくて、セリョージャ自身、どよ~んとした気分だったのかも。そんなところからも、スミルノフに対して強い感謝をしているのだと思われます。

++++++++++

とりあえず、初戦が満足なスタートが切れて、本当に良かったです。だいたいいつもの年は国内戦1試合、CS2試合してGPSに入ることが多いのですが、今年はGPSのスタートが初戦のスケートアメリカからなので、CSはこのネペラ杯1試合となりました。
メンショフが引退した今、GPSメンバーでは最年長の1人となりますが、ベテランらしさを出して頑張って欲しいものです。
引退を示唆する圧力も感じているようですが、「まだやりきっていない」という彼の強い言葉を信じたいです。
いいイメージでGPSに向かえそうで良かった。
衣装は是非とも黒かダークな赤系を希望!


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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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