セルゲイ・ヴォロノフ:僕はそう悪くないパパになれると思うんですよ (インタビューⅢ)

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(2014年NHK杯より)

スポルト・エクスプレスのセリョージャのロングインタ、いよいよこれが最後となります。

1)セルゲイ・ヴォロノフ:自らの立ち位置は己の努力で手に入れる
2)セルゲイ・ヴォロノフ:僕は以前からずっと、“もう終わったスケーター”と言われてきた 

インタビュアーは、エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ女史です。こうして読んでくると、女史は多分わざとなんでしょうけど、結構キツイ、というか意地悪な質問をしてるなー、とも思います。ただしかし、そのおかげで彼の本音めいたものが垣間見えて、とても興味深いインタビューとなっています。

今回もまたロシア語者の友人にチェックをお願いしました。いつも本当にありがとうございます。m(_ _)m


++++++++++

<セルゲイ・ヴォロノフ:僕はそう悪くないパパになれると思うんですよ>


E:私は、ゴンチャレンコは練習量や態度においてとても厳しいコーチだと知っています。


S:厳しいのは確かに本当です。そして強い意志と強烈な性格も併せ持っています。これは、僕にとってはむしろチャンスだと感じています。恐れてはいません。我々は相当量の練習をこなします、陸上競技場のトラックで、そしてホールで。特にダンスレッスンはとても素晴らしいものです。言い換えればとても良い練習が出来ていると言えます。引き締まったとか、絞れたとかなどとお世辞を言われ始めるようにさえなりましたよ。
けれど僕は既にトゥトベリーゼのところで、僕の場合は練習こそが結果につながる、それ以外の何ものでもない、ということが身にしみていますからね。
若いうちは、エネルギーや才能を何かで埋め合わせることができます。しかし、年齢とともにその働きは止まります。ですから僕は今は、僕自身の身体を機械のように扱っていますよ。朝起きたら、エンジンをスタートし、暖気運転をしてから燃料を入れ、そして活動し始めるんです。

そして、練習は僕に爽快感と喜びを与えてくれます。15-16歳のアスリート達とともに滑っている時、僕も同じように若く、エネルギーに満ち溢れているような気分になります。自分の可能性に限界を感じることはありません。
毎日何か新しいことを知るとは言いません。けれど僕は、同じ世代の人たちが興味を持たないことに対しても興味を持ち始めています。
だけど時々、僕は自身の家庭をもったら、そう悪くないパパになれるんじゃないかと思うんですよ。ゴムでブレスレットを編んだり、コンピューターゲームについて説明したりできるしね。


E:あなたはコーチのメインの生徒であるエレーナ・ラジオノワからの嫉妬の感情を感じませんか?


S:おそらくないと思います。僕のこのグループへの移籍に関して、レーナがどんな反応をするか、ゴンチャレンコに聞いてみたんですが、それに関しては何も問題はないという答えを受け取りました。僕にとっては誰がそばで滑っていて、僕についてどう考えているかなんて、どうでもいいことなんです。
僕は、自分の立ち位置は、自らの努力でもって手に入れます。


E:あなたは既に次のシーズンの目標を設定していますか?プログラムではどういうことを表現したいと思っていますか?


S:詳しいことを述べるにはまだ早いかと思います。僕は、「自らをさらに向上させる」為には、練習や規律で、さらに強く自分を律しなければならないことを十分にわかっています。そしてその覚悟も出来ています。
残念ながら、チーム・チャレンジ・カップにおいて僕は、パフォーマンスに違いを見せるためには余りにも時間が短かったです。しかしすでに、セルゲイ・ベルビオとともに、スケーティングにおける多くの取り組みを始めています。
僕は今までこんなに「マケット」(訳注)を滑ったことはありませんでした。大雑把に言えば、僕はスケーティングの基礎を一から再び学んでいるのです。


E:まさか、前のグループで、あなたは「マケット」のプログラムを滑らなかったのですか?


S:我々はプログラムを滑る時、全てのジャンプを入れていました。それは異なるものです。
「マケット」―それは滑る事であって、ジャンプはありません。ですから、完全に異なる"滑り"です。
初めてそれをした時、僕は本当に、3回続けて通しでフリープログラムを滑ったような気分になりました。―本当に全身汗だくになりましたよ。
以前は、僕はスピンにはあまり注意を払っていませんでした。今は分かります。それぞれの要素は貯金でプラスか、マイナスだと。ですから、我々は多くの注意をスピンに払います。そのレベルと、レベルの正しさに関して。
僕がフィギュアスケートを始めた当時、とても残念なことに、「シコーラ」(訳注)で滑ることは全く受け入れられていませんでした。これは多大なる損失です。
しかし、どちらにしても、スケーターにとって重要なことはスケート靴で立つことです。ジャンプをする才能があるのなら、ジャンプを跳ぶでしょう。しかし、スケート靴でただしく立つためには自分で技術を習得しなくてはなりません。


E:誰があなたの新しいプログラムを作るのですか?


S:少なくとも1つはニコライ・モロゾフです。


E:予想外でした。


S:2013年に僕がモロゾフグループを離れたのは知っていると思いますが、その際、コーチに別れを告げに行った時に彼は言ったのです。
「セリョーガ(セルゲイの愛称)、人生は長い。君が今こうして私から離れていくことを決めたからといって、今までの私たちの関係を台無しにしてしまうのは馬鹿げている」
僕は、彼がいかに正しかったかがわかっています。今もって、僕はいつでもニコライに電話をして、どんな疑問についても彼と話し合うことができますよ。彼は、僕自身にスケートや音楽への理解、といったたくさんのものを与えてくれたと思っています。
ですから、僕は彼と共に競技活動をする機会ができたことに感謝しています、振付師と選手としてね。


E:男子フィギュアスケートで起こっているすべてのことにおけるあなたの評価はどういったものですか?


S:もちろん僕は盲目ではありません。そして、目隠しをつけられた馬車馬でもありません。ですから、僕は技術がどれだけ早い進歩を遂げているか、ライバルたちがいかに複雑化かつ高難度化しているかよくわかっています。しかし、僕はもっぱら自分自身のことのみに集中していました。
ところで、僕はガブリエラ・パパダキスとギョーム・シゼロンがジュニアからシニアに上がってきた時のことをよく覚えています。
彼らは上位選手たちのことはほとんど知らず、そして知ろうという努力もしませんでした。が、しかし、それは本当に素晴らしかった。
この上ない自分たちへの集中力でどんな結果が出たかというと、稀有な成績でした。


E:確かに。目標となるべき大会が絶えず行われている時、シングルスケーター自身においては、完全に自分自身に集中することは容易ではないですね、絶えず本数と種類の増加する4回転ジャンプ、継続して記録的な点数の出続ける成績・・・。


S:同感です。僕は北京で行われたグランプリシリーズ中国大会で、出場者の中で最も強かった中国人男子のボーヤン・ジンのクワドルッツに、非常に強い感銘を受けました。正確に言えば、ルッツジャンプそれ自体ではなく、こういった天賦の才能が有るために、彼はこれらすべてのジャンプを跳ぶことができるのだ、という事実にです。
しかし、だからなんだというのです?ロッカールームの椅子に腰掛け、肩に手を回して自分がそれをできないことに悲嘆に暮れろとでも?


E:ただ1つの問題は、あなた自身の中にある、技術を進歩させる才能がどれだけの大きさのものであるか、ということだと思います。あなたはこれについてどう感じていますか?


S:とても残念に思っているのは、オリンピックの年の終わりに、4回転ループを習得しなかったことです。僕はそのつもりでいました。しかし、僕の努力にも関わらず、グループ内では誰ひとりサポートしてくれず、「ノー」という答えが返ってきました。
僕はこのことについては既にゴンチャレンコと話をしました。そして我々ははっきりと二種類目のクワドを習得することに挑戦することは意義あることだ、という意見の一致を見ました。
僕にとってそれはとてもワクワクすることで、どっちがどうすごいのかなんて言えませんよ。19歳でクワドルッツを跳んでのけるボーヤン・ジンか、28歳にして新しいジャンプを習得するスケーターか。
今の僕にとって一番大事なことは、本当に競技をしたい、ということなのです。リンクに行きたい、そして演技を見てもらいたいのです。
そして比較するのはリンクサイドに座る9人(のジャッジ)です。

(了)

=====ロシア語本文=====


(訳注)これらは言葉通りの意味でなく、ロシアにおけるスケート用語のようなので、あえてそのままカナ書きをしました。
「マケット」ジャンプ抜きでステップ、スピンを入れてプログラムの確認をすること
「シコーラ」コンパルソリー
のことだと思われます。

++++++++++++++++

とにかく言いたいことはたくさんありますが・・・・・いやー、ベテラン、燃えてますね!
環境が変わり、いろいろ大変なことも多いでしょうが、頑張ってもらいたいものです。





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今回も素敵なブログをありがとうございます。今日、男子シングルは4回転の種類を2種類、フリーでは2本もしくは3本と大変厳しいものとなっていると思いますが、そんな中でも「他の選手がどうしようが俺は関係ないんだ。」と言わんばかりのセリョージャのインタ。私はそんな周りは周り自分は自分、ち割り切ることは容易ではないことだと思います。ですが、彼ならその意思は貫けると確信してます。それと題についてですが、彼が父親になるのはいつでしょうね。そう遠くないことでしょうがww最後に、彼が世界最初の4回転ループジャンパーになってもらいたいですね。あー早くセリョージャの新プロが知りたいなーe-440
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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