セルゲイ・ヴォロノフ:僕は以前からずっと、“もう終わったスケーター”と言われてきた (インタビューⅡ)


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スポルト・エクスプレスのセリョージャのインタビュー、続きです。
いろいろバタバタしていて、アップするのが遅くなってしまいました。お待ち下さってた方(いるのか?)すみません。

1)はこちら⇒セルゲイ・ヴォロノフ:自らの立ち位置は己の努力で手に入れる

インタビュアーは、エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ女史です。

今回もまたロシア語者の友人にチェックをお願いしました。いつも本当にありがとうございます。m(_ _)m

++++++++

<セルゲイ・ヴォロノフ:僕は以前からずっと、“もう終わったスケーター”と言われてきた>


E:フィギュアスケーターがコーチを変更する際には、決まったパターンがありますね?
まずスケーターは新しいコーチを見つけて契約し、そして元のコーチに知らせます。あなたの場合には、これと正反対なことが起こったのですね?


S:はい、そうです。しかし、これが初めてではありません。
2013年に、僕はニコライ・モロゾフのところから脱退しました。そしてそれから1ヶ月というもの、自分がどうなってしまうのか想像すらつきませんでした。これは本当に嫌な状況です。僕はまさにこの時、全てが曖昧模糊として何もわからない状態よりも、どんなに難問でもいいから解決すべき問いがはっきりした状況のほうがましである、と理解しました。
今回の場合、考えることは1つだけでした。越えるべき橋が全て焼け落ちてしまっていて、ゆくべきところに行けない、ということです。


E:そしてゴンチャレンコのところへ行ったのですか?


S:はい。けれども僕は、彼女とは大会で少し言葉を交わすくらいで、ほとんど面識はありませんでした。僕には、インナ・ゲルマーノヴナはとても真っ直ぐな人間であるかのように見受けられました。それは僕についても言えることです。
おそらく、これが僕と彼女にすぐに共通言語が見つかった所以だと思います。
しかし、たった1年前には、僕はトゥトベリーゼこそが僕の生涯のコーチであり、他には絶対にありえないと固く信じていたことを告白しておかねばなりません。

しかし、人生は驚かすことを止めません。-「日常生活」の面でさえも。選手生活のの晩年に僕が女性たちとともにトレーニングを行い、トレーニングの合間にシャワーを浴びて休息を取る、そんな可能性があるなんて、誰が考えることができたでしょう?
僕は、単純ないくつかのことを学んできました。家を出て、移動手段を見つけるために、ナビゲーターに頼る必要はありません。リンクに到着するまで2時間、それとも2時間半?都市の反対側に抜けるために、中心街を通ってゆくか、環状線を使うか?
ただ唯一慣れなければならなかったのは早起きでした。しかし、これはプラスになりました。なぜなら、僕たちは大会に出場する際、朝早くからの練習が設定されていることが多いからです。


E:あなたが現役を続けてゆくと決心した今、この決断が正しかったと元コーチに早く証明したい、と考えていますか?


S:そうは思いません。僕は、何かを自分自身以外の誰にであろうと証明することは意味がない、と思っています。
僕の頭の中にはタチアナ・アナトーリエヴナ・タラソワ(訳注)の言葉がこだましています。彼女は、僕がロシア選手権(2015-6年)で5位になった時にこういったのです―「キャリアがこのまま終わるわけではないわ」
僕はもちろん彼女と同意見です。この状況が僕を駄目にした、という思いのまま、残りの人生を生きたくはありません。
フィギュアスケートにおいて一番に困難なことは、1人、2人、そして5人、10人に敗れたのが分かってもキス&クライに座ることだと思いますか?
いいえ、違います。
もっとも難しいのは、翌日ベッドから這い出して、自分自身を再びリンクに向かうよう強いることです。ボクシングで言えば、ノックアウトされてもさらに立ち上がり戦いに向かうようなものです。
それに比べれば、スポーツにおいて、辞める、という決断をすることはいともたやすいことです。


E:率直に答えてください。引退したと仮定して、やりたいことはなんですか?


S:頭に浮かぶ中で最も月並みなことは(ショースケーターなどとして)働き、お金を稼ぐことですね。


E:それはよい収入になりますか?


S:この先の職業が決まってない期間だということを考えれば、そう悪くないでしょう。ガソリン代をどこから借りるか、は心配せずに済むんじゃないかな。
勉強を続けたい気持ちもあるので、その可能性も否定はしません。


E:別の言い方をすれば、あなたはアスリートとしての引退を恐れているのではないのですか?


S:その恐怖は、誰もが持っています。それに関して、何も言わない人でさえも。
スポーツ界では最初は何も考えないことにとても簡単に、そして強烈に慣れてしまいます(注:このスポーツ界とは、競技としてのスポーツ全体を指す)。全てがよく組織され、きっちりとした予定、日程が組まれています。僕にとっては、オーガナイゼーションに関することで問題になったことはありませんが。
反対に休暇の計画を自分自身でたてることは気に入っています。旅程を考え、チケットを探したり、宿泊について話し合ったりすることです。
概して僕は、引退後の人生において迷うような視野の狭い人間だとは自分では思っていません。どんな状況であろうと、そう信じています。

フィギュアスケートにおいて、僕は多分、全てを出し切っていない可能性がある、と思っています。そして僕は、このスポーツにおいてまだまだ何かを成し遂げることができる、と信じています。
それならばなぜ再び挑戦しないのか?僕の28歳という年齢に何のリスクがありますか?
僕はむしろ、しなかったことについて嘆くより、やったことについてを後悔する方がいいと思いたいです。
少なくとも僕は、自分がその時できることの全てをやり尽くした、とわかっていたならば、キス&クライに座ってもなんら恥じることはありません。あらゆるアスリートはこのような場合、心の中で本当に良い気分になるものです。

インナ・ゲルマーノヴナが僕と一緒に活動してゆくことを了承してくれた時、僕は彼女がこれに意義を感じているのかどうかを直接尋ねました。そして僕はこれから氷上で何らかの新しいものを見つけることができるのでしょうかと。
彼女は同意して答えてくれました。最初の練習の後にすらこう言いました。
「セリョーガ(訳注)、あなたはずっとカッコいいスケーター、と言われてきたわ。しかし、我々の力でそれをさらにより良いものにしていきましょう。」


E:しかしもし、(ゴンチャレンコの)回答が正反対だったことがわかった場合は?あなたはそれを聞く準備が出来ていましたか?


S:僕は既に多くの人々から、「あいつはもう終わってる」といわれてきました。
それでも僕はいまだに現役を続けています。
これらの主張に対して僕のとる態度はシンプルなものです。人々は各々の主義主張を持つ権利がありますが、僕は必ずしもその意見に賛成しない場合もある、ということです。

=====ロシア語本文=====

(訳注)ロシアは呼びかけ文化で、呼び名によって人と人との距離・感情が推し量れるので、呼び名は全て原文のままにしてあります。セリョージャがタラソワのことをタチアナ・アナトーリエヴナ・タラソワ、と父称(この場合アナトーリエヴナ)付きで呼んでいるのは、タラソワに対する尊敬の念の表れです。また、ゴンチャレンコに対してインナ・ゲルマーノヴナ、と父称付きで呼んでいるのも同様です。そして、ゴンチャレンコが彼に対して「セリョーガ」と呼んでいるのはこれはセルゲイの愛称で、親しみを込めた呼び方です。セルゲイの愛称には、他にセリョージャ、セリョージェンカ(これはかなり親しい呼びかけ方で、主に女性が用います)などがあります。

(続く)
+++++++++++

えー、一応次回で終了の予定です。なるべく早く上げるともりでいますが、どうかゆるーくお待ちください。

次回は最終章 <僕は、悪くないパパになれると思うんですよ>(仮題)です!
練習環境、これからの展望、現在のフィギュアスケート界について、などです!



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No title

いつも素敵な記事をありがとうございます!

ヴォロさんの言葉を通しての「フィギュアスケートにおいて一番困難なこと」や
「フィギュアスケートにおいて、僕は多分、全てを出し切っていない可能性がある」からのくだりのお話の部分は、引退されたスケーターや岐路に立っているスケーターの方達を思い起こして感慨深いです。
岐路に立って現役続行を選んだ人たちがそれぞれの満足のいく形で現役生活を終えられますようにと願います。

次の記事は、<僕は、悪くないパパになれると思うんですよ>ですって?
タイトルだけで胸がキュンキュンします♪
私が子供になりたい(^_^;)

No title

こんにちは!
いつも何か私にとってつらいことがあったときにこの記事を読んで「セリョージャが頑張っているんだから、私も頑張らなくては」という気持ちになります。まあ私にとっての悩み事など彼のと比べたら、ちっぽけなものですけどねww
私の話はさておき、ゴンチャレンコ先生のもとで彼が良い結果が出せるといいですね。
最後に、2016-2017シーズンが彼にとって良いものになりますように。
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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