セルゲイ・ヴォロノフ:自らの立ち位置は己の努力で手に入れる


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(2014-5シーズン世界選手権ポスター)

スポルト・エクスプレスに、セリョージャのインタビューが上がっていました。エテリ・トゥトベリーゼ前コーチとの別れや昨シーズンのこと、そして来シーズンに向けて、とかなり長いインタビューとなっています。インタビュアーは、スポルト・エクスプレスのエレーナ・ヴァイツェホフスカヤ女史です。
今回は、シーズンの振り返りとエテリ・トゥトベリーゼコーチとの訣別までです。(後半部分は、ゴンチャレンココーチや、来期の振り付けを頼むことになっている(!)というモロゾフとの関係などです。

・今回も、ロシア語者の友人にチェックをお願いしました。いつもありがとうございますm(_ _)m

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<セルゲイ・ヴォロノフ:自らのリンクでの立ち位置は己の努力で手に入れる>


この春、セルゲイ・ヴォロノフは、たった一年前には「自らの生涯の師」を見つけた、とまでに熱意を持って接していたエテリ・トゥトベリーゼとの師弟関係を、突然解消した。
引退する、ということがむしろ論理的な身の処し方であったかもしれない。
しかし彼はそれをせずに、インナ・ゴンチャレンコのグループに入るという決断をした自らの正しさを疑うことなく、現役生活を送るためにもがき戦い続けている。
2度のナショナルチャンピオンであり、2つの欧州選手権のメダル獲得者である彼は、燃えるような眼をしており、その右腕には簡潔なタトゥーが彫り込まれている。「怖いならやるな、やるなら恐れるな」


E:あなたが2月にサランスクのロシアンカップファイナルに参加した際、全ての動きの積み重ねから、これがあなたの最後の演技になるのではないか、という感覚をぬぐい去るのが非常に難しかったのです。その感覚は、今でもあります。


S:あなたが感じ取った部分に関しては、それは当たっていたと言えるでしょう。
あの出発点から、僕には信じられないほどの困難が課せられていました。僕は、これが自分の現役生活の終わりではないにしろ、前コーチと行動を共にするのは絶対にこれが最後である、とはっきりとわかっていました。そして直後、我々は永遠の訣別を告げたのです。今まで考えてきたことが中断されることはもちろんのこと、その他の一切の感情も加わることはありません。

一方で僕は、とても真剣に競技会に出場し戦う準備をしていました。たとえ一人になってしまおうとも、です。12月に欧州選手権の出場を逃したことは理解していました。今シーズンは、僕にとって不成功なシーズンであったといえるけれど、僕にとってはまだ終わっていません。もっと競技をしたいのです。


E:しかし、それらの大会が少しの特別な意義をも持っていない、ということは問題ではないのですか?


S:僕は、アスリートは競争力を保つために、たとえどんなに平凡で価値のないように思える大会や練習においてもしっかりと行動しなければならないと確信しています。


E:あなたが、すべてがうまくいっていない、そしてそれを修正することもできない、と感じ始めたのはシーズンのいつごろのことですか?


S:僕が思うに、最初のミスはプログラム作成のためにカナダに行かなければならなかったのですが、それがあまりにも遅すぎて―。
僕とジェフリー・バトルは、なかなか練習日程を合わせることができませんでした。最初に彼は、僕とのプログラム作成の準備をしてくれていたのですが、僕たちにはノヴォゴルスクでの合宿が予定されていました。そしてバトルはなかなか時間を取ることができず、僕は彼の日程に合わせざるを得なかったのです。その為に7月中旬という遅い時期になってしまったのです。



E:そしてあなたはプログラムが上手く出来上がっていない、ということを悟ったのですね?


S:僕は、プログラムの出来をうんぬんすることはできません。むしろ、それは「災難は決して1人では来ない」ってやつですよね。
二つのプログラム自体は、興味深く面白いものでしたし、ショートプログラムは失敗作だとは考えたくはありません。
ただフリーの魅力を引き出しきることは僕には不可能だったかもしれません。僕(とバトル)は、あの音楽を生かしきった訳ではなかったのではないかとも僕には感じられます。けれども、僕自身が滑りきれるかとは別に、あのプログラムはとても気に入っていましたし、素晴らしく創造されていました。
しかし、例えば、衣装はどうだったでしょうか?
確かにスマートで、高価で、サイズも合っていたものだったのに、どこか違う。
衣装そのものだけでなく全体的にも何となくしっくりこなくて、まるで牛に馬の鞍を載せているようだったかもしれません。

しかし一方で、その時、僕とコーチの間が、全てうまく回っていたならば、プログラムの作成やその練習も、また違ったものになっていたのではなかろうか、と思わざるを得ません。
当時、僕はエテリ・ゲオルギーエヴナの僕に対する関わりが明らかに変化していたのを感じていましたから、その原因を突き止めようと必死になっていました。
とんな場合でも、諍いや衝突は起こりうるものです。それは常に両方に問題があります。ですから、僕とコーチの間に問題があったにしても、全てを自らの不幸のように考え、相手方を批判したりするのは愚かなことだとわかっています。
ですから、僕は何度も直接尋ねました。

「何かがあったのですか?」
「僕にはもうアスリートとしての魅力がないのですか?」

そして、帰ってきたのはいつも同じ答えでした。

「そのような考え方は、アスリートとして致命的な崩壊よ」


E:もし、双方に強い関係が結ばれ、、ともに競技を続けてゆくのであれば、その言葉は全くの真実を突いていますよね。


S:はい、同感です。しかし、僕は28歳、15歳の少年ではないのです。今まで築きあげてきた信頼関係が違うものになってきている、というのは感じ取れます。だからこそ、自分に何が起こったのか、もしくは自分自身のどこが悪かったのかを理解しようと努めたのです。


E:その理由を解明できましたか?


S:正直言って、NOです。
何を持ってしても思い当たりません。僕たちの間には、金銭的な諍いも不作為も一度としてありはしなかったし、だとしたら一体何が?上海の世界選手権(2015)で、13位に順位を落とした(SP4位)ことでしょうか? ―かもしれません。

それとも、ひょっとして彼女は、最初から僕を若手の良いスパーリングパートナーとしか見ていなくて、僕は適当な時期が来たら不要になる存在であったのかもしれません。
もしもそうだとしたならば、哀しいことですが、僕は自分が愚かであった、と認めねばなりません。なぜなら、最初から完全にコーチを信頼していたからです。
しかし、トゥトベリーゼ(原文ママ、訳注)のもとにいた時期のことを後悔してはいません。実際、僕が今までで最高の成績をあげてみせられたのは彼女のもとで、であったからです。

(続く)

=====ロシア語本文====

(訳注:以前、ロシア語名の呼びかけ方のエントリーで触れたように、ロシアでは名前の呼び方によって相手との距離感をはかります。
ここでセリョージャは、上記のエテリ門下にいた時のことを語っているとき(「エテリ・ゲオルギーエヴナ」と父称をつけて呼んでいます。これは尊敬の意味を表します)とは異なり、「トゥトベリーゼ」と姓のみで呼んでいます。ロシア住まいの方に言わせると、彼の地では、姓の呼び捨て、というのはあまりよくないことで、かなり突き放している、遠い距離感を感じさせる、ということだそうです。この微妙なニュアンスを感じさせるのは呼びかけ文化であるロシア語ならではだと思いますが、エテリに対して 父称呼びから姓呼びに変わったところにセリョージャの心の揺らぎや葛藤が現れていると思います。


+++++++++

上でセリョージャも言っているように、片方の発言のみで物事を判断するのはとても危険なこととは思いますが、ただ、選手に

「僕はあなたにとってアスリートとしての魅力がないのですか」

と問わせる(というか思わせてしまう)コーチ、というのは正直どうなのかな・・・と思いますね・・・・。

とりあえず今回はここまで。次回は中編「僕は以前から“既に終わったスケーター”と言われてきた」(仮題)です!





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プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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