羽生結弦の「見たか!」の主語はなんであったのか ― アスリートの、観客の想い 世界選手権2016


CfDCSoGWIAAXUQJ.jpg
(世界選手権2016男子表彰台メンバー ISU公式より)

様々なことがあったフィギュアスケート世界選手権も、EXが終わり、幕を閉じました。今回のことで思ったのが、みんな、アスリートに期待しすぎなんじゃないかな?ということです。

優等生で、ストイックで、頑張り屋で、国を背負って戦うヒーロー、ヒロイン・・・というような。
もちろん、そういう面もあるのですけれど、逆に人一倍エゴイスティックで、独占欲が強くて、勝気で、戦闘意欲が激しいのもアスリートだと思うのです。そうじゃなければ、超一流として勝ち残ってゆけない、というのが事実なんじゃないでしょうか。
特に、フィギュアスケートは、美しさや芸術性を尊ぶスポーツですから、こういう人間のドロドロギラギラした部分は見たくない、見せて欲しくない、という方も多いと思うのですが、一流選手がこの舞台(例えばワールドです)に行き着くまでには、こういった感情を避けては通れないのではないか、と思うのです。

そして、観ている我々は「スポーツは平和の祭典」と言いつつ、選手たちに代理戦争をさせている(意識せずとも)というのも事実です。
なんでもそうですけれど、きれいごとだけでは済みません。

勝つんだ、勝ちたい(それは誰になのか、何になのか、というのはまた話は別です)、という選手の思いに自分を重ねて、「やったぜ」と思ったことのない人はいないでしょう。その時、敗れた選手にどのように思いを馳せるでしょうか?
贔屓選手が敗れた時、その選手より上位に来た選手に「このやろう」と思ったことのない人は果たしているのでしょうか?

例えば、SP後の羽生結弦の、「見たか!」と言うセリフと雄叫び。でも、あれは誰に向けてのものだったのでしょうか?

羽生結弦 SP


それは 様々に推察できます。
例えば自分の弱気な心、練習の際のハプニングへのイラつき、様々なライバルたちとの葛藤・・・。

私たちはその中から無意識に主語を想像して共感、あるいは反感を持ちます。がしかし、あのセリフの主語は本人にしかわからない、いや、羽生結弦本人にもわからないかもしれません。
そして、ああいった感情の迸りを嫌う人も多いかとも思います。羽生がSPをショパンにしてから、そういう声をよく聞くようになった気がします。無意識に抱く「ショパン」という作曲家のイメージと、ああいった激しい感情はそぐわない、と思う人が多いのかもしれません。

私はアスリートに関して「性格がいい」というのは、決して褒め言葉にならない、と思うクチなので、贔屓選手がそう言われると、ちょっと複雑な気分になります。もちろん、褒め言葉なんだろうと受け止めてはいますけれど。
上を、それも頂点を目指す人間には、ガツガツした部分があって当然だと思っているので(そうじゃないと無理だと思っているので)、そういった尖った部分が反感を買うことも多いと思っています。

ですから、余りにも人間としての理想像を勝手に重ねられる彼らアスリートには、しんどいことも多かろうなあ、と思ってしまうのです。
練習の場や、試合場においてはいくらギラギラガツガツしていても構わない、と私は考えます(これは賛否両論あるかと思いますが)。

ただ、私が彼ら、彼女らに願うのは、曲が終わり、演技が終了したならば、冷静に自己分析ができ、ライバルたちにリスペクトをはらう度量の大きさを持っていて欲しい、ということのみです。

これからも、たくさんの素晴らしい演技が観られるよう、心から祈って!


↓ポチよろしく、更新のモチベになります
にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : フィギュアスケート
ジャンル : スポーツ

コメントの投稿

非公開コメント

No title

はじめまして、こんにちは。貴方の考えにとても共感しました。
去年くらいだったか、インタビューでブライアン・オーサーコーチが羽生選手の事を「ユヅルは少し性格の悪い面も見せていいと思う。いつも良い子でいる必要は無いんだから」と言っていたのを見て、羽生選手を心配してるんだなって感動したのを覚えています。ハビエル・フェルナンデス選手も友人から優しすぎるのが良くないみたいな事を言われたりするって嫌そうに遠回しにインタビューで言ってましが、ハビエル選手は楽しいのが好きだし、試合以外で他の選手とピリピリムードは大嫌いらしく「僕は誰に何を言われても楽しいこの環境が好きだからこのスタイルを貫く」的な事言ってるのを見て、トレイシーが「ハビとユズだから上手くいくんだ」と言ったのも納得です。米国の女子選手なんて、競争が激しすぎて、お人好しなんてやってられないって昔米国の選手が言ってたし、ロシア女子選手は皆気が強いって元日本の選手が苦笑いして言ってたし、羽生選手は「僕は日本人っぽくないと思う。積極的に意見言うし」って言ってたし、羽生選手がここまで上れたのは、私個人の考えでは日本人ぽくない勝ち気で競争心が強い性格のお陰ではないかと思ってます。羽生選手は一般の日本人より礼儀正しくて他人への気遣いがすごいのに勝ち気で中身男らしくて目的を成し遂げる力もあって私には尊敬の気持ちしかありません。

泣いても笑ってもあと2年

初めまして。とても読み応えのあるブログ読ませていただいてます。
あそこでしっとりと風格を持って終わらせた方が、むしろ「見たか」って感じなんですけどね、うふふ。
GPFのがギリセーフかな、、あれは本人も意識したらしいし。

まあ、私もあちゃーとは思ったくちですが、犯罪じゃないんだから、あんなのすごく可愛い部類だから(実際可愛い)もっと見る方もおおらかでなければなあと思う「今日」でありました。

泣いても笑ってもあと2シーズンですねえ。。健康であれ。

No title

初めてコメントします。

私はあの雄叫びを聞いたとき
「どうだ!みんな見たか!このオレの演技を!オレはやったぜ!やってやったぜ!コンチキショーメ!」
という風に受け取ったので
「しっかり見たよー」
とパソコンに向かって答えました。
それをマスコミが勝手に解釈して報道するから・・・・(-"-)
否定的な意見も目にしますが、私は彼らしくてニヤニヤしますね。
いや~、若いっていいな。青いってまっすぐだな。



プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
最新コメント
カテゴリ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
スポーツ
391位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ウィンタースポーツ
27位
アクセスランキングを見る>>
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

拘りと屁理屈
検索フォーム
カテゴリ
リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR