ロシアン名前のマメ知識(愛称対象表つき)

今回は、スケートからちょっと離れて、ロシア人の名前のプチ解説などしてみたいと思います。
覚えにくい、長ったらしい、発音しにくい、など難関なロシア人名ですが、法則性がわかると親しみも湧いてきますよ(だといいなあw)
ロシア語サイトなどを参考にしましたが(下記リンク)、最終チェックはロシアにお住まいのロシア語者のフォロワーさんにお願いしました。いつもありがとうございます。m(_ _)m

まず、ロシア人名は

:名前
・所謂ファーストネームのことで、イーミャというそう。聖書や神話、聖人由来のものが多いです。新しいものを作成することはまずなく、既存のものから選んでつけられることがほとんどのようです。だから同名さんがべらぼうに多く、同名さんに挟まれて座ったら願い事をすると叶う、なんて俗信があったりするそうです。
それぞれの名前には付随した愛称(これについては後述)があり、それで呼ばれることが多いです。

:父称
・父親の名前のことで、これに+ヴィッチ(男性の場合)、+ヴナ(女性の場合)などの語尾をつけ、〇〇の息子、△△の娘、という意味を表します。(例:セルゲーエヴィッチ⇒セルゲイの息子 アナトーリエヴナ⇒アナトーリーの娘、など)
ロシア人名においては、父称は必ず存在し、ない、ということはありえません。たとえ母親がシングルマザーの場合でも、父称を必ず付けます。

:姓
・いわゆる苗字です。男性形と女性形があり、一家でもお父さんとお母さん、兄と妹では姓の形が違います。(ただ、男女同形の姓もあります、ややこし!)
そして、特徴のある語尾でルーツのわかるケースもあります。(例を上げてみましょう。~コ(ウクライナ系)、プルシェンコ、ペトレンコなど。~ヤン、~アン(アルメニア系)アルトゥニアンなど。~ヴィリ、~シヴィリ、~ゼ(グルジア系)クヴィテラシヴィリ、トゥトベリーゼなど。グルジアのエレーネはゲデヴァニシヴィリ、ですね)

この3つから構成されます。

セリョージャでいうと、 セルゲイ(名前)・エフゲニーエヴィッチ(父称)・ヴォロノフ(姓) 
つまりこれは ヴォロノフ家の エフゲニーの息子の セルゲイ ということになるわけですね。もし彼にアリョーナ、という名前の妹がいたら  アリョーナ(名前)・エフゲニーエヴナ(父称)・ヴォロノワ(姓) です。


そして、忘れてはならないのが、ロシアは呼びかけ文化である、ということです。←ここ大事!
名前、父称、姓それぞれを組み合わせて、自分と相手の距離感を形成しつつ、コミュニケーションをとるのです。ですから、映画や物語で、登場人物同士の仲が良くなっていったり、疎遠になっていったりと、人間関係にゆらぎの起こる中で、呼びかけ方も変わってゆくのは当然なのですね。

ロシア文学を読み始めて、ただでさえめんどくさいカタカナ人名にひーこら言ってる所にもってきて、呼び名がやたらたくさんあり、Aさんを呼ぶのにBさんは「X」と呼び、Cさんは「Y」と呼ぶ。そしてストーリーが進むにつれてまたまた違う「Z」という呼び方が出てくる・・・。いったい誰が誰なの!なんてことになって投げ出してしまった方も多いのでは。←はい、私です(笑)

これも、コツを覚えるとなんとかわかってきます。

そして、ここで大事になってくるのが先程も述べた「愛称」です。

:愛称
これは名前(ファーストネーム、イーミャという)に必ず付随しているもので、親愛の情を込めて呼ぶ形です。
ロシアでは、本名をそのまま呼ぶ、ということはあまりしないようです。本名そのままだと、阻害してる、よそよそしい、という印象を与えるのだそうです。また、精神的な距離感がある、という場合です。ですから、敢えて「あまり親しくない」ということを表すために本名で呼ぶ場合もあります。
しかし、殆どの場合親しみを込めて愛称(略称)呼びすることが多いようです。。
この愛称ですが、日本で言うところの「略称」とは似て非なるものなので、本名より長くなることもままあります。
また、日本語で聞いた形だと、本名とまるっきり違う形になってたりするので、なんでこうなるの?とクエスチョンマーク乱れ飛び、という状態になることもしばしばです。これはもう覚えるしかありません(笑)
私の乏しい知識から行きますと、名前のアクセント部分の音節+ーシャ(ジャ)、ーニャ、となることが多いようです。
また、愛称は複数あることが多く、それぞれによって人間関係の近しさが違います。乱暴な言い方になりますが、カ行音で終わる、または長いほど近しい、親しい、という感じです。ですから、
「彼は私にとってコースチャであって、コースチェンカではない」
などということも起きるわけです。人間関係、精神的な距離感で呼び分けるわけですね。

例(右に行くほど近しさ・親しみが増す)
セルゲイ⇒セリョージャ⇒セリョーガ(主に男性から呼ぶ)⇒セリョージェンカ(主に女性から呼ぶ)
コンスタンチン⇒コースチャ⇒コースチク⇒コースチェンカ
マリア⇒マーシャ⇒マーニャ⇒マニューニャ
ダニール⇒ダーニャ⇒ダーニカ
エフゲニー(女性形エフゲニア)⇒ジェーニャ⇒ジェーンカ(ンとニの中間の音)
といった具合です。(下にもっと書いてあります)


では、本題の“呼びかけ”に入りましょう。 (すいません長くて)

まず、普通の場合。
英語で言うところの、ファーストネーム呼び捨て、の場合です。この際は名前の愛称のみを用います。

「マーシャ」「コースチャ」などですね。この二人がさらに親しくなると
「マニューニャ」「コースチェンカ」と呼び合うわけです。

そして、尊敬を込めた言い方。英語で言うと「Mr.」をつける感じ、日本語で言うと「先生」といった感じ。こういう場合は
「名前」+「父称」 となります。
「アレクセイ・ニコラエヴィッチ(・ミーシン)」「タチアナ・アナトーリエヴナ(・タラソワ)」
などです。
ただこれは、明らかに立場が上の人間に、礼儀を込めて呼ぶ場合です。年長者であっても、友人や仲間に関してはこういう呼び方はしません。
例えばジュニアの選手でも、インタビューで、メンショフやヴォロノフに向けて「コンスタンチン・アレクサンドロヴィッチ」「セルゲイ・エフゲーニエヴィッチ」という呼び方はしませんね?そういうことです。
ですから、この呼び方が出てきたら、目上の相手を敬って呼んでいるんだな、ということが解るわけです。
また逆に、愛称で呼び合う間柄であっても、「ムカついた、ちょっと距離取りたい」と思ったときは、敢えてこの「名前+父称」で呼んだりします。

こうして書いてくると、「ロシア人って、姓を使わないの?」という疑問が湧いてくるかと思います。もちろん用います。ただ、これはどちらかというとフォーマルな場合になるようです。インタビューなどで、リスペクトしている相手を語るときなど、
「リョーシャ・ヤグディンは~」とか
「セリョージャ・ヴォロノフについては~」
などのように用いるわけです。この際、名前に愛称を使うのは、親しみ・尊敬の表れで、ロシア人的感覚からすると、本名そのまま、というのはいかにも形式的、阻害してるまたは精神的な距離感がある、という印象になるようなのですね。

例えば、プーチン氏のフルネームはウラジーミル・ウラジミーロヴィッチ・プーチンですが、記者たちは、
ぶら下がり取材では「ウラジーミル・ウラジミーロヴィッチ」と呼び、
親しい友人、としての時間は「ワロージャ(ウラジーミルの愛称)」と呼び分けるんでは?と思われます。
といっても、カタカナで外国人名が正しく表記できるわけがないのでして 上記の「ワロージャ」の「ワ」音などは「ヴァ」と「ワ」の中間的な発音をしますし、エフゲニアの愛称「ジェーンカ」は「ジェーニカ」と「ジェーンカ」の中間の発音です。
あと、ロシア語ではti di はティ ディとは発音しない(これが英語などと違うところです)ので、Konstantin はコンスタンチン、Dima(ドミトリーの愛称)は、ジーマとなります。

あと、公式書類(連盟のバイオグラフィーなど)には、
(姓)(名前)(父称)の順で記されます。

ヴォロノフ セルゲイ エフゲーニエヴィッチ
メンショフ コンスタンチン アレクサンドロヴィッチ 

という具合です。



++参考サイト 
ロシア人の名前
ロシア人名について++


<主な選手の愛称(略称)対象表>
(なんでこうなるの?と考えず、とにかく覚えてくださいw、記載した他にもいろいろあります)
アデリナ(ソトニコワなど)⇒アデリンカ
アリョーナ(レオノワなど)⇒アリョンカ
アレクサンドル、女性形アレクサンドラ(サマリン、ペトロフなど)⇒サーシャ、シューラ、サーシェンカ
アレクセイ(ヤグディンなど)⇒アリョーシャ、リョーシャ、リョーハ
アジヤン(ピトキーエフなど)⇒アージク
アントン(シュレポフなど)⇒アントーシャ
アンドレイ(グリャーツェフなど)⇒アンドリューシャ
アンナ(ポゴリラヤなど)⇒アーニャ
ウラジーミル(ペトレンコ弟など)⇒ヴァロージャ(ワロージャ)、ヴォーバ
エリザヴェータ(タクタミシェワなど)⇒リーザ、リーザチカ
エフゲニー、女性形エフゲニア(プルシェンコ、メドヴェージェワなど)⇒ジェーニャ、ジェーンカ
エカテリーナ(ボブロワなど)⇒カーチャ、カーチェンカ
エレーナ(ラジオノワなど)⇒レーナ
コンスタンチン(メンショフなど)⇒コースチャ、コースチク、コースチェンカ
クセニア(ストルボワ、マカロワなど)⇒クシューシャ
セルゲイ(ヴォロノフなど)⇒セリョージャ、セリョーガ、セリョージェンカ
セラフィマ(サハノヴィチなど)⇒シーマ
ソフィア(ビリュコワなど)⇒ソーニャ
タチアナ(ヴォロソジャールなど)⇒ターニャ
ダニール、ダニエル(サモヒンなど)⇒ダーニャ、ダーニカ
デニス(テン、ヴァシリエフスなど)⇒デニスカ、デーニチカ
ドミトリー(アリエフ、ソロヴィヨフ、ソポトなど)⇒ジーマ、ジームカ、ジーマチク
ニコライ(モロゾフなど)⇒コーリャ
マリア(ソツコワ、アルテミエワなど)⇒マーシャ、マーニャ、マニューニャ
マキシム(トランコフ、コフトゥンなど)⇒マックス、マキシムカ
ミハイル(コリャダーなど)⇒ミーシャ、ミーハ、ミーシカ
ロマン(サヴォジンなど)⇒ローマ
ユーリ(プリセツキー?など)⇒ユーリィ、ユーラ、ユーラチカ(よほど親しい場合)
ユリア(リプニツカヤなど)⇒ユーリャ

他、お知りになりたい愛称がありましたらお問い合わせください、なるだけ頑張ってお答えします。




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はじめまして。
ランキングから時々拝見させていただいます。
フィギュアは浅田真央さんが一番好きで、シニアしか見ていないライトファンです。
ランキングから伺って、あまりにも面白かったのでコメントさせていただきます。

各国による名前の呼び方の文化って面白いですね。
日本語は二人で会話する場合ほとんど名前を呼ばないと思いますが、
英語はファーストネームを二人で会話していても結構呼びますよね。
最近韓国ドラマを見てるんですが、フルネームを呼ぶことが多くて、
親が子供にフルネームで呼びかけていたりして不思議な感じがします。

と、色々国や言語によって違いはあると思うのですが、ロシア語のとっつきにくさは群を抜いていて、
ロシア文学は翻訳でも読めない体たらくなので、今回は勉強になったし、面白かったです!

フィギュアもですが、またこういうロシア語豆知識も期待しています。
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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