氷上の国のアリス ―アリサ・フェジチキナインタビュー


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(JGPFより。© РИА Новости)

先日のジーマのインタビューと同じインタビュアーが、彼の公認の恋人(?)であるアリサ・フェジチキナのインタビューをとってくれていました。これはぜひ対で訳したい!と取り組んでみました。
もうすでに訳された方、読まれた方いらっしゃると思いますが・・・

アリサのことは、今年のJGPSで、猫耳をつけて「Cuts」をやってた子、といえば思い出される方は多いと思います(写真上)。衣装のせいもあるかもですが、ふんわりとした砂糖菓子のような可愛らしいイメージの彼女ですが、中身はなかなかどうしてアスリートです。ジーマがベタ惚れな理由もわかりますね。

今回も、ロシア語者の友人に協力を仰ぎました。心より御礼申し上げますm(_ _)m

では、本文行きます。


++++++++++

<私は“可愛い女の子”を演じているのに、もっと“生意気”になれ、と言われます>

フィギュアスケーターのアリサ・フェジチキナは、彼女の最初のジュニア国際試合のデビューシーズンにおいて、バルセロナでのジュニアグランプリファイナルに進出し、またハンガリーのデブレツェンにおいて行われる世界ジュニア選手権に出場を決めました。フェジチキナはロストフ・ナ・ダヌー生まれの14歳。彼女はスケートについて、そして氷上の優雅さについて、彼女の生活を彩る様々な色彩について、そして10代同士で築き上げた強い友情についてを「R—スポーツ」のアナトリー・スモヴァーロフ記者に語りました。


F:3年前、サンクトペテルブルグに来ましたけど、ここはロストフ生まれの私には体験したことのない湿った気候でした。
最初はこの湿気になかなか慣れることができなくて、大変な思いもしました。でも、今はもう平気です。
夏の市街の美しさにはとても感動しました。ちょっと風邪をひいたりすることはあるけれど、同じようにサンクトペテルブルグのアカデミーでエフゲニー・ルカヴィツィンのところで習っている他のスケーターと今は何ら変わりありません。


S:ロストフを覚えています?


F:ええ。毎年夏か秋の初めに、合宿の前に帰っています。お父さん、姉妹、お祖母さんと犬がいるんです。


S:あなたがわかります?


F:犬ですか?ええ、もちろん!うちのチワワはいつも大喜びで私を迎えてくれます。犬なしではどこにもいかないわ。そしてドン河の砂の岸辺を一緒に走り回るの。
私の家は河に近いので、休暇中には一日2回は泳ぎに行きます。私は泳ぎもうまいんですよ。


S:そして、サンクトペテルブルグに戻りますね。兵営にゆくような気分になりませんか?


F:いいえ。夏も冬も、私はジーマ(アリエフ)と一緒です。休日にはいろいろなところに出かけます。
中心街や、冬宮前広場、そして映画にも行きます。楽しみを探してね。
でもあの時は最悪でした。私たち4人(ジーマ、アリーナ、ジアーナ)(訳注1)で、人形博物館に行ったんですけど、とても恐ろしかった。私はそんなに臆病じゃないつもりなんですけどね。


S:恐怖はスキーヤーの最初の敵となりますね。


F:私は、フィンランドにダウンヒルスキーをしに行ったことがあります。とっても気に入りました。
もちろん、プロ級のコースなんてとんでもない、素人向けのところですけれど。でも、私はスピードを出して、ジャンプもしてみました。怖かったけれど、ほんのちょっとだけね。トリプルトウループに入る前よりは(ちょっと怖かった)。


S:フィギュアスケートにおいて怖いもの、ってありますか?


F:転倒を怖がる人もいますが、私は違います。転んでも、起き上がって、さらに先にゆきます。
子供の頃、私は骨折しないように着氷することを教えられました。


S:サンクトペテルブルグでは、サッカーを見に行きましたか?


F:もちろん、ゼニート(訳注2)戦を見に行きました。けれども、私はお父さんほどサッカー好きではないんです。
けれども、ロストフ(訳注3)の選手を1人覚えています。ジューバ(訳注4)。とっても大きくて、力強いプレーヤーですよね。


S:そして、彼はとても優しいんですよ。


F:そうなの?
あと、モスクワでは、ホッケーのツェスカ対トラクトル戦を見に行きました。だけど、私はやっぱりフィギュアスケートや体操の方が好きだわ。


S:新体操をやったことはありますか?


F:いいえ。何度かリボンを投げてみたことはあるんですけれど、受け止めることができなくて。難しくて、きついスポーツですよね。


S:あなたのコーチであり、振付師でもあるオルガ・グリンカは有名な体操選手でしたが、教えてもらわないのですか?


F:私たちが一緒にするのは、ダンスやストレッチくらいです。そう、一般的にフィギュアスケートに必要、とされているものですね。


S:体操のことはチェックしていないんですか?選手や大会の動向を気にかけたりとか。


F:私が気がかりなのはジーマだけです。


S:何があなた達の強い友情を築き上げたのでしょう?


F:私たちは、ほとんど同じ頃にサンクトペテルブルグに出てきました。私はロストフから、そして彼はウフタから。
最初はみんな同じように付き合っていたのですけど、今シーズンにはすでに私と彼はより緊密な友情に変わっていました。私たちが、お互いをより深く分かり合えるようになっている、ということだと思います。


S:あなたの名前が使われた映画はいくつもありますね?どれが好きですか?


F:「不思議の国のアリス」かしら。実写版の方ではなくて、アニメーション。ヒロインが私に似ていると思うの。明るい色調のブロンドの髪とか。


S:「未来から来た彼女」(ソヴィエトのTVドラマ)は見ました?


F:もちろんです。とても面白かったし、アイディアが斬新ですよね。けれども、「不思議の国のアリス」の多彩で華やかな色調の方に私は惹かれます。洋服でも、明るくてカラフルな華やかなものが好きなんです。


S:でも、あなたのプログラムはそんなに子供っぽいものではありませんよね?


F:SPの振り付けはオリガ・ゲルマノブナ(グリンカ)です。
私は柔らかなドレスをまとったレディーで、王子様の来るのを夢見ているんです。でもまだ彼女には王子様は現れない・・・。そんなストーリーです。
FSはワレンチン・ニコラエヴィッチ(モロトフ)。有名な子供向けのミュージカルの中に出てくる猫を演じています。


S:年長のスケーターとの交流はありますか?


F:はい、私たちのチームの女子はみんなフレンドリーなの。特に、アリョーナ・レオノワと、エフゲニア・メドヴェージェワとは、とても仲良しです。


S:泣きたくなったときは、誰が慰めてくれますか?


F:いいえ、私は泣きません。
けれど、なにかうまくいかないことがあったなら、私はジーマに相談します。彼は私を元気づけてくれます。そして、私も彼を励まします。


S:泣きたくなるのは、どんな時なのでしょう?


F:悔しさや、(自分自身への)怒り、こういったもの以外にはありえないわ。
私は、リガのクランプリシリーズで、3位と0.3か0.4点の差で表彰台を逃したことを忘れてはいません(訳注5)。
ええ、その時私は泣きませんでした。感情が高ぶって怒りが湧いてきました。そしてその悔しさは私の中で大きな刺激となっています。
なにか練習でうまくいかないことがあって凹んだりすると、すぐにあのリガのことを思い起こすんです。すると、更なる悔しさが湧いてきて、もとの気持ちに戻れます。
そして、あの時のようにほんの小さなミスでメダルを逃したりすることのないように、と思い続けています。


S:ジュニアグランプリファイナルは、大きく重大な試合であるという感じはありましたか?


F:私は、幸運がこちらに向かってくる、と感じました。


S:追いつくのが難しい、と感じる選手はいますか?


F:私は、(プログラムが成功したら)誰がどれくらいの点数を取るだろうか、ということは大体わかります。けれども、練習中に気をそらしたりはしません。
私のすべきことはいつも同じです、全ての試合で表彰台に登ること。そうすれば、シーズンの大きな大会への代表の座が約束されます。


S:ポリーナ・ツルスカヤは、ジュニア女子シングルの絶対的な女王と言えると思います?


F:あらゆる試合のたびにそれを証明し続けていますよね。彼女は背が高くて運動神経の素晴らしく良いアスリートです。


S:あなたの切り札となるものはなんですか?


F:感情表現、と言えるかしら。
コーチは私に、(プログラム中に)出さなくてはならない感情を作り上げるのではなくて、どこで微笑んで、悲しんで、といったように自然と思いが湧き出てくるままにしなさい、といいます。そういったものをコントロールする力が私には既に備わっているのだと言ってくれます。


S:まさに、あなたのイーグルひとつとっても、それを見て取ることができますね。


F:私はただ単に氷の上に乗って滑っているのではなくて、それを楽しんでいるのが好きなんです。
それは感じたものそのままを演じているに過ぎないのです。私はプログラムを通して感じたままのイメージに溶け込んでいたい。けれども、そうしていると最も大事なものであるプログラムから注意がそれてしまうので、そこが難しいんです。


S:不良的なイメージには惹かれませんか?(訳注6)


F:(声を出して笑う)いいえ、全然。
私は本当に、今シーズンやっているようなロマンティックなイメージが好きです。そして、上品で華麗に見えるようにしたいのです。他の組み合わせは想像すらつきません。


S:14歳にしてあなた自身のスタイルを確定させてしまってよいのですか?


F:ええ、いいと思います。「可愛い女の子」(訳注7)っていうイメージってありますよね、まさに私はそれを演じています。
実際の生活でもそうですし。


S:それは生まれつきのものですか?それともそう躾けられましたか?


F:生まれつきですね。明らかに。スポーツには性格が出ると思います。


S:子供が「可愛い女の子」でいすぎると、親たちは「もっと生意気になりなさい」「自分を出して」「押しが強くてもいいのよ」(訳注8)などと助言すると思いますが?


F:ええ、私もその通りのことを言われます。氷上でだけじゃなく、実生活でも。


S:スポーツをする上でと、生活上のそれは異なりますか?


F:もちろんです!氷上での、というかアスリートとしての「生意気さ」「押しの強さ」は、「乱暴さ」とは無縁です。スポーツにおいて必要な「生意気さ」とは、より大胆に、柔らかい滑りの後のジャンプの入りにだって思い切って速いスピードで入って行けるような、そんな自信過剰すぎるほどに強気な感情を言うのだと思います。


S:しかし、それは難しくはありませんか?柔らかく、滑らかでロマンチシズムに溢れた滑りと、自信に満ち溢れた強気さ、生意気さを融合させる、というのは?


F:なぜですか?経験を積んでゆけば、全てを寄り合わせることが出来ると思います。


S:あなたが好きなシニアのスケーターは誰ですか?


F:アシュリー・ワグナーです。私の考えですけど、今シーズン、彼女はとても素晴らしいプログラムを持っていると思います。それは女性的であるとともに、ドラマティックさが同居しています。ロマンスとインパクトの融合のいい例ですよね。
それに、彼女のジャンプは本当に見事で素晴らしいわ。


S:一般的には、誰もがマオ・アサダを目標にしている、と言われています。


F:私はアシュリーが好きです。バルセロナで、私たち少しだけどおしゃべりも出来たんです。


S:多くの若いスケーターは、大会の重要性やメダルの価値を本当にわかっていないので、緊張感に欠けている、という人も多いようですね。


F:私にとって、ロシア国内での試合と、国際試合では、大きな違いはありません。クリーンに滑って、表彰台に登ること、ただそれだけです。その一方で、観客がどんな雰囲気が、というのに影響されることもあります。お客さんが声援をおくってくれたりすると、大体においてその熱気に支えられてうまくできます。
けれども、どんな時でも多かれ少なかれ緊張感はあります。私が最も緊張したのは、エカテリンブルグの(シニアの)ロシア選手権でした。


S:それはなぜですか?


F:私が知りたいです。いつでも、どこででもあんなことはありませんでした。オーバーヒートしちゃった感じ。
そのロシア選手権は、私にとってさらに上の大会がかかっているわけではありませんでしたし、失うものもなかったんです。それは私にとって問題ない試合のスタートのはずでした。
私は年齢制限に達していなかったですし、選手権の参加者にも入っていませんでした。単にシーズンの成績が良かったから参加させてもらえたに過ぎなかったんです。


S:エカテリンブルクが終わり、ハンガリーのデブレツェン、世界ジュニア選手権がおとずれますね。
そこで新しく経験できることは少ないと思いますが?


F:予測するのはやめましょう。3月中旬はまもなくです。

=====ロシア語本文=====


(訳注1)ドミトリー・アリエフ、アリーナ・フョードロワ(ラトビア出身のスケーターで、アリサ達と同じルカヴィツィン門下生)、ジアーナ・ペルヴーシキナ、の3人とアリサで連れ立っていったと思われる。

(訳注2)ゼニートとは、サンクトペテルブルグをホーム(根拠地)とするロシアプレミアリーグのサッカーチーム。スケーターでは、トランコフとクリモフがこよなく愛しているチームでもある。

(訳注3)ロストフは、アリサの出身地ロストフをホームとするロシアプレミアリーグのサッカーチーム。強豪の1つ。

(訳注4)アルチョム・ジューバ。モスクワ出身のサッカー選手。フォワード。2013-14シーズンにスパルタークからロストフにレンタル移籍。アリサが彼を知ったのはこの頃のことと思われる。現在はゼニート所属。

(訳注5)2015JGPSラトビア大会のこと。3位のダビンが168.29、アリサは167.59で4位に終わる。⇒女子リザルトページ

(訳注6)原語は“フーリガン”の意。暴れ者、不良性を帯びた、など。記者はここで、アリサに今までとは全く毛色の違ったプログラムをすることに興味はないのか、というような問い掛けをしていると思われる。

(訳注7)ここでは文字通りの意味であるが、原語には「ウジウジしていてはっきりしない」「内気」「世間知らず」といったネガティブな意味もある。このネガティブな意味が(訳注8)とも関連してくる。

(訳注8)ここでは(訳注7)の意味をネガティブに捉え、「もっと生意気に」「押しを強く」と促している。タイトルにもあるように、この「可愛い女の子」と「生意気さ、押しの強さ」という言葉の対比が、少女としてのアリサと、アスリートとしての彼女の人間像を引き出す鍵になっている。


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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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