それでも私はリンクに上がる ―選手たちの執念

体調管理も実力のうち・・とよくいわれますが、人間、一年のうち体調も万全、怪我、病気まったくなし、精神的にも高揚している・・・という日が何日あるものでしょうか?まず、数えるほどしかないことでしょう。
そして、決して動かすことの出来ない試合の日・・・。
となれば、少々体調が悪くても、怪我があっても、選手たちはリンクに向かいます。
それまで培ってきたものすべてを出すために。

1995年全日本選手権の井上怜奈さん。演技終了後、無良コーチに抱きかかえられるようにして担架に乗せられ、その上で泣き崩れる彼女が痛々しい。けれども、解説の小川さんの台詞
「かわいそうですけれど・・試合は待ってくれませんからねぇ・・・」
残酷なようですが、これもまた真実です。
Rena Inoue 1995 Japan Nationals LP



長野五輪のアレクセイ・ヤグディン。まだ、“精悍な芋”といった感じの17歳。
当時、選手村で蔓延していたインフルエンザ(現在だったら大パニックになっていたろうと思いますが)に罹患し、高熱を押しての演技でした。クワドの転倒もそうですが、当時のヤグにしては、かなりジャンプが不安定ですよね。
Alexei Yagudin 1998 Nagano Olympics LP 'Troika'



2009年の欧州選手権のセルゲイ・ヴォロノフ。蒼白な顔色と目の周りの隈で、なんか逆に表情に凄みが出てますが(笑)
当時、慢性的な倦怠、悪心にずっと悩まされていた彼。公式練習ではダブルジャンプも満足に飛べなかった、という状況で、シーズン前の手術の際に併発した敗血症の再発が疑われて、大会が終わると即刻入院、病理検査、だったのでした。
Sergei VORONOV FS ECC 2009



そして、ソルトレイク五輪のエフゲニー・プルシェンコ。インフルエンザの発熱の中五輪を迎えた彼。
今にして思えば彼らしからぬSPのコンボでの転倒は、すでにかなり症状が重かった、ということなのでしょう。当時の採点システムでは、ヤグを抜くことは絶望的という状況、そして、熱の下がらぬまま迎えたフリー。『やけくそカルメン』の異名がついてますね。
エフゲニー・プルシェンコ ソルトレイク五輪 FS 2002年



たとえ、体調不良や怪我があっても、選手たちは“動けるならば”“滑れるならば”リンクに上がって行こうとします。

なぜならば。。彼らはその日のために努力をし、研鑽を積んできたからです。
そんな選手たちの演技について、傍からいろいろ言うのはたやすい。
特に井上さんの試合は、当時テレビで見ていて、うわ、もういいよ、もうやめて、、と叫んでしまいそうになりました。本当に見ているだけでつらかったです。咳き込む様子がテレビでもわかりましたし、演技中は涙をぬぐうことすらできない。つらかったろうな、と思います。
けれども、確かこのとき、体調管理もできずに無様な姿さらして・・的な論評もあったような気がします。

しかし、万全の体調で臨めず思ったような演技が出来なくて、一番悔しく、悲しいのは選手自身でしょう。
そして、彼ら、彼女らは、リンクに上る以上、いかなる批判も一身に受ける覚悟をしているでしょう。。そして、どのような結果が出ようとそれを受け止める決心もしているはずです。

それを考えると、決して軽々しい批判はできないと思うのです。



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称えたい

怜奈ちゃんの演技、見てましたよ。
もう、辛くて辛くて。

“どうか最後まで演技できますように”と祈る気持ちで見てました。


>選手たちは“動けるならば”“滑れるならば”リンクに上がって行こうとします。

執念ですよね。
“滑りたい”と言う気持ちが伝わって来る。
あきらめたくない、って気持ち。

そうですよね。この日のために厳しい練習に耐え、参加資格を得たのだし。

そこに立つまでに選手が払った犠牲や努力を批判と言う形で踏みにじりたくないです。

体調だけでなく、転倒や落下(ペア競技)でダメージを受けながらあきらめない選手達も同じですよね。

ユナとまおの対決ばかりが注目がされた09ワールドだったと思うのですが、フランスのキャンディス・ディディエがジャンプで転倒、腰を打って苦しそうだったけど、バンクーバーの出場枠を確保するため、彼女は頑張ってリンクに戻って行きました。

あきらめない気持ちの浦には、様々な理由がありますが、そうした選手の気持ちを称えたいです。
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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