セルゲイ・ヴォロノフの欧州選手権の足跡 ― 初出場(2008年)から今年まで

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ユーロを終えて、セリョージャの長いインタが出て、それを読みつつ、彼の足跡を思いしみじみとしているのですが・・・
(しみじみしすぎて長くなりましたすみません)

この写真はSPのスモールメダルセレモニーの後のプレカンの際のものではないかと思います。(すっかりおなじみになったセーターですね)
愛おしげにじっと銀メダルを見つめ、箱にしまおうとするセリョージャ。この時の彼の心に何が去来していたかを思うと、涙が出そうになります。

ユーリさんがブログで訳してくださっていますが今日触れるのはこの部分です→ロシアン・フィギュアスケート・フォレヴァ


ユーロを中心として今年の自分の戦績の自己分析、そして初出場時のユーロのことも振り返っています。
思えばあれは2008年、セリョージャがシニアに本格的に参戦した年でした。(2007年のシニアGPS、ワールドにも出ていますがこの時はジュニアとの掛け持ち。ちなみにジュニアワールド銅メダル)

2008年、ユーロ初出場の際に演じたFSは、前年に出場した代々木ワールドで見たバトルとサンデュに憧れ、「彼らのように滑りたい、踊りたい」と言ってコーチのウルマノフの反対を押し切って選んだピアソラのタンゴ。
男の色気なんて皆無で、あのニヤリ笑いも相まってまるで挑みかかるような「お前、喧嘩売ってんのか」って感じのタンゴでした←褒めてます
案の定、このプログラムは日本の解説者陣からはボロクソ(笑)。「この演技には、曲がタンゴである必然性を感じない」とまで言われていましたねえ。唯一褒めてくださったのが樋口先生で、「彼には体で音楽を表現する天性の才能がありますね」と言ってくださったのだったかな。

まだ、若くてやんちゃで怖いもの知らず。シャバリンから「野獣」と言われていた、というのはこの頃でしょうか。

この演技で彼は前年のワールドチャンプだったブライアン・ジュベールを破り、FSでの銅のスモールメダルを獲得し4位となり、初出場ながらEXにも出場したのでした。



彼いわく、「昨日のことのように覚えている」というユーロ初出場。ジュベールを破ってのスモールメダルに関しては国内外からいくつものインタビューを求められ、「光栄なことだ」というようなコメントを出していましたが、本人はどうやらピンと来ていなかったらしく
「なんか俺、凄いことやっちゃったみてえ」
という感じだったのではないですかね(笑)

家に帰って家族に
「なんかすごいメダル獲っちゃったみたいなんだ!」
と叫んだ、というのがそれをよく表しています。

こちらEX




初出場、ということもあってか、かなり詳しく彼自身のことも紹介してくれています。
ラファエル・アルトゥニアンの渡米に伴い彼から離れ、サンクトペテルブルグに出てきて1994年のリレハンメル五輪金メダリストであるアレクセイ・ウルマノフに師事している前途有望な若者、といった感じかな。
多分振り付けはウルマノフであると思われます。セリョージャの好きなアーティストはビートルズとスコーピオンズなのだそうで、この「Still Loving You」のEXはよほど気に入ったらしく、3年くらいやってたんじゃないでしょうか。
この頃彼は「僕を信頼し期待し続けてくれたのはアリョーシャ(アレクセイ・ウルマノフのこと)だけでした」
と言っていて、同年輩のライバルにウスペンスキー兄弟やドブリン、グリャーツェフがいましたから、その中で自分は2番手、3番手、とみられていたことをよく知っていたんでしょうね。だからこそ、ロシアンチャンプになったことが本当に嬉しかったんだと思います。

ただ、彼がこの時のスモールメダルの重みを身を持って知るのはそれからすぐのことでした。

病や五輪選考落選のショック、コーチ替えなどで、彼のFSのPBとなっていたこの時の点数を何年も超えることができず、あがき苦しんだのです。
インタビューで、「試合の経過は残らない。残るのはスコアだけだ」と言っているのは、苦汁を飲んだこの頃の事を思い起こしてではないかと。
2010-11シーズンを除いてはずっとユーロに出場し続けながら、この時の成績を超えることができない。
挙句の果てに、連盟のお偉方からは「セルゲイ・ヴォロノフには技術的な進歩が感じられない」とまで言われる始末。
当時のプログラムの内容もあるんでしょうが、溺れるように、もがくようにステップを踏む彼の姿はまさにその心境を暗示しているようにも見えました。

そして昨年のユーロ、やっとその重しが取れる日が来ました。

コーチをエテリ・トゥトベリゼに変え、何年も入れていなかった3Lzを戻してのプログラム。

奇しくも、あの時と同じタンゴでした



やはり日本の解説の方からは「タンゴじゃない」と言われているのが(苦笑)
ただ、ちと弁護しておきますと、彼はシーズン初頭のインタで
「タンゴの曲を用いて“捨てられた男”を表現する」と言っていて、まさにそれは成功してると思うんですね。
前半の大きなジャンプで静かに哀しみを爆発させながら、終盤近くでスピンから「タンゲーラ」に曲が変わってのコレオの部分なんか、捨てられた恨み、憎しみをも込めながら
「でもお前が必要なんだ帰ってきてくれぇ!」
と叫ぶ男のようで、(艶っぽさは確かにないですが)これはこれで彼らしいんじゃないか、と思います。(贔屓目すぎか)
ただ、彼の点数のバラつきっていうのはきっとこういうところで現れるんだろうな、とこの解説を聞いていて思ったのでした。

この時のユーロでSP2位、FS2位となって総合2位となり、やっと初出場時の成績を上回ることができたのでした。

こちらEX




本当にこれを見た時、年月と経験はこれほどまでに人間を変えるものか、と思いました。やんちゃな少年が、これほどまでに深みのある演技をするようになった。遠回りをしたように見えた歳月も決して無駄ではなく、彼は自分の中でそれを栄養にし成長してきていたんだと。
ああ、これまで応援させてくれてありがとう、セリョージャ、としか思えませんでした。

そして、「ある順位(昨年の2位のことでしょう)以下には絶対になりたくない」
との強い思いを込めて臨んだ今回。思いが空回りしすぎてピーキングがうまくいかず、不調のまま挑んだ試合ではありましたが、しっかりと結果は出しました。
「周りが崩れたから棚ぼた」的な言われ方をしてもいるようですけれど、君は「それ以上に崩れなかった」からこそ台に乗れたわけで、それは胸を張っていい。
セリョージャは「連続して実績をあげ続けること」に非常にこだわり、インタビューの中でもそれを述べています。それが彼の確固たる自信であり、プライドなのでしょう。
ファンとしては、そこのところがなんで彼をもっと評価しないかなロシアスケ連は・・・と思う部分でもあります。

今年のEX。衣装のせいかワイルドさが増しているかな。



ワールドでもぜひ、君のEXが見たいと思う。今しばらくは体も心も休めて、ワールドに向かって欲しい。とにかく怪我や病気のないように、そして順位云々よりも、君が心から満足のいく演技でワールドを終えることができますように。


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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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