父とスポーツ ―武士道の名残

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今回はちょっと趣向を変えて、父の思い出など。

私がここまでスポーツ好きになったのは何といっても父の影響。考え方、受け止め方も父の影響が色濃いです。はい、ファザコンですw

父はプロ野球・高校野球や大相撲はもちろん、フィギュアスケートをはじめ、スピスケ、ノルディックスキーといったウインタースポーツ。マラソン、駅伝をはじめとする陸上競技。そして世界選手権や五輪で報道されるあらゆる種目を見ていました。ネットが普及するはるか前ですから、新聞、ラジオ、TVのそれも地上波が主です。
私のスポーツ観戦の原点は、NHKのスポーツ報道(昔の!)とそれに付随する父の解説です。

今から思えば、
「なんであんなに詳しく知っていたんだろう?」と思うほど、マイナースポーツにも詳しく、7時のニュースでほんの何行か、結果だけしか出ないような種目でも尋ねれば即、どんな種目でどんな選手が強いのか、といった返事が返ってくるのでした。
例えば
「フィギュアスケートのペアとダンスの違いって何?」といえば
「見て分かるのはダンスの方が男女の体格差が少ない。そして密着度が高いんだ。で、女性の衣装を見てごらん、スカートが長いし装飾が多いだろ?ペアと違って回転するジャンプとかないからね。その代わり足さばきがキチッと揃って優雅じゃなくちゃいけない。元々が舞踏会とかのダンスなんだよ。だから日本にはダンスには宮様杯があるんだ」
ノルディックスキーの種目。札幌五輪当時、報道で「純ジャンプ」という書き方が多かったことについて尋ねると、
「ジャンプだけのものとは別に「複合」という種目が存在し、それはジャンプ+クロスカントリースキーで争われること。クロカンは地味だし、日本人は耐久力がないせいもあっていまいち強くない種目だから、ほとんど報道されない」
などと教えてくれました。他の種目も同様。

学生時代からやっていた、という陸上短距離は地方レベルですが審判の資格を持ち、結婚するまでは大会の運営の手伝いなどもしていたらしいです。
そんな父がくり返し言っていたのが、

「勝者に尊敬をはらうことはもちろんだが、それ以上に敗者に対する労りと敬意を忘れちゃいけないよ。」
「スポーツは結果が全てだから勝敗について云々言うのはナンセンスだけど、それに向けて努力した選手の努力の経過は決して軽んじられてはならないんだ。」
「選手が何よりも知らなくちゃならないのは、自分に何ができて何ができないか、だよ。これは監督も同じ。出来もしないことを無理やりやろうとするのは挑戦どころか無謀だよ。」


ということでした。それはおそらく、自らも選手であり、そして年を経て「審判」という立場で若い選手たちを判定する側になったことからきていたのでしょう。

昔(今もか)は世界選手権や五輪、といった大きな国際大会に出場する選手は過剰とも言える期待をかけられ、メダルが取れないとそれこそ罪人のような扱いをされていたこともありました。しかし父は、メダルを確実視されていた選手が初戦であっさり負けたりすることがあっても、

「いつもいつも同じ成績が出せたら人間苦労しない、だったら大会やる意味なんてないじゃないか。4年に一度にきっちりあわせて来れて実力が発揮できる、それが本当に強い選手なんだ」
と口癖のように行っていました。

そして、どんな競技にも根本となる信念があって、それと選手の安全を守るためや、技術の向上の狭間で揺れながらルールは定められている。一見個々人の選手に有利、不利なルール変更が行われたとしても、長い目で見ればそれは競技全体の技術の底上げと選手の安全性を重要視しているからだ。
強い奴はどんな状況下に置かれたって強いし、実力を発揮できるものだ。でなきゃそれは本当に強いってことじゃない
、というのが持論でもありました。


スポーツ全般、そしてそれに取り組むアスリートたちをこよなく愛した父。そんな父がやっぱり一番好きだったのが自らの原点となった陸上競技でした。それもトラック競技、短距離。
ベルリン五輪のジェシー・オーエンス(写真)に憧れた、と言っていましたから、本当に好きだったのでしょう。
遺品を整理していたとき、東京五輪の100メートル予選のチケットの半券が出てきたのは忘れられません。本当に、三つ子の魂百まで・・とはこのことか、と思いました(笑)

父がなくなったのはバルセロナ五輪の終わってしばらくしてのことでした。そう、日本男子トラック種目であのロス五輪100mの吉岡隆徳さん以来60年ぶりに、高野進さんが400mでファイナリストとなった大会です。


さぞかし興奮してみていたのだろうなぁ、と思います。吸いかけのハイライトの箱とともに、五輪の陸上関係の記事を片っ端から集めて棺に入れたのを思い出します。

生前の父に
「もし日本が陸上短距離でメダルが取れるとしたらなんだと思う?」
と聞いたとき、
「うーん、4継(100×4リレー)か、400mハードルだろうな。100、200はやっぱり人種的に日本人選手は敵わないよ。ただ、4継ならバトンパスと曲走路を走る選手の技術、4パーはハードリングの技術でなんとかなるかもしれない。同じハードルでも110パーはやっぱりスピードとパワーがいるしな、別もんだからな。」
その父の予測通り、4継はアテネ五輪4位、北京五輪で銅、という結果を出し、4パーは山崎一彦、苅部俊二、といったファイナリストを排出し、五輪メダルには手が届いていませんが、為末大が2度にわたって世界選手権のメダルを手にしたのでした。

北京オリンピック 陸上男子 4継 決勝


多分この4人の中で一番好みだったのは3走のスリムで技巧派なスプリンター、高平慎士だったろうと思います。
高平慎士「素顔のアスリート」
http://sports.fujitsu.com/trackfield/real_athlete/tf_06_vol07.html




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すいません。記事あげられてから随分たっているのに、気がつくのが遅くて今頃感想を。

2年程前から、Doraさんのブログを読ませて頂いています。ブログの大フアンです。
いつもはROM専ですが、お父様の思い出、あまりにじーんとしてしまい。コメントさせて頂きました。

とっても素敵なお父様ですね。大切な思い出の御裾分けありがとうございました。
お父様のスポーツや選手への思い。すごく共感しました。そして、それはDoraさんの中に生きておられる。そんな風に感じました。

数年前、あるフィギュアスケートの選手の演技を観て、フィギュア観戦の沼に落ち込んでしまいました(笑)もっとフィギュアスケートのことを知りたい!と思ってブログの海を漂っていた所、こちらに辿り着きました。昔の名選手の動画のご紹介など、独自の切り口が楽しくて!本当に素晴らしいブログだと思います。今後も、更新楽しみにしております。

・・・ふぅ!初コメ緊張しましたwww
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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