哲学する野獣 -セルゲイ・ヴォロノフ欧州選手権直前インタビュー

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ユーロSPを控えて、セリョージャの直前インタビューです。珍しくえらいアグレッシブだな、と思ったらさにあらず、最後はいつものように哲学してました。

シニア上がりの頃の彼は、勝気で激しい性格、当時コーチだったウルマノフとも喧嘩してでも自説を曲げない、という一徹なところからシャバリンに「野獣」と言われていたそうです。
しかし、読書家としても知られていて、インタ等読むと非常に内省的な面が多々見られ、プログラムへの取り組みも、その曲の謂れや作家の性格などを研究したり(18歳の時のFS,「パール・ハーバー」のためにルーズベルトの演説集を読んでいた、という話は有名)オフのインタでは最近読んだ本について語りまくっていたりします。そんな彼の一面は以前こちらに書きました→セルゲイ・ヴォロノフ「趣味、読書。尊敬するアスリート、ランス・アームストロング」(ランスのドーピング発覚以前のことです)

以下インタです。こちらについてはいつもお世話になっているユーリさんが既にご自分のブログ「ロシアン・フィギュアスケート・フォレヴァ」で全文を訳されていますので、参考にさせていただきました。

+++++++

コフトンとプルシェンコのどちらが五輪に出ようと僕には関係ない
 セルゲイ・ヴォロノフ


(ソチ出場について聞かれて)
うーん、みんなその質問が好きですね。僕はユーロについて話しているんだけれど。僕にとって大切なことは、まさに対峙しているこの欧州選手権に向けて一歩一歩進んでいくことであって、その次に何が起こるかなんて考えてもいないんですよ。今僕はユーロを前にして課せられた課題を如何に最高の方法で成し遂げるかで頭がいっぱいなんです。だから、それがオリンピックにせよ世界選手権にせよ、なぜ今考えなくちゃならないのか?
それらは目の前の仕事を片付けて初めて見えてくるものです。


(マスコミから「オワコン」扱いをされていたことについて。この記事の冒頭にも「思いがけなく蘇ってきたヴォロノフ」という感じのリード文が付いています)
ああ、僕はもう終わりだ、って思われていたことについて?
僕はまだたった26歳ですよ?周りを見てみれば僕より年長者はたくさんいます。例えば、全米を取ったアボットは29歳。彼も確かに限界が囁かれていたけどあんなにのびのびと演技をして全米を制しましたよね。年齢が「選手生命の終わり」という根拠になりますか?
僕は年齢によってアスリートを判断することは、とても視野が狭い議論だと思います。大切なのは、自分がどう感じているか、ということです。そして、僕はまだまだ元気ですよ。それに、成し遂げていないこともたくさんある。これは、エテリのところでやり遂げよ、という神様の思し召しじゃあないかな。(注1


<中略> ここで現在のエテリ・トゥトベリゼコーチとそのグループの内情等詳しく語っています。


以下、一問一答形式で。

Q>世界で通用する一流のスケーターになるためには何をしたらいいか、という具体的な目標はありますか?例えばコフトンのように、FSで3回のクワドを入れるとか。


V>何があろうと、やるべきことをその時その時に応じてきっちり行えば自然とそうなる、と思っています。


Q>それは太古の昔からすべての人々が知っていることですよね?


V>ええ。噛み砕いて言うと、演技にさらに確実性を持たせることです。そしてこれは高難度なプログラムを行いつつも、ミスをしないということにこだわらないこと、でもあります。スケーターはみなこの事を分かっているはずです。ただ、それがいかに難しいか。
全ては我々の手の中にある、如何に努力するか、というね。でも、ほんのちょっとの幸運であっても、それを掴み取るのも重要なことです。これが僕の出した答えですよ。


Q>最近巷ではプルシェンコかコフトンか、どちらが五輪に出場するべきか、という議論が盛んです。それについては?


V>僕個人としては、片方の美点欠点を詳しく上げ、他方にも同様に、というのはとても難しいテーマです。当然よりふさわしい人がゆくべきですが、ここでコフトンが勝った場合、ナショナル、ユーロ2つの優勝者、として議論の動機付けには確かなものになるでしょうね。
ただ、ぶっちゃけ僕にとっては内心どうでもいいことなんですよ。これが、僕自身が他者と争っているんであれば答えはすぐ出せます。。


Q>それはなんと?


V>もちろん僕ですよ!ってね。


Q>ブラーヴォ!やっとポーズや衒いのない自身のエゴイズムについて認めましたね。


V>何を隠す必要があります?
我々は個人競技者であるのだから、突き詰めれば全員が利己的ですよ。僕は常に自分の味方だし、何故他人の側にたたなければならないのですか?
本当に、僕にとってはどちらが出場しようが一緒です。


Q>あなたは似たようなシチュエーションの真っ只中にいたことがありましたね。その際あなたは補欠に回された。以前ニコライ・モロゾフがバンクーバー選考の際に受けたあなたのトラウマを治すのに半年を要したと言っています。


V>あの悲劇的な出来事があったからこそ、僕はここまで強くなれた、と今となっては言うことができます。
当時は、どうしたらいいいのか、どこへゆけばいいのか全くわかりませんでした。(注2

しかし、あれから4年が経った現在、あの頃あれだけ望まれたボロデュリンはどうなりました?

(選手としてのキャリアを)終えてしまいました。

では僕は?

ここにいます。欧州選手権に対峙しています。

続けているんです。

それだけではありません。毎年行われる過酷なロシア選手権に参加し戦い続けています。その中で、表彰台落ちは1度だけ、それも4位です。この熾烈な競争の中に身をおいているんです。

誰がどのような人間であったかは時が経つにつれて明らかになります。

人生は全ての人々に試練を与えます。その中である者は脱落し破壊され、けれどもまたある者はそれを乗り越えて歩み続けてゆくのです。


===本文===

+++++++++

まー、ラストの段落なんてまるで哲学詩ですね、ってことで若干意訳を加えてます。
彼のインタは理屈っぽくてもって回った言い回しが多くて、読んでてある意味楽しいんですが(ミーシンポエムもそうですが)昔ロシア文学にハマった自分としては、あー、ろしあんよねー。と思ったりもいたします(笑)

そんな彼が今年EXに選んだのがこの曲でした。「(戦わずして)諦めない」という意味だそうです


本当に、激しさと強さを併せ持ったいい選手になったなぁ、と思います。JWで小塚くんと台乗りしてニコニコしていたのを思い出すと感慨無量、といいますか。
この発言から行くと来年も続けてくれそうなので、ほっとした反面、これからも頑張って欲しい、と思います。

そして、まずは今日これからのユーロですね!楽しみです。


注1)ここではアボットについて語っていますが、おそらく彼に大きな影響を与えたのは昨年のユーロ選考~ワールドに至るまでの一件だと思います。特に、メンショフの行動や発言はかなり思うところがあったかと思います→私の限界を他人に決めつけられたくはない ― コンスタンチン・メンショフ

注2)このバンクーバー選考の経緯についてはいずれ詳しく掘り下げたいと思います。この一件が原因で、彼は長くやってきたコーチのウルマノフと訣別することになりました。2人の性格からいって、いずれは別れる時が来たでしょうが、あんなにひどい別れ方をしなくても済んだだろう、と思います。

当時のボロデュリンの発言(五輪メンバー決定直後)

Q)(あなたの五輪選手選手選出によって)バンクーバー五輪には補欠となったセルゲイ・ヴォロノフ選手に同情しますか?

B) オリンピックに出られるのは嬉しいのですが、しかし、ヴォロノフにヨーロッパ選手権で失敗してほしい、とは思っていませんでした。
ライバルに対する惻隠の情については、ここで述べてもいいものかは躊躇いがあります。
だって、彼にはバンクーバーへ行くあらゆるチャンスがあったのです。ナショナルで勝ち、ヨーロッパ選手権のメンバーに選ばれて、そしてその中でいつもの自分に出来る演技をしさえすれば良かった。しかし、それが彼にはできなかった。
・・・・・これは、運命というしかありません。
もちろん今、彼は悔しがっているでしょう。だからこそ、彼はこれから粘り強く練習していくと思います。、世界選手権へ向かうチャンスは残されています。彼のキャリアはこれで終わったわけではないのです。


ウルマノフの発言(ワールド後)

「セリョージャは、自分がモスクワ生まれである、と繰り返し言いました。そして、ペテルブルグは自分には合わない、と。ネヴァの流れですら自分の眠りを妨げる、と。
我々は8年間彼と一緒にやってきました。そして、彼に快適な生活を送らせるよう、全てを尽くしてきました。フィギュアスケートアカデミーの側にアパートを無償で提供し(最初は1部屋、現在はベッドルーム付きの2部屋)、トレーニングに関しては申し分のない状況を与えてきました。
しかし、そんなアスリートが、故障の原因を曇り空に求めてもどうしようもないのです。コーチが太陽を作り出せるとでもいうのでしょうか?それは無理です。・・・・以下略」


そして当時、彼から相談を受けていたレオノワは、「彼は、愛する故郷であるモスクワに帰ったのです。」とブログに記していました。

彼が今モスクワに拠点を置いて活躍していることを見ると、モスクワの母なる大地がかれを蘇らせ力を与えた、ということなのかもしれません。



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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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