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還ってきたヴォロノフのトリプルルッツ -フィンランディア・トロフィー

g3cFD2pk.jpg
(まだ今年のフィン杯表彰台写真が見つけられなかったので、これは2010年のもの、高橋君の復帰戦ともなったフィン杯)


フィンランディア杯が終わり、男子は羽生君が優勝。



男子リザルト
プロトコル→
SP
プロトコル→FS


2位のセリョージャ(ヴォロノフ)のFSのプロトコルのなんと綺麗なこと!オール加点!
そして、彼には定番の4Tと3A2本とともに、トリプルルッツが!

実はセリョージャの台乗りより何より嬉しかったのがこれでした。セリョージャのトリプルルッツといえば、国際戦ではおそらく2006年のジュニアワールド(小塚くんが優勝した年です)以来。

Sergei Vorovov JW 2006 FS


冒頭の、後ろを向いて左側に滑って行って、左足を外側に傾け、右足の爪先を突いてビシュって感じで踏み切って跳び上がってるのがルッツジャンプです。
アクセルジャンプ(前向きに踏み切るジャンプ)を除けば、一番点数の高いジャンプです。
きれいなトリプルルッツ。加点ももらってます。

昨年までセリョージャはこの3Lzをプログラムに入れていませんでした。

ジュニアのころの古傷が、このジャンプに一番響くのだそうです。その古傷っていうのが、疲労からくる踝の剥離骨折で、骨がささくれ立つように割れていて、その部分に軟骨ができてしまっている状態なんだそうです。セリョージャがコーチをウルマノフに頼んだ時、ウルは東奔西走して医者を探してくれ、そしてどの医者からも「完治不能」という宣告を受けたのだそうです。そしてウルマノフもそれを知って、セリョージャのコーチを引き受けたのだそうでした。
そんなセリョージャの古傷に、一番響くのがルッツジャンプ、次にフリップジャンプ、次がトゥーループジャンプ(クワド)なのだそうで、このころはまだクワドが安定して決められませんでしたから、古傷をおしてルッツを跳んでいたのでしょうね。

そして、これが彼の最後のトリプルルッツ、となっていたのでした。

彼の足の古傷の状況を知り、もう試合では彼のルッツジャンプを見ることが出来ないだろう、いや、選手生命を縮めてルッツ跳ぶなら、跳ばなくてもいい・・・と思っていたのでした。

2年連続でロシアチャンプになり、ワールドに出場しても、トリプルジャンプを全種類跳べないチャンプなんて・・・と批判を受けたことも多かったようです。確かに、男子の場合、1プロの中にトリプル全種揃え、なおかつクワド(4回転ジャンプ)を入れることができてこそ一流の証、という声も多いのです。

「できない」わけではない、この怪我さえなければ・・・と何度も思ったことでしょう。

このトリプルルッツを見るたびに切なくなります。あの『タンゴ』のなかに、『ゴッドファーザー』のなかに、トリプルルッツを入れたかっただろうなぁと。

やっぱり男子のジャンパーの超一流の証は【5・4・3・2】(5種のトリプルジャンプ、4回転ジャンプ、3つのコンビネーションジャンプ、2本の3A)ですから、少しばかり寂しい思いもしていたわけです。
今年になって付いたトゥトベリゼコーチがセリョージャを説き伏せ、3Lz挑戦を思い切らせたようです。

その前に一度、セリョージャはルッツに挑戦したことがあります。それは2009-10シーズン、バンクーバー五輪を目指す年でした。
やはりその時もフィンランディア杯。高橋君の復帰戦となった大会でした。



優勝は高橋君でしたが、フリーはほとんどノーミスで決めたセリョーじゃがトップ。
「たとえフリーだけであっても、ワールドメダリストのタカハシに勝てたということは本当に嬉しいし光栄なことだ」
と述べていました。
同プロ、これは荒川さんの解説
もうホントに、冒頭に笑っちゃうくらいクリーンな4T.友人いわく
「クワドが来る、と思ってないと見逃すよ、これ。まるで3Tみたいに軽々跳んでてぇ」
全くです。
そして、次に来たのが、2Lz-3T.

うわー、まじ?

前シーズンの初頭のインタでは
「まだ、骨に響くのでルッツは入れません。ここ2年ほど練習でも跳んでいませんから」
と言っていたのに。手術で敗血症を併発したり、ストレスからくる内臓疾患を患ったり。、そしてオフシーズンの短期間で、試合で入れられるまでになったのか。

状況が許せばルッツをトリプルにして3Lz-3T。
もし疲労が残るようなら2Lzを2Aにかえればいい、という構成なんだろう。

たとえロシア2連覇しても、誰よりも安定して(君より安定していたのはジュベールくらいか?)クワドを決めても、上層部からは
「ジャンプを全種揃えられないロシアチャンプなんて」
「男子の癖にセカンドがダブルなんて」
などといわれてきたのは知っていた。
だからこそ、怪我をしょってる君が切なかったのだが。。

だのに、このオリンピックシーズン最初の国際試合で、両方ともクリア(たしかにダブルではあったけど)してみせるなんて!

クワドもそうだが、2Lz-3Tのセカンドトリプルも、ホントに綺麗だった。高くて軸の細い、本当に君らしいジャンプだった。
この時もセリョージャがルッツ?3年ぶりじゃない?それにセカンド3T!とダダ泣きしていたのでした。

表彰式の様子をみても、本当に嬉しそうなのが伝わってきた。

そして、この年のプロはSP,FS,EXとも本当に出来の良いものが揃っていたから、なんとしてもバンクーバーに行って欲しかった。が・・・

バンクーバー選考、そしてワールド、とセリョージャには辛いことが続き、このまま挫折してフェードアウトしてしまうのか、と思ったこともあった。

でもきっと彼は帰ってくる、と信じていました。





そしてこのフィンランディア杯。彼はあのトリプルルッツを引っさげて帰ってきたのでした。

白皙の美少年が、髭面のたくましい青年になってはいましたが。。

Finlandia Trophy 2013 -Sergei Voronov-FP



逆に、Lz、Fが満足に跳べない、ということでクワドと3Aに道を求めるしかなかった、それが今のクワドジャンパーとしての彼を創りあげたとも言えるのではないかと思います。フィンランディアのFSの4Tの加点は+2。彼の着氷の美しさ、3Aの高さは絶品です。

怪我と戦いながらここまでやってきた彼に五輪シーズンにフィギュアスケートの神様が3Lzを返してくれたのかもしれません。


日本では羽生くんの優勝が華々しく報道されているけれど、ずっと古傷と戦いながら滑ってきた君を、私は心から誇りに思う。

強い心と激しさを持った君に、神の恩寵がありますように。



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テーマ : フィギュアスケート
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はじめまして

彼にそんな事情があったなんて全く知らなくて、読みながら涙出てきました(;_;)
選手達は皆それぞれ事情があったり、並々ならぬ努力で様々な試練を乗り越えてきてるんですよね。
本当に選手一人一人を尊敬します。

すごく愛に溢れた記事で心がとても温かくなりました。
ありがとうございます(*^_^*)
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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