よく見れば何の疑問もない -世界選手権男子シングル

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えー、ちょっと気になる記事を見つけたので。
フィギュア=世界選手権、不透明な採点システムに疑問の声

うーん、微妙にミスリードしてるなー、という気がするな、この記事。
まず、フィギュアスケートはSP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)の合計から成り立っていることが触れられていない。
チャンが2回転倒したのはFSであって、SPはまさに完璧で、ダントツのトップに立っていた。


ISU WORLD 2013 - MEN SP -28/30- W.R. Patrick CHAN
http://www.youtube.com/watch?v=0uJ2bYe_Yfs


私の周りではこれの点数に関してはほとんど非難はなかった。むしろ、もっと出していいよ、100点台乗せちゃっていいよ!の声すらあった。
スピードのあるスケーティングから流れるような4T-3T。SPでも後半ジャンプに加点がつくようになってからは、クワドコンボは4-3でないとほとんど意味をなさなくなったため、4-3コンボを入れてくる選手は現在では少し減った。
そして、後半3Lzの着氷後すぐその足でひらりひらりとエッジチェンジを繰り返しステップを踏む。
濃密なつなぎとスピードは彼の真骨頂だ。

トッドの
「転倒した選手にあれほどの演技構成点が出るというのは・・」
という意見はわからなくはない。
いろいろ調べると、トッドはかなりチャンに厳しいことを言っているのだが、チャンこそはまさに
「クワドを装備したトッド」と表現していい選手だと思う。(その代わり3A忘れてきちゃった?)
トッド自身がいま現役でやっていたなら、チャンのような採点傾向の出る選手だったと思う。

ただ、旧採点時代のスケーターは転倒はプログラムを壊す、と言って非常に嫌う。
トリノ五輪の女子についても、ストイコが
「転倒があったスルツカヤやコーエンよりも、きっちりまとめたスグリの方がメダルに相応しかった」
と言っていたことがある。
旧採点の場合、どこのどのジャンプを転倒したか、で引かれる点数が違った。審判にもよったと思う。だから、転倒したらどうなるか、がシミュレーションしにくかったのだ。だから、無理をして転倒するよりは1廻転落としたジャンプで安全に着氷、というのがデフォだった。

ただ、今はルールが違う。
今のシステムでは、エレメンツはそれぞれ数値化され、それを再構築して点数が決まる。
だから、極端な話、転倒で何点のマイナスになるか計算ができるのだ(今なら、GOE-3,dedication1、として計算が立つ。)。それによって、環境や順位と点数を鑑み、エレメンツを入れ替えたりする場合もある。いたずらに難易度の高いものをするばかりが競技じゃない。(例えば、今回氷の状況がかなり良くないのを見越して、ペーター・リーベルスはクワドを回避し、しっかりまとめる作戦できた。そして、彼はワールド自己最高位を確保した。)

そして、繰り返すが、大切なことはフィギュアスケートでははSPとFS,両方の合計で順位が決まる、ということだ。SPのP・チャンは素晴らしい出来でトップを独走していた。
FSではミスが出て3位の羽生と僅差の2位だった。デニスはSP2位から追いすがったが届かなかったのだ。

例えば、箱根駅伝で言えば、往路優勝P大でした、復路優勝D大でした、でも総合優勝は往路のリードがきいてP大でした、ってことなんだけども。なんの不思議もない。

こちらプロトコル

デニスにだってミスがなかったわけじゃない。2F-2Tコンボのファーストが3Fになっていたならば、逆転できていただろう。
チャンのPCSも転倒により若干下げられているし、ジャンプエレメンツとしての減点もあり、それとば別にDed.も取られている。それでも勝てるだけチャンのSPのリードは大きかったのだ。実際、このSPには絶賛が寄せられ、もっと点数出てもいいくらい、という声もあった。

じゃあ、デニスの点が低かったのか、と言われてばそんなことはない。

デニスの点数一覧

なんと彼はこの大会でシーズンベストを60点近く更新している。
元々クセのないノーブルなスケーティングには定評があり、ジャンプで崩れさえしなければ、という選手だったが、そのジャンプがことごとく入った。しかし、なかなかここまで出せるものではない。点が抑えられている、というのは穿ちすぎだろう。

転倒はスピードにのったジャンプとは背中合わせのリスクであり、それを鑑みて選手は挑戦する。特に、P・チャン、コストナーなどは、スピードもあるだけに転倒も派手だ。

そして、ジャンプの基礎点が回転数ごと、種類ごとによって定められている限り、

「回りきっているか否か」

は大きな問題となる。

周りきっての転倒の方が、一見成功したかに見える回転不足のジャンプより点数は高いことも多いのだ。

なぜなら、ジャンプは【跳び上がって】【回転し切って】【きっちり着氷して】なんぼ、の技だからだ。


一見、取り返しのつかない失敗のように見える転倒だが、挑戦したならしただけのリターンはある。ゼロになってしまうわけではないのだ。そこが、見た目と点数との乖離となって現れているだけでしかないように思える。

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No title

こんばんわ~。コメントは初めてさせていただきます。

歯切れの良い納得の記事でした~。
ちなみに旧採点時代のスケーターで解説や指導をされているスケーターの方々は新ルールをもっともっと正しく理解し今のルールにそった指摘や解説をしていただければと思います。
最近のネット上で以上に特定の選手をたたく方々はルールを自分たちの都合のいいように解釈する、もしくは独り歩きした間違った見解を自分で検証せず鵜呑みにして批判を繰り返すのでやっかいでたまりません。テレビ解説者はそういう部分でも正しく競技を楽しんでもらうための努力をちょっとはしてもらえないだろうか?と思うのであります。

わたしも100点出ると思ったので点数出てなんだこんなもんかよと思ってしまいましたー。

No title

お久しぶりです。
拍手コメもしましたが、こちらにも少々コメさせてください。

管理人さまの記事は全文同意ですが、旧採点脳の方々にとってはパトリックが転倒しても優勝ってのは実に許せないことなんですね。

も一つ、旧採点時代はとにかくクワド至上主義という感じでしたが、その点今回のフリーのパトリックのクワドは、私が今まで見た中でも最高の出来、芸術品みたいに感じられました。
加点で過去最高だったらしいですが、納得です。

SPではクワドを単発にして、後半の3回転からの連続ジャンプにし、フリーでは4-3の2つ目を2Tとかにして後半の連続ジャンプに3Tを使った方が点数的にはずっとおいしいはずですが、彼の4-3へのこだわりは何なのでしょう?
技術点以外のところでジャッジの印象が良くなるとか?

私も長く男子フィギュア見てますけど、4-3の美しさはパトリックのが一番だと思いました。
彼がこのコンビを決めたときは、他がどうあれ必ず優勝してるんですよね。その意味で、彼にとって調子のバロメーターであり、勝敗を分けるエレメンツなのかもしれません。

ところで、今回の彼のSPは永久保存版ですね。フリーで良い演技が出来なかったからと言って、神演技のSPの存在まで無視する人達がいるのがなんとも…

No title

読ませて頂いて胸がすっーーーとしました!!

ホント仰る通りです。SPとFSの合計点ですよね。
どこが 不透明 なんでしょうか?
とっても 透明 だと思いますけど?明朗会計そのものじゃないですか。

なんだか、フィギュアってごちゃごちゃ言う人多いんですね。採点競技だから仕方ないかな?

デジャヴ

チャン君優勝の正当性を擁護してくださり有難うございます。
まさかの昨シーズンのトラウマ再現でちょっとがっくりきています。
なんか詰めが甘いんだよなあ、あの人。

パッシングを逃れるためにはチャンはもう完璧演技するしかない、酷な話ですがそれが現実です。彼自身誰よりもそれを自覚してたと思います。さぞ無念だったことでしょう。
今回は去年以上に納得のいく結果だったと思うのですが、随分騒がれてますね。テン君自身は全然不満ではないように見受けられるんですけど

No title

こんばんは

ほぼ同感です。

ところで
先全米のアシュリー選手一位、NHK杯の浅田選手の一位はどう思われますか?
プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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