メンショフ3年連続優勝― ロシアンカップファイナル男子

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昨日、ロシアンカップファイナル(国内最終戦)が終わりました。これは、先日の

トランコフの反乱

の項で触れたように、ロシアの世界選手権代表を実質的に決めるものとして行われました。最有力候補として上がっていたのがユーロでも活躍したマキシム・コフトン、そして同じくユーロ代表だったセルゲイ・ヴォロノフ、ナショナル3位となりながらもユーロ派遣を逃したコンスタンチン・メンショフ、今年の成績は振るわないものの、ワールド3位の実績を持つアルトゥール・ガチンスキーでした。

 リザルトがこちらです。キリル文字を機械的に翻訳してあるのでちょっと読みにくいかもしれません。

734076746.jpg

TESとPCSの間にあるBマークは、ロシアのローカルルールで高難度ジャンプ(男子はクワド)に対するボーナス点です。以前はナショナルでもこれが採用されていました。


正直、選手たちも内心は「ワールド派遣はコフトン」という空気を察知していたと思うのです。コフトンがこの大会にエントリーせず、また特にJr.ワールドのエントリーに彼の名がなかった(補欠として入ってはいました)ことはそれを決定的にしたでしょう。あれだけ押されていたコフトンがJr.ワールドにもシニアにも出ないとは考えにくい、そしてJr.ワールド正式エントリーに名がなかったということは・・
・・・決まりだな、と察知したと思います。

ヴォロノフがSP後のインタで
「(上層部の中では)決まってると思う。でも、僕は今自分の出来ることをするだけ」
と言っていましたが、おそらくどの選手もそう思っていたでしょう。
普通なら、投げてしまうかもしれない。言葉は悪いですが、出来レースに近いです。

しかし、その中で彼らが見せてくれたものは素晴らしい気力と迫力からくる演技の数々でした。

動画です。上位陣から。

コンスタンチン・メンショフ
SP

3A、4T-3T、3Lz、としっかり決めてのけ、インタでは「実は4-4やるつもりだったんだ」と言ってのけたお方。3Aの着氷が乱れてしまって立て直しに力を使ってしまったから・・とインタで言ってましたが、本当にやりそうで怖いですw
FS

まさに「鬼気迫る」という感じ。すごいパッションを感じました。2桁順位から這い上がったユーロのマイコーを思い出しました。そして、安定しまくりのクワド2本、そして今年増やした2本の3A。きっちりきました。本当にこの人のクワドは安定感が抜群です。綺麗に回転し切っておりてくる。加点でPさんや羽生くんなどに劣るところといえば繋ぎ要素でしょうか。4T単体の安定度からすると世界で5本、いや3本の指に入るでしょう。
しかしこれが本当にあと4日で30歳になる選手の演技なんでしょうか?
全くタイプは違いますが、細身で強靭なテグス糸のような強さはトッド・エルドリッジを思い出させます。彼もラスト五輪となったソルトレイクでは31歳でした。メンショフがソチに出られたら、同い年です。


セルゲイ・ヴォロノフ
SP

残念ながらユーロの疲れか、傷めた、という足の影響か、いまいちキレがなく、ステップ部分では音楽に遅れてしまっていたりもして、慌てて跳んだ、という感じのループはダブってしまいました。プロとしては彼に合ってると思うので、ちょっと残念な出来でした。
FS

根性降り気味のクワド、ターンが入ってしまった3Aコンボ、と着氷の綺麗な彼としてはひやっとさせられる部分もありましたが、きっちりまとめてきたのはメンタル的にも強くなった、ということでしょうか。
そして、動きにも哀愁があって、今回はロミオに見えました(いつもはマキューシオに見えるw)←異論は認めます(笑)
そして、なんとももったいなかったのが、なぜユーロでこの衣装を着なかったのだ!ということです。これは昨年のSPでアルメニアンをやった時に、彼女さんの協力で作ったものなのだそうですが、この衣装を着始めてから、自爆も怪我もなかったんですよ。それが、ユーロで衣装を替えたとたん怪我。
まさにこの衣装はヴォロノフにとっての「イージス(大神ゼウスがアテナに与えた、という万能の盾)」だったんですよ。ろしあんの彼女力を侮ってはいかん、モロゾフ。


ヴラディスラフ・セズガノフ
FS

制服フェチの私にとっては個人的に大好きなプロです。艦上舞踏会の海軍将校さん、という感じで。ステップの最初のところで「御手をどうぞ」という感じで滑り出すところがたまらなく好きですねw
彼はとても綺麗にLzを跳ぶジャンパーで、以前このブログでも取り上げたことがあります。ただ、今回は構成を少し変えて、最初のルッツコンボのところにクワドを入れてきましたね。練習ならば4Lz-3Tも降りていて、昨年ナショナルではSP,FSともに4Lzを入れていた彼としては、久しぶりのクワド入りのプロでした。短い助走からも難度の高めのジャンプが跳べるので、もう少し繋ぎとかに凝ればかなりPCSが上がる選手ではないかな、と思います。


アルトゥール・ガチンスキー
SP

大会前にミーシンが「ガチンスキーにはSPクワド2本」とインタで言っていた時、それってあまりに博打すぎるんじゃ・・と思ったのですが、悪い方にあたってしまいました。一時期の痩せ具合に比べて少し肉がついたようでしたが・・やっぱり精神的なものが大きいのかなぁ。



アルトゥール・ドミトリエフJr.
FS

シーズン開始直前の怪我で今季のほとんどを棒に振る形になってしまいました。偉大なパパンと比較されたり、年下のガチンスキーにシニアデビューを先越されたり、若手はどんどん出てくるしで焦る気持ちもわかるのですが、とにかく怪我をキッチリと直して欲しいです。なんといっても彼の魅力は長身から繰り出すでかい(高い、でも幅がある、でもなくとにかく「でかい」)ジャンプ。セカンド3ループ持ちのクワドジャンパー、という高いスペックを持っているのですから、ほんと無理せずじっくり育ててもらいたいと思います。ちんまりとした印象を持ちがちな2A~2ASqも、彼くらいの大きいのでやってくれるとダイナミックでかっこいいですね。
そして、このプロは「赤軍兵士を思わせる」ということで上層部の評判はあまりよくなかったと聞きますが、私的には好みです。彼の手足の長さ、ジャンプのダイナミックさを生かしたスケールの大きいプロに仕上がると思うのですがどうかな?


とにかく、先にも書きましたように、結果はもう出ているに等しい大会で、ここまでのパフォーマンスを見せてくれた選手たち、特にメンショフとヴォロノフには心から敬意を評したいと思います。「どうせ頑張っても・・」という思いに駆られなかったとは考えられません。今風に言えば「心が折れて」しまいそうだったことでしょう。テンションを高めるのは大変だったろうと思います。

とりわけメンショフ。鬼気迫る、というか静かな怒りが燃えているようでした。「伸びしろがない」と言われたのには相当腹に据えかねたようですね。
確かに、彼のPBは今年のロステレコム杯ですし、プロ自体もジャンプに限ってだけ言ってもSPクワドはもちろんのこと、単独ジャンプをLoからLzへ、コンボのセカンドをダブルからトリプルへ。FSではクワド2本は必ず、そして今年は1本だった3Aを2本へ。
シーズン序盤はSPのLzの調子がなかなか上がりませんでしたが、頑として構成を落とさず、Lzを貫きました。
「年齢その他で私の限界を他人に規定されたくはありません」というのもむべなるかな。

これから、遅咲きの選手が出て来た時のためにも、「アスリートは年齢では測れない」ということを上層部に向けて証明して欲しい。現在伸び悩んでいる中堅どころの選手たちにもどれだけ励みになることか。
現在のロシアン男子の層が薄いのは、そういった中堅どころを軽視してきたのが一因としてあります。若い時は怖いもの知らずで勢いでガンガンいける。
けれど、それも必ずしも続くとは限らない。伸び悩みの時期は来ます。

ガチンスキーが今まさに、その時期なのかもしれません。ヴォロノフはそれを乗り越えて立ち直ってきた。挫折を経験したものは強いです。そうなりえた選手を今までバサバサ切り捨てて若手に乗り換えてきたツケが今来ています。
ドブリンやルータイ、グリャーツェフ、といった選手たちは、現役ですと織田君や高橋君、といったあたりと同年代になります。彼らがいたら・・・とまた、愚痴になるのでやめましょう。

最後はモロゾフのコメントで〆たいと思います。(モロゾフのくせにまともなこと言ってる、と思ったのは内緒ですw)

++++++++

(概略です)

男子の試合は精神的にきつかったと思うが、この苦難が更に選手たちを成長させたと思う。
ヴォロノフとメンショフが素晴らしい演技をしたことを私はとても嬉しく思う。

現在、連盟の決定を待つばかりだ。おそらく、コフトンになるだろうが、どういう結果になろうとも、私は彼らの素晴らしい演技を見られて幸せだ。ヴォロノフの演技には満足している。ユーロの後、ろくに休養や治療する時間も取れなかったことを考えれば、SPもFSも現時点の彼では満足のいくものだったと言える。

==モロインタ本文==

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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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