スポーツの原則が死んだ ―なぜ選手たちは抗議したのか

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このアンドレイ・シモネンコ氏は先日のエントリー

改】ユーロはコフトンで決定 メンショフ、モロゾフのインタビュー -トランコフの反乱その後2

で、メンショフのインタビュアーを務めていた人でもあり、フィギュアに関しては以前から興味深い記事を書いてくださる方なのですが、彼の興味深いいコラムがありましたのでご紹介します。12月28日付け、R-スポーツに掲載されたものです。

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スポーツの原則が死んだ ―アンドレイ・シモネンコ


<前略>(主にナショナルの演技経過と5位のコフトン派遣が決まったこと、が述べられています。そして女子走り幅跳びのロンドン五輪派遣選手決定の経過をと比較して、この男子シングルについて述べています。)


コフトンは、ナショナルでメンショフに敗れたにもかかわらず、欧州選手権に派遣される。シニアのプログラムは唯一このナショナルで行ったものである、というにもかかわらず。
確かに彼は才能あふれるスケーターではあるが、まだここまでのプレッシャーを与えることはないだろう。
こんな決定を繰り返しているということは、(上層部が)何もわかっていない、ということだ。
アンドレイ・グリャーツェフや、アルチョム・ボロデュリンという星が、フィギュアスケートの地平線から姿を消してしまったことから何も学んでいない。
多くの選手たちが今後、戦うことに意欲を失ってしまうであろうことにもかかわらず、だ。
まさに「正直者が馬鹿を見る」ということを知らしめてしまった。
スケーターの中で影響力の大きいマキシム・トランコフは彼のツイッター上で「全ての競技者はメンショフの味方である、と書いた。
私自身、これに付け加えることはない。

ここであえて、私はメンショフの心情に触れることはしない。なぜなら、これは、「メンショフだから」の問題ではなく、スポーツの原則の問題だからだ。ルールが事前に発表されており、競争が免除されていたのなら問題は生じないだろう。
選手は同一線上において争われなければならない。コフトンはそれにおいて失敗したのだ。欧州選手権(の権威)のためにも、彼は派遣されるべきではない。

しかし、彼は派遣されるのだろう。このようなスポーツにおける正常な競争原理が崩壊し、不正が横行しているのを見ると、私はフィギュアスケートに嫌気がさす日も来るかもしれない、とすら思う。

けれども、不治の楽天家である私は、時ならずしてスポーツの原理が正される日が来るであろうことを祈っている。
=====本文=====

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ここで述べられているアンドレイ・グリャーツェフとは、2007年のロシアチャンピオンで、当時足を痛めていたためナショナルではクワドを回避したのでした。にもかかわらず、「クワドのないチャンプなんて」という上層部の声の下、治りきらぬけがを押してユーロに出たからは2ケタ順位の大崩れ。その彼に替わって当時2枠あったワールドにいきなり抜擢されたのがジュニアワールド3位だったヴォロノフでした。しかし、ジュニアワールド、ユニバーシアード、と連戦だったヴォロノフは代々木のワールドでは力を発揮できず19位。ロシア1枠、の原因ともなってしまいました(翌年のイエテボリワールドではこのヴォロノフが7位となり2枠に戻します)

アンドレイ・グリャーツェフ


アクセルジャンプの美しい、体の線のきれいな、いかにもロシアンらしい選手でした。

アルチョム・ボロデュリンに関しては、バンクーバー選考が記憶に新しいでしょう。クワド至上、を唱えつつ、その年最も4回転ジャンプの安定していたヴォロノフ(ナショナル2位)を、ナショナル3位であったクワドレスのボロデュリンと僅差である、ということを理由にユーロ終了後まで五輪決定を延ばし、精神的に疲弊したヴォロノフはユーロで崩れ、ボロデュリンに五輪代表を譲ることとなります。

アルチョム・ボロデュリン


SPでも、FSでも、五輪では素晴らしい演技を見せてくれました。しかし、そのボロデュリンも、ワールドでブレードが折れる、という不運な事故以来、病気やけが続きで、イマイチ立ち直れていません。クワドこそはありませんが、タメ・キメの動きがうまく、タンゴなどやらせると天下一品だったのに。


ロシアンの若手スキーは昔からです。そう、ソヴィエトのペトレンコのころから。おそらく、上層部はコフトンにカルガリーのペトレンコ再び、の夢を見ているのかもしれません。18歳で最終グループ最終滑走、ワインレッドのドン・キホーテをノーミスで決めて銅メダルをさらった新鋭の姿を。



しかし、もう時代が違うのです。若手コーチであり、リレハンメル五輪金メダリストであるウルマノフは、
「1980年代後半~1990年代生まれの選手たちを大切に育てなければ。彼らは数が少ない(ソ連崩壊、経済機器のため)のだから」
と繰り返し訴えていましたが、今のロシアの中堅層の薄さを見ていると慧眼だった、と思わざるを得ません。そして、ソヴィエト時代のように、広大な国土からいくらでも才能ある子たちを引っ張ってこられたときとはわけが違うのです。
このグリャーツェフから始まり、ドブリン、ヴォロノフ(彼は立ち直って今年のユーロをつかみましたが)、ボロデュリン、ドミトリエフJr.・・・・

こうやって若手を使い捨てにしていくようだと、競技全体が先細りになる、という指導者やファンの危機感、一度でも躓いたらチャンスはもらえなくなってしまう、という選手に与える圧迫感、と決してよいことばかりではない、と思うのですが。
特に、けがや病気でブランクができてしまったり伸び悩んだりしている中堅どころの選手たちには、絶望を与えた今回の選考だったかもしれません。


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Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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