1Loの謎 ・ハーフループとシングルループ ―コンビネーションジャンプを考える


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今回は同じく(1Lo)と表記されるハーフループジャンプとシングルループジャンプについて書きたいと思います。

まず、この動画を見ていただきましょう。カート・ブラウニングの「カサブランカ」(’93世界選手権)です。3Lzの着氷を除いてはほぼノーミス、と言って良いと思います。(本当はセカンドが両方トリプルになる予定だったのでしょうが・・)
これでフィギュアにハマった、という方も何人か知ってます。名プロですよね。


そして、ジャンプにご注目ください。ジャンプ前の繋ぎの巧さももちろんですが(スパイラルから3Fとか!)3A-2T、3S-2Lo.とセカンドループ、セカンドトウの2種のコンビネーションを入れています。
そして終盤のジャンプシークエンス(当時はこう呼ばれていました)
すみません、ここで大きなミスを!(ご指摘のコメントありがとうございます)

現在のプロトコル表記なら「2A-1Lo-3S」の三連コンビネーション、となると思います

ではなくて、ここでカートが跳んでいたのは
「2A-ハーフループ(左バックインで着氷、そのまま右バックアウトに踏み変えて)ー3T」


でした。現在のプロトコルに書くとしたら「2A+1Lo+3T+SEQ」になるのかな。ハーフループから3Tの踏切で重心が移動しているので、シークエンス扱いになるかと。(自信有りません)
カートはハーフループからのジャンプシークエンスが抜群に上手く、特に2A-3S+SEQは絶品でした。それが頭にあったせいで、勘違いしてしまいました、申し訳ありません。

ここから見ると、やっぱりトウを付いていますね。

彼はこのジャンプシークエンス、もう1つ別角度から別種のものを。'89年のワールドです。演技前にSPのダイジェストやインタが入ってますが、それも含めてお楽しみください。
例のジャンプはここから


「ダブルアクセル、ハーフループ、トリプルサルコウ、beautifuly done!! 」と実況が言っていますね。

さて、ここまでは前置きでして・・・・(長い)
昨シーズンから目立って増えてきたハーフループ(-1Lo-)を挟んだ三連コンビネーションについて書いてみたいと思います。このハーフループコンボが3連として表記されるようになったのはバンクーバー五輪後で、それまではジャンプシークエンスと呼ばれ、+SEQ表記で、ジャンプの基礎点の和の8がけでした。
ジョアニー・ロシェットなどが得意にしていて、後半によくこれを成功させていました。

ロシェットの演技 (’09年ワールド)
ここから 3T-3S+SEQ(当時の表記) 


そして、バンクーバー五輪シーズン後のルール変更で、このジャンプはハーフループを1Loと記載し、3連コンビネーションの一種となりました。

このハーフループを挟んだコンビネーションにするのはどんな意味があるのか。
普通のコンビネーションだとセカンド以降に付けるジャンプは着氷足と踏切足が同じトウループかループに限られてしまいます。しかし、ハーフループを挟むことによって足を替えて、サルコウやフリップなどにつなげて行けるので、バリエーションも多くなりますし、組み方によっては基礎点もあがります。

ざっくり言うと、ハーフループというのは逆足イン側で着氷するシングルループ、というかんじでしょうか。

ですからどうしてもステッピングアウトに見えやすく、三連のはずがきれいに流れないでカックン、と途切れる感じがしちゃう、ということで嫌う方も多いんだろうと思います。
カートやロシェットのをご覧になるとわかるように、上手い人がやると「タン、タン、シュッ」って感じで、とてもリズミカルなジャンプなんですが。

実際ステッピングアウトしかけたのをハーフループに持って行ってシークエンスにしちゃった例もあります


アレクサンドル・ファデーエフ ‘86 ワールド
ここから 3Aステップアウト2S


そして、今まである一部の選手しかやっていなかったこのハーフループを挟んだコンボを何故試みる選手が多くなったのか?
これは14-15シーズンから取り入れられたダブルジャンプの回数制限の影響が大きいと言えるでしょう。多くの男子の場合、コンボ券をフルに使い切るためには○ー3、○ー2、○ー2-2と概ね3本(セカンドトリプルが入らない場合は4本)のダブルジャンプが必要ですが、これですと制限に引っかかってしまうため、2Tと2Loの両方を跳べるようにしておかねばなりません。
セカンドトリプルがダブった場合や、クワドが抜けてダブルになった場合もコンボのキックアウトの危険が増します。
ですから、多くの場合得点源である三連を生かすために、サードジャンプにTやLo以外(多くの場合はS)を用いることのできるハーフループのコンビネーションが多用されるようになったのです。

また、ハーフループとシングルループはプロトコル表記が同じ1Loであるため、勘違いが起こりやすいのですが、上で書いたように、全くの別物です。

踏み切り方も同じ、空中で1回転するところも同じなのですが、シングルループは右バックアウトでの着氷、ハーフループは左バックインで着氷します。


ワイスのジャンプ教室 ループジャンプ編(シングルループをよくご覧ださい)


以下、タイトルから当該ジャンプの位置に飛べるようにしてあります

フェルナンデスの3F-ハーフループー3S


ヴォロノフの3Lo-シングルループー2Lo


ファデーエフの2A-ハーフループー3S


足元を見て下さればハーフループのコンビネーションとシングルループのコンビネーションの違いがわかっていただけるかと思います。

ただ、こうして見ると新採点になってから、ハーフループのコンボ(以前は+SEQ)はあまり取り入れられていなかったせいか、当たり前のようにプログラムの中にジャンプシークエンスを組んでいた旧採点の選手にハーフループ巧者が多い気がします。もちろん伊藤みどりさんやリピンスキーも跳んでいました。
新採点では一般的に取り入れ出してまだ短いハーフループコンボですが、キレイに決まるととてもリズミカルで美しいものです。


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ジャンプの見分け方のコツ 

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ワールドを控えて、「ジャンプの見分け方を・・・」とお悩みの方へ。
男子のクワド時代直前のプロをご覧になるのをおすすめします。今ほどつなぎが多くなく、特にコンパル時代の選手はジャンプにクセがなく回転不足やエラーもないので、種類がわかりやすいです。
特にカルガリー~長野時代の選手たちをオススメします。



まずは、五十嵐さん解説の長野五輪のイリヤ・クーリック。4Tと全種類のトリプルがきれいに入っています。




そして、いかにも北米、という感じの2人。

スパイラルからの3F、など当時としてはジャンプの入りに工夫が多いです。
ポール・ワイリー


スケーティングの綺麗さでは右に出るものはいない、とも言われました。トッド・エルドリッジ。逆回転です。また、3Aの入りが独特です。




セカンドT,セカンドLo,ジャンプシークエンス(現在で言うと2A-1Lo-3S,といった表外ジャンプを挟んだ連続ジャンプ)が全て入っているもの

アレクセイ・ウルマノフ クワドのお手つきがもったいなかったです。後半に3S-2Lo,インサイドアクセルを挟んだジャンプシークエンスが入っています


カート・ブラウニング 彼はセカンドT,セカンドLoの両方が入ったプロをいくつも持っていますが、日本語解説で画像のクリアーなものを選びました。「カサブランカ」です。


アレクサンドル・ファデーエフ 3AのSOを3A-1Lo-2Sへとリカバリーしてしまうところがすごい。ミスが多いのが残念ですが、これだけのジャンプ構成をノーミスでやってのけられる選手は今でも少ないかもしれません。




ジャンプのお手本、といっていい2人。

アレクサンドル・ファデーエフ 代々木ワールドで優勝した際のノーミス演技です。


ヴィクトール・ペトレンコ プロになってからの演技です。トリプル全種クリアーに入っています。佐野稔さんの解説。
エキサイトっぷりが凄いです(笑)




新採点のものも入れておきます。

ジャンプ全般にクセがなく、特にエッジジャンプの上手いヴォロノフ。

彼はあまりジャンプ直前にスケーティング動作を入れないので、現在の点数制では加点がつかないのですが、ジャンプ自体の質はかなりいいものだと思います。
4TのOTに2Loをつけてのリカバリー。(3A-3Tを3A-2Loにしたこともある)


こちらはSPに3Fを入れていた頃。



古いプログラムもありますが、皆様のジャンプの見分けの参考になれば幸いです。



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タノジャンプ考 ― 加点の為の策

ジャンプの加点要素のひとつに、「回転時・着氷時の姿勢変形」という項目があることから、タノジャンプを行う選手が増え、それが物議をかもしているようです。

タノジャンプとは、ブライアン・ボイタノが始めたもので、跳び上がる際に手を挙げて回転し、そのまま降りてくる、というもの。誤解されやすいのですが、「降りてくる際に手を挙げる」のではなく、「回転している時には既に手が挙がっている」、ということです。
こちら元祖のものをご覧頂きましょう


Brian Boitano Tano Jump


現在のタノ批判の所以は、余りにも1つのプロの中で多用する選手がいて食傷気味になってしまう、ということから来ていると思います。
私自身、タノジャンプが嫌、とか、規制したほうが、とかは思いません。実際出来のいいものはすごくかっこいいし。
ただ、どんなに美味しい食べ物でもそればっかりだと飽きるように、「またか」と思っちゃうんですよね。
プログラムの「ここぞ」というところで使ってくれるとインパクトとかも増すのになぁ。
ここぞ、というところ(曲の盛り上がるところ、とか難しいジャンプのところとか)につければそれでいいんじゃないかと思うのです。
以前、ジャンプは演技中のスパイスのようなもの、ということを書いたことがありましたが、
ジャンプは山葵、だからこそ質の良いものを
タノジャンプはさらにそれにひねりを加えたもの、いわば隠し味といっていいでしょう。

1つのプロの中でこれでもかと何度も見せびらかされたら、「またかよ」と言う気分になってしまうのも当然かと思います。

そして、タノジャンプに抵抗がある、という方の中には、どうしても加点目当ての小手先の工夫にしかみえない、そんな練習をするのならもっと基礎的な事から練習したほうが・・・(特にジュニアの選手たちについては)と思えてしまうのでしょう。

ボイタノは、プロの中ではタノジャンプは1つだけ、それも多くはプロの最初にイーグル~タノ3Lz、という形で入れてきました。
ですから、最初のイーグルに入るためのバッククロスが始まったところで既にタノ3Lzクル━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!! というカタルシスがあったのです。


回転木馬のワルツ



ネッスン・ドルマ


ただ、回転・着氷の姿勢の変形はタノジャンプだけではありません。
腰に手を当てる、着氷の際にも前で腕を組む、など様々なものがあります。


ヴィクトール・ペトレンコ(着氷の際も前で手を組む)


カート・ブラウニング(腰に手を当てる)


フィギュアはスポーツなんだから、いかに高度な技術をジャッジや観客に見せるかにかかってきます。
ならば、タノばっかりいくつも、よりもタノ、腰に手、前に手を組んで着氷←ペトの「カルメン」のやつ、といったように様々なものができる選手が高評価を得るわけで、今は過渡期なんだと思います。
ですから、特にルールの変更などはいらないと考えます。
タノのついたちんまりとしたジャンプよりも小手先の工夫はないけれどスピードがあって大きいジャンプではどちらが高評価を得るでしょうか。
ただでさえルールが余りにも煩雑すぎて「フリー・スケーティング」がちっともフリー(自由)じゃなくなっている今、これ以上細かいルールはいらないと思います←実はただ自分が覚えられないだけ(笑)



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コンビネーションジャンプを考える ― ダブルジャンプのザヤックルール適用について

今年からダブルジャンプにもザヤックルール(同種のジャンプは2本以上跳べない、そして1本はコンビネーションまたはシークエンスにする)が適用されるようになりました。
シニアの場合、アクセル以外のダブルジャンプはほとんどコンビネーションやシークエンスとして使用されるため、コンビネーションのノーカウントの危機が大きくなりました。

それについてツイッター#コンビネーションジャンプとしてつぶやいたところをまとめました。


: セカンド3T持ちの場合、-2T、-2Lo、そのうちどちらか2本の計3本が必須となるが、セカンド3Tが2になった場合を備えて-2T,-2Lo2本装備して臨機応変に対処できればなお良い。
:クワドが抜けたりして思わぬ位置でダブルジャンプを消費してしまう場合もあるので、3連は後半に○-1Lo-△のを用意しとくといいかも。
:3連を後半に組んだ場合、前半のコンボでセカンド3Tがダブルになることも鑑みてセカンド以降の構成変更のシミュレーションをしていないとノーカンになる危険性がある。
:後半2A^2Aもありか。

これは、ISUの

・セカンド以降はT,Loの2種類を身につけ、ときに応じてどちらも使えるようになるべし。
・-1Lo-の3連を認めたことで、ジャンプの組み合わせのバリエーションが広がったのだからそれを利用するべし。
無理して跳ぶことによって点数が下がってしまう場合もある為、今自分がなんの種類のジャンプを何本跳んでいるのかしっかり把握し、失敗した際のリカバリーを常に考えておくこと。
・必ずしもコンボ券を使いきった方が点数が高く出るわけではない


というメッセージであると思うのですが、コンビネーション以外の部分にも影響を及ぼしているように思います。特に、男子のクワドが抜けて2回転になった場合、後々に及ぼす影響が大きいからです。

昨年時点でコンボ使い切りかつ今年のルールに適応してるプロの例。
セカンド以降は2T2本、2Lo2本。4T-2Loが効いてます。
セルゲイ・ヴォロノフ EC FS 



そして、今年のプロでわかりやすい例があったので。
セルゲイ・ヴォロノフのネーベルホルン杯とフィンランディア杯です。最初の3Aが2Aとなった以外はジャンプ進行は同じ。3連までに2Tを2つ消費してました。
ネーベルホルン杯 -Lo-Loに変更して3連を生かしてます。


フィンランディア杯 -T-Loのまま跳んでしまい、3連が根こそぎノーカウントになってしまいました。



そして、今日のスケアメで出た3連ノーカウントよけの手段もう1つ。
アジヤン・ピトケーエフ
3連までに2Tを使い切るも2ndを1Tにして切り抜けたジャンプ脳。多分シミュしてたと思います。GPSデビュー戦なのに落ち着いていました。跳ばない、という他にこういう選択もあるわけですね。宝塚の男役にいそうな風貌w



また、3連におけるダブルジャンプ消費避けに後半に-1Lo-の3連を設定するケースが増えると思いますが、その際1Lo(ハーフループ)だけでなく、他の表外ジャンプ(インサイドアクセルなど)を挟むことも可能にしたらどうでしょうか。。そうするとさらにバリエーションが広がると思うのです。ただ、点数設定が難しくなるから無理なんでしょうかねぇ。
旧採点の頃は、ハーフループに限らず表外ジャンプを挟んだジャンプシークエンスが多く見られました。コンビネーションジャンプが2つまで、だったので終盤の山場にジャンプの連続、となるシークエンスを持ってくるプロが多かったのです。

カート・ブラウニング 1993 世界選手権 ハーフループ(1Lo)シークエンス


アレクセイ・ウルマノフ 1995 ネイションズ・カップ インサイドアクセルのシークエンス 



ただ、クワド跳び易いのがトウループ(T)で、セカンド以降につけられるのがTとLoに限られることから、どうしてもジャンプの偏りは起こります。 メンショフの'10-11シーズンのFSの基本構成は
4T-2T 3Lz 4T 3A 3S 3Lo 3T-3T-2T 2A-2T で、 半数以上がトウループです。(2Aでなく3Loに2T付けてることもあった)
コンスタンチン・メンショフ '11 EC ここでは最後が2A-1Tになってしまってますが。


ただ、彼のすごいところは4Tと3Tという同種のジャンプを構成の中に2本設定しておきながら、ほとんどザヤらなかった、というところです。そして、余りにもトウループが多すぎ、という批判から現在は4T2本、3A2本の構成にグレードアップしている、というのも評価すべきところです。


そしてダブルジャンプ規制の問題もそうですが、コンボが単なる基礎点の和、というのはそろそろ考え直したほうがいいように思います。前半4T-2Tと後半3Lz-3Tの点数差は難度に引比べて余りにも少なすぎではないでしょうか。
この影響はSPにクワドコンボが激減したことに顕著に現れてると思います。
そう、SPにクワドコンボを入れるには、4-3でないと後半3-3に比べてのメリットが少ないのです。


まあ、このダブルジャンプにザヤックルール適用に関してはISUの意図するところもわかるのですが、特に男子には別方面に影響が大きすぎる気がします。特にクワドの抜けやすいタイプの選手はリカバリーのシミュレーションに苦労するかもしれません。


とりあえずはこれにつきますね。

・-2T,-2Loの2種類は必須、その場に応じて跳び分けられれば尚良し
・クワドが抜けた場合の2T消費の際のコンボ変更をシミュしとく
・点数を残すためにセカンド以降を跳ばない決断も必要(コンボ券使い切りは必ずしも正義ではない)
・とにかくテンパらず計算




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【動画でみよう】鈴木明子さんのジャンプ見分け方教室 ―2013年フィンランディア杯より

今回はとても興味深い動画が上がっていたので、演技と一緒にツイしたところたいへんご好評いただいたので、ブログの方ではプロトコルも含めて見てみたいと思います。鈴木さんの説得力、さすがです!
こちらがスポナビで取り上げられていた鈴木明子が教えるジャンプの見分け方(動画7点)
鈴木明子が教えるジャンプの見分け方(基礎知識編)
鈴木明子が教えるジャンプの見分け方(トウループ編)
鈴木明子が教えるジャンプの見分け方(ルッツ編)
鈴木明子が教えるジャンプの見分け方(フリップ編)
鈴木明子が教えるジャンプの見分け方(アクセル編)
鈴木明子が教えるジャンプの見分け方(サルコウ編)
鈴木明子が教えるジャンプの見分け方(ループ編)

さて、この中で鈴木選手が例に挙げて説明している選手たちの演技を見てみましょう。
鈴木さんの解説をもとにプロの中からジャンプの種類を当ててみてください。

ただし、各選手とも、昨シーズン、この動画よりいい演技もしていますし、動画もこれより画質の良いものがいくつもありますが、上の鈴木さんの説明で使われたフィンランディア杯であること、また実況や解説が入っていないことでこれらの動画を選びました。


まずはダイナミックな4回転を披露してくれた羽生選手。


トウジャンプの見本、特に素晴らしい3Lzを見せてくれたエリザヴェータ・タクタミシェワ。


美しいクワド、そしてエッジジャンプ無双のセルゲイ・ヴォロノフ。


それでは、みなさんどれくらいわかりましたか?
というわけでこちらが解答です
男子プロトコル
女子プロトコル

これを見ると、女子のトップはリプニツカヤで、3Lzも2つコンビネーションで降りているのに、鈴木さんが例に上げなかったのはなぜか?というと、彼女の3Lzにはエラーがついている(プロトコルのeのマーク)からなんですね。
ちゃんとしたアウトサイドエッジで踏み切っていない、いわば不完全なルッツ、ということです。(彼女は当然それを自覚していて、エッジ矯正の努力をしています。)

もちろんこれは回転不足と同様、点数に反映します。きちんと跳んでるように見えても点数が少ない、なぜ?という場合はこういうエラーがあったり、回転不足があったり、はたまたスピンやステップでレベルを落としていることがほとんどです。ですから、点数に疑問を持った場合はプロトコルを見ればだいたい解決します。

あと、これは余計な追加かもしれませんが、「サルコウは跳び上がる時に両足がハの字になる」と鈴木さんはおっしゃってますが、サルコウは結構選手によってクセのでやすいジャンプで、振り上げる足の角度によっては鈴木さんやヴォロノフほどはっきりとしたハの字にならない選手もいます(羽生くん、荒川さんなど)。だからといってエラー、というわけではありません。というか、エッジジャンプにはエラー、というものは存在しません。


また、このジャンプは○○選手の方が。。というご意見もあるかと思いますが(私もあります(笑))、鈴木さんがこの説明動画を作る際、動画提供があったのが2013年のフィンランディア杯のみ、ということであったらしく(オトナの事情、ですね)限られた中から選ばれたものである、ということもお含み置き下さい。


このように、本田さんを筆頭に、荒川さん、安藤さん、鈴木さん、と高い技術で世界と戦っていた選手たちが現役から退いてもこうしてスケート界に携わっていて下さる、ということは後進のためにも、観客の裾野を広げるためにも本当にありがたいことです。
これからもお元気で、ご活躍をお祈りしたいと思います。

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加筆しました】ビッグジャンプはスピードに乗って ―バッククロスからの流れ

最近は、助走が短いほうがいいジャンプ、もしくは、ジャンプ前にいろいろ要素が入ってるジャンプの方がいい、という傾向がありますが(実際、確かに加点もつくんですが)ちょっとそればっかりじゃ面白みが・・・という気もしなくはないジャンプ厨の自分です。
確かにたらたら長いばっかりの助走は論外ですが、ビッグジャンプには、ある意味助走の存在感も不可欠だと思うんですね。

ビッグジャンプに向けてクロススケーティングでスピードを上げ、そのままトップスピードからターン~そしてジャンプ、という流れ、ぞくぞくします。軽く膝をまげてバッククロスのフォームに入った瞬間、

キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !! というか、
クル━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!! というか。

いくつか例を。

トッド・エルドリッジの1996年ワールド優勝の際のFSです。
冒頭のバッククロスでほぼリンクを1周、そしてトップスピードに乗ったままターンから3アクセルー3トウループ。
上体のピシッと決まった、それでいて全く力みのないフォームから、ぐいぐいスピードが上がってゆきます。画像がクリアだからよく解ると思うのですが、背景の看板の文字のぶっ飛び方がハンパないです。

Todd Eldredge 1996 World Championships LP

こちらニコ動版

どうもクロススケーティング(特にバッククロス)を「漕ぎ」とかいって、プロの中に存在しちゃいけないみたいに言う傾向があるようです。これはPCSのなかでTR(つなぎ)という評価部分があるため、クロススケーティングは「なにもしてない」と思われがちだからなのかもしれません。しかし、このバッククロス、いわゆるSS(スケーティングスキル)が素人目でも一番判断しやすい技術のひとつ、といえるかもしれません。姿勢のよさ、一蹴りの伸び、そして進行方向のコントロールとバランス・・

このバッククロスが最もよく使われるのはビッグジャンプへの助走でスピードを上げるときですが、うまい選手ほどトップスピードに乗るのが早く、そして滑り自体を見ていても美しい。

こちらはアルベールヴィル五輪とあわせて二冠を達成したペトレンコのワールドでのFS.

Viktor Petrenko (CIS) - 1992 Worlds, Men's Free Skate


上半身(特に腕)の動きがゆったりしていて優雅なので見落としがちですが、フェンスの背景のぶっ飛び方がやっぱりものすごい。そして、クロスからターンやステップを繰り返してもそのスピードが全く落ちることなくジャンプに向かってゆける、というのはやっぱりコンパル世代の凄みですね。

そして、2人に共通して言えるのは、クロススケーティングの際、リンクをいっぱいに使い、フェンスぎりぎりを滑っている、ということ。それこそF=1ドライバー並みのコントロールテクニックじゃないか、と思います。 いや、人間は後ろには目がありませんからもっとすごいかも。

バンクする角度が狂ったりエッジコントロールが乱れたりしてバランスがおかしくなったりしたら、間違いなくコースが膨らんでコケます。
弘法が筆を誤った例として・・・



1993年ワールドでのEXのウルマノフです。バッククロスでの加速を始めた瞬間、取ったコースが外側すぎてエッジがフェンスに刺さって転倒。解説から「減点ですね」「いえ、EXですから無問題ですよ」といったジョークが飛んでます(笑)

が、このウルも豪速クロス+ビッグジャンプの持ち主の一人でした。
コケてるとこだけじゃ申し訳ないのでww

Aleksei Urmanov (RUS) - 1995 Nations Cup on Ice, Men's Long Program
http://www.youtube.com/watch?v=_FD_etUt4Uc


まさに、クル━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!! って感じに助走をたっぷり取った冒頭の3Aコンボと、終盤のフリップ(ダブルになったのが残念)、そしてシークエンスと続く立て続けのジャンプ、という構成が対照的な、クワドレスでは私が「最高」と未だに思っているプロです。深いエッジを使ったつなぎ部分も素晴らしいのですが、ジャンプの醍醐味が一番味わえるのがこれではないかと思ってます。

そして、バッククロスに限らずスケーティングのうまい選手は、ひと蹴りが本当に伸びるのです。
これはプロになってからですが、ブライアン・ボイタノ。



旧採点のプロばかりではなんなので・・

私の大好きなクワドジャンパー、コースチャことコンスタンチン・メンショフ。現在30歳。で、コンスタントにSPとFS合計3本のクワドをコンスタントに入れ続けてきている、というのがまず凄いことなんですが、ここ2,3年でのスケーティング技術の上昇っぷりがハンパないです。特にものすごかったのが2011年(演技当時28歳)のユーロ。
バッククロスからスピードを上げ、軽くフォアでバランスをとってそのまんまのスピードを保ちながらモホークターンでクイ、と向きをかえて4T-2T!まさにかっとびクワドです。
クワドはくるくる、って感じでスリーターンから入る選手が多いので、モホークから入る彼は余計にスピーディに見えるのかもしれません。

ISU BERNA 29/01/2011 MEN FS -8/25- Konstantin MENSHOV
http://www.youtube.com/watch?v=o2ryOSLb8yo



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これぞルッツジャンプ! ロシア選手権のセズガノフ

皆様あけましておめでとうございます。昨年は拙ブログに足を運んでいただきありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

というわけで、ジャンプ厨の私らしく(笑)初日記はジャンプ関連。

先日ロシア選手権がJスポで放映されたため、ご覧になった方もいるかもしれませんが、ヴラディスラフ・セズガノフ(総合6位)のルッツジャンプをご紹介。
このプロは昨年からの持ち越しで、昨年はクワドルッツにも挑戦していましたが、今回は3Lz2回、3A2回でまとめてきましたね。その代わり、かなりつなぎに凝ってる感じがします。

そして、FS冒頭の3Lz-3Tの撮影アングルがあまりにも神だったのでキャプってみました。ちなみにプロはこれです。

Vladislav SEZGANOV 2013 FS Russian Nationals
http://www.youtube.com/watch?v=qeB2W_ZplzU


4Lzー3Tも降りる彼ですから、Lz得意は知ってましたが、いやー、綺麗な踏切です。
安藤さんやヨナもまさにこんな感じで跳んでますよね。
綺麗にアウトエッジに乗って滑走してきて、左足の真後ろ(ブレードの延長線上)にトウをついてます。
これがLzのキモでして、Fとの大きな違いになります。(Fは、右足をそのまま後ろに引く感じ)
一瞬フラットに見えるときがありますが、これはついたトウを梃子がわりに跳び上がるため、重心は既に右足に移ってるから。。
この助走体勢でフラット、もしくはインエッジにしようとしたらスリップして顔からコケると思います。陸上で格好のマネだけでもやってみるとよくわかると思います、足の裏の外側にどうしても重心が行きますから。

1)2013 RN Vladislav Sezganov FS 2

2)2013 RN Vladislav Sezganov FS 3

3)2013 RN Vladislav Sezganov FS 4

4)2013 RN Vladislav Sezganov FS 5

5)2013 RN Vladislav Sezganov FS 6

6)2013 RN Vladislav Sezganov FS 7

7)2013 RN Vladislav Sezganov FS 8

8)2013 RN Vladislav Sezganov FS 9

9)2013 RN Vladislav Sezganov FS 10

10)2013 RN Vladislav Sezganov FS 11


11)2013 RN Vladislav Sezganov FS 12

本当にルッツフェチの私からすれば、ろしあんカメラマンGJ!神!なんですが・・

問題は4)や10)の部分を恣意的に切りとってエッジ部分だけ見れば、フラットのようにも見えてしまう、ということです。よく、エッジエラーのネガティブキャンペーンに使われるのがこういった部分であることが多いです。


4)の場合は、上体の傾きを見ればどう動いてゆくかが一目超然なんですが、10)。


フリーレッグをトップの位置に上げ(8)たところから振り下ろしてきて、(9)~(10)で氷面にトウピックをハンマーのように叩きつけ、梃子の原理で跳び上がるわけなんですが、この(10)の時は、ほとんど体重が左足にはかかってない。
じゃあ何故Lzと言い切れるか?というと右足のトウが左足のブレードの真後ろに来てるからです。
「ルッツはカウンター・ジャンプである」とよく言われますが、まさにそれ。トウを振り下ろす方向が助走方向の正反対になるわけです。
ちなみにフリップの場合は、足を上げてそのまま振り下ろす感じになります。

選手経験者の方によると、足を肩幅に広げて立って、右足を左足かかと真後ろに突いて跳ぶ感じがルッツ,そのまま右足をまっすぐ後ろに引いて跳び上がる感じがフリップなのだそうです。

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プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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