アントン・シュレポフ 4Lzナイストライ!来季に羽ばたけるか ―ロシア選手権男子総括(3)


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ロシア選手権男子総括、これが最後です。第3弾はアントン・シュレポフ。
誰それ?という方も多いかもしれませんが、今の私のイチオシです。(セリョージャとジーマは別格。)振り返り、というよりはこれからに期待してのご紹介、という感じになるかな。
12月28日に放映されたロシア選手権で、ちょっと不思議な感じの曲で滑ってた4Lzコケた子、というと思い出してくださる方もいるでしょうか。ジーマやレオノワと同じルカヴィツィンコーチの門下で、サンクトペテルブルグのスケーターです。現在20歳。
トウジャンプを得意とし、Lz,Fの跳びわけも完璧。3連には3A-1Lo-3Fを入れています。昨シーズンの末から4Lzをプログラムに導入し始めました。
表現の引き出しが非常に広く、どんな種類の曲もこなしてのけます、というかアントン色に染めてくれます。自分の見せ方を知っている、というのかな。ずっと地方のクラブで滑っていて、確かペテルに出てきたのは2014年だったと思います。その頃、ルカヴィツィンコーチがインタビューで、
「最近入ってきた子で、感情を滑りに出すのが抜群にうまい子がいる。一度リンクに降りて滑り出すと、あっという間にプログラムに入り込んで、どんな時でもどんなところでも登場人物になりきってしまえる。」
とアントンのことを評価していて、以来注目するようになったのでした。この3年間、本当に様々なプログラムを滑っていて、それがほとんどハマっている、というのはすごいなー、と思います(動画を貼りますのでぜひ見てください)。
だからといって無個性なわけではなく、しっかりした自分の“色”を持っているのが彼の魅力でもあります。

SP 4Lz<<(fall / 3A 3Lz-3T

ほかのエレメンツがすべて加点付きで質の良いものだっただけに4Lzの転倒が残念。ジーマの重厚さとはまた違ったシャープなスケーティングの持ち主で、最後までスピードが落ず、曲に合わせてエネルギッシュなステップを踏んでくれました。

FS 4Lz<(ft 3A 3Lo / 3A<-1Lo<-3F< 3Lz 3Lz-2T 3S< 2A-2T

4Lzはなんとか着氷するも、両足着氷とアンダーローテーション。緊張感かかなり動きが硬くて、彼本来の柔らかくしなやかな所作が見せられなかったのが残念。スタミナ切れか、後半は刺さりまくりましたね。
タラソワさんが「チィティリノエ ルーッツ!」とエキサイトしているのと、3A-1Lo-3Fのところで、「ジェーニャ・プルシェンコが跳んだジャンプね」と言っていたのが印象に残りました。

さて、ここからは彼の過去プロを振り返ってみたいと思います。

2015-16 SP 4Lz / 3A 3Lz-3T

しっとりした男性ボーカルに、彼の柔らかい動きとシャープなスケーティングがすごくマッチしています。

2014-2015 SP 3A 3Lz-3T / 3F

上とは一転してコミカル調。表情も豊かで、小芝居も入って、と楽しいプロです。サスペンダーはやっぱり最強の小道具ですね。

2014-2015 FS

フラメンコギターとカスタネットの旋律にのせて細かくステップを刻んでゆくのがとても素敵。動きにも表情にもメリハリがあって、手拍子の際のドヤ顔たるや。3Lzのセカンドには2Lo。こういった細かいところでも基礎点上げの工夫が。

2015-2016 FS

昨期のFS。アントンのプログラムではこれが一番好きかも。これも何度もジャンプ構成変えて、最終的には冒頭に4Lzを入れて成功させてるので、ぜひ継続させて欲しかった。ジャッジの前でニコニコしながらハートマーク書いてみせたり、神妙な顔で袖口いじったり。ノリノリの曲で見てるこっちも楽しくなってくるプログラムです。


最終的にはSPから順位を落として9位でしたが、ユニバーシアード派遣が決まったので、なんとかそこで一花咲かせて欲しいものです。来期は是非GPSの枠が欲しい。ニース杯2位、タリントロフィー2位、と国際試合の経験も積んできているので、一人でも多くの人に見てもらいたい、と思うスケーターです。

まずは、ユニバーシアード頑張れ!


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ロシア選手権男子総括 王国復興なるか

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(ライブストリーミングより)

もうはっきり言い切ってもいいでしょう。
3年後には間違いなくロシア男子が世界を席巻する。そして今年がその起点の年となる!と。
いや、今年ワールドで3枠がとれたら、それはもっと早いかもしれません。思えばリーザとアデリナがロシア選手権でワンツーフィニッシュを決めた時、5年後は男子だ!と思ったものですが、ちとそれより時間がかかったかな。
いや、これは単なるファンの欲目ではなくて、ちゃんとした根拠があるのです。
女子に比べて男子は成長の過程もあって、どうしても世界で活躍し始めるのは遅い。それだけシニアの壁が厚い、と言いましょうか。
そして、ロシア選手権出場メンバーの年齢を見てみるとよくわかりますが、セリョージャ(29歳)から下がぽっかりと空いていて、それにドミトリエフJr.(24歳)、コリャダー、コフトゥン(21歳)、シュレポフ(20歳)、ラズーキン(19歳)、サマリン(18歳)、ペトロフ、アリエフ(17歳)と続いています。
こうして見るとわかるように、セリョージャのみが旧ソ連時代生まれ、後の選手はみなソ連崩壊後に生まれてきた選手たちです。ソ連崩壊とそれに伴う経済危機で、多くの人びとが他国に流出しました。その中に有力なスケーターや指導者も多く含まれていました。アルトゥニアン、ズエワなど、現在北米で指導者として活躍している人々の多さがそれを物語っています。また、崩壊を機に独立した周辺国も少なくありません。そこから出てきている有力選手も数多い。
セリョージャのジュニア時代、当時コーチだったウルマノフは、
「この年代(セリョージャたちの年代)の選手をこそ大切に育てていかなければならない、なぜなら彼らは数が少ないのだから」
とことあるごとに訴えていたものでしたが、まさにそれは至言でした。しかし、それも耳を貸さず、旧ソ連時代の遺産、とも言うべきプルシェンコに頼りきっていたが故の男子先細りでした。セリョージャの年代は、ソ連崩壊に伴う経済危機の中で幼少期を過ごしています。当然、子供に習い事をさせたりするゆとりもなかったでしょうし、連盟自体も選手発掘に力を注ぐ余裕もなかったし、指導者の流出で最も大切なノービス、ジュニア期に良い指導が受けられませんでした。その中である意味、セリョージャの存在は、ロシアの救い、奇跡、とも言えるでしょう。
そして今、ソ連崩壊後に育った自国の指導者たちのもとで発掘され、彼らの指導を受けて育ってきたのが、上に名前を挙げた選手たちなのです。

ロシア女子台頭のトップとも言えるリーザは現在20歳。ということを考えると、彼女の同年代の男子選手が台頭してくる。というのも自明の理なのです。

また、今回のナショナルで、本当に新採点がロシアに根付いたな、というのも強く感じました。これは、現役時代を新採点で過ごした若手指導者たちの存在も非常に大きい、と思います。指導者が若い、ということはそれだけ未来がある、と考えても良いのではないでしょうか。

というわけで、上位陣の動画を。親しみやすいように英語解説のものを。おそらく米国向けに放映されたものらしく、選手の紹介も詳しくされています。


ミハイル・コリャダー(優勝) FS 4Lz(fall 4T 3A-3T 3Lz-2T / 3A 3S-2ASeq 3Lo 2A

SP,FSともにトップ、そしてFSのPCSはオール9点台、とまさに揺るぎない演技で優勝。怪我での1年以上の雌伏の時を経て、やっと花開いた感じがします。転倒はしたものの4Lzの質は素晴らしく、これが安定すれば怖いものなし、ですね。

アレクサンドル・サマリン(2位) FS 4T-3T 4T 3A-2T / 3Lz 3A 3Lo 3S 2A

JGPSは2大会とも優勝、ファイナルでも2位、という抜群の安定度で、ジュニアながら表彰台に食い込んできました。コリャダーもそうですが、大崩れの心配がない、というのは非常に頼もしいことだと思います。クワド2本、3A2本の構成。

マキシム・コフトゥン(3位) FS 4S 4T 3Lz-1Lo<-3S / 3A-3T 3A 2Lo<< 3S-2T 2A

SP7位から見事に巻き返してきました。さすがにロシア3連覇、の実力は伊達ではありません。精神力、体力ともに地力がついてきたかなー、と思います。以前のように崩れっぱなし、ということはなくなりました。以上3人がユーロ派遣メンバーです。

アンドレイ・ラズーキン(4位) FS 4T 4T-2T 3A-2T-2Lo 1A / 3Lz-2ASeq 3Lo 3F 3S

予選からの出場組。怪我や不調などでシニアでの実績はほとんどない彼のここまでの躍進を予測した方は少なかったでしょう。いかにも王子様、という風貌と優雅な所作、そしてクワド2本の構成。来期が楽しみです。

ドミトリー・アリエフ(5位) FS 4T 3A-2T / 3A 3Lz-3T 3Lo(fall 3F 3Lz 2A-1Lo-3S

クワド一本ながら、後半6ジャンプ、うちコンボ2つ、という攻めの構成。FSでは4位だっただけに、SPの失敗が惜しまれます。上体の線の出し方の美しさ、早さとエッジワークの巧みさを併せ持ったSSの高さは、シニアに行っても強い武器となることでしょう。彼独自のニースライドから入る3Fも健在。

セルゲイ・ヴォロノフ(7位) FS 4T 3A 4T<+REP 1A / 2Lz 3S 3Lo-2T-2Lo 2A-2T

彼の台乗りはSPの3AとFSの二本目のクワドが鍵になるだろう、と思っていましたが…。二本目のクワドを失敗したことで雑念が入ったかな、その後のジャンプ3連続失敗。これが致命傷となりました。特に彼が得意のサルコウでミスるのは珍しいです。結果としてナショナル今まででの最低順位(これまでは参加初年、2年目の6位)。二年連続で表彰台を逃す、というベテランには厳しい結果となりました。

アントン・シュレポフ(9位) 4Lz<(ft 3A 3Lo / 3A<-1Lo<-3F< 3Lz 3Lz-2T 3S< 2A-2T

彼も予選組。GPSの経験はありませんが、CSでの台乗りは何度か経験しています。ただ、緊張があったのか動きが全体に硬かったですね。もっと美しく所作を見せられる選手なだけに残念です。緊張からくる疲労か、後半目に見えてスピードが落ち、それが跳び急いでの回転不足につながったのでしょうか。来期はロステレの自国枠をラズーキンと争う形になるかな。

というわけで、ロシア選手権は無事終わり、ユーロ派遣選手もスムーズに決まりました。(正直これが一番ホッとしています)
これからユーロ始め、ジュニアワールド、ユニバーシアードと次の試合が控えています。選手たちには怪我なく全力を出しきれる試合でありますように、と心から祈りたいです。


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スタートは波乱含み?そして私の推しメンは!ロシア選手権男子SP

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(セルゲイ・ヴォロノフ SP2位、写真はR-スポーツより)


12月22日、ロシアンナショナルが行われました。最初の種目は男子SP。
こちらが
男子SPリザルト
男子SPジャッジスコア

ご覧頂いてもわかるとおり、波乱含みのスタートとなりました。特に、同じゴンチャレンコ門下のセリョージャとコフトゥン、ルカヴィツィン門下のアントン・シュレポフとジーマ、この4人は対照的でした。
まさか、ジーマとコフトゥン、ペトロフが最終グループ落ちするとは・・・・・。
結果は
1位)ミハイル・コリャダー
2位)アレクサンドル・サマリン
3位)セルゲイ・ヴォロノフ
4位)アンドレイ・ラズキン
5位)アルトゥール・ドミトリエフ
6位)アントン・シュレポフ
以上最終グループ、7位コフトゥン、8位アリエフ、9位ペトロフとなっています。
最終グループのメンバーを見て、「え?この選手知らない!」という方も多いかと思います。

というわけで、まずは、今回最終グループ入りした中で私の一押し!をまずあげてみたいと思います。
転倒ではありましたが、4Lzにトライしたアントンです!

アントン・シュレポフ 4Lz<<(fall / 3A 3Lz-3T

パーカッションとヴォーカルが印象的な、ちょっと不思議なイメージの曲です。ルカヴィツィン組に来た時からずっと大好きなんですが、まだGPSの出場経験はありません。コーチによれば、
「一度リンクに降りるとあっという間にプログラムの中に入り込んで観客を引き込む力を持っている、感情表現の上手さは天性のもの」
ということです。確かに、若い(20歳)ですが表現の引き出しがとても広く、しっとり系、コミカル系、小粋系、壮大なクラシック、などなんでもこなします。トウジャンプが得意で、跳びわけもしっかりしており、ゴールデンスピンのSPでは 4Lz 3A 3F-3Tという構成でした。(4Lzは転倒)。また、しなやかで美しい所作を持ち、シャープなスケーティングは同門のジーマとはまた違った魅力があります。上の動画でも、タラソワ女史がステップ部分をベタ褒めでしたね。
こちらが昨期のフリーです。今年とは全く違う彼を見てください。



そして、やっぱりセリョージャです、私の場合。今年の彼はすごく気持ち的に安定しているのが感じられて、「やってくれる感」が半端ないんですが、やっぱり今回もベテランらしく、しっかりまとめてきました。

セルゲイ・ヴォロノフ 4T-3T/3A 3Lo

ジャンプの調子は決してよくなかったようですが(3A,3LoはGOEマイナス)何としてでも降りる、という気合のようなものが感じられました。このSPの衣装はとても彼のお気に入りだそうなので、衣装が彼を「引っ張って」くれたんでしょうか。2位のサマリンとの差は今日はジャンプの質でしょうか。また、彼はベテランであるとともに、どちらかというと古いタイプのスケーターでもあるので、新採点で育ってきた世代とはどうしてもPCS(特にTR)で遅れをとりがちです。(特に今日、コリャダーの演技を見てそれを感じました)。しかし、そんな中29歳というベテランとなっても上位で戦える、というのはクセのないスタンダードなジャンプ、地味にうまいスピン、と基礎技術がしっかりしているからだと思います。
SP後のインタビューでは、「自分との戦いだから、出来には満足している。3Aの時には昨年の失敗が頭をよぎってしまった」と言っていたようです。
明日のフリーは「エクソジェネシス協奏曲」。
ベテランの渾身の演技に期待!です。


最後にジーマです。彼が今年のプログラムについて語ってくれている最新インタがこちらです⇒ドミトリー・アリエフ:「僕はファイナルへの扉を最後に閉めて、それを最初に開いた」
今回はシニアの選手権、ということでSPにもクワドを組み込んできました。

ドミトリー・アリエフ 2T /3A 3Lz-3T

残念ながらクワドが抜けてしまい、この順位となりました。SPにおいては、要素ヌケは非常に痛い失敗です。やり直しがききませんから。4T⇒2Tとなったことで、彼は10点近く失ってしまったことになります。
現地の方によると、全体的に滑りが硬かった、ということなので、慣れていないシニアのSPプロを2番目、という早い滑走順で滑ることによる緊張もあったのでしょうか。滑りが硬かった、というのはPCSにも現れています。
しかし、正直言って私はこの「オブリヴィオン」は、ジュニアプロの方が好きです。ジャンプが振り付けの中に溶け込んでいて、ひと繋がりになっている、とても完成度の高いプログラムだと思います。シニアプロにしてジャンプの構成を変えることで、そのバランスが崩れてしまうような気がするのです。
ちなみにこちらがジュニア構成のもの。

特に3Lz-3Tの前にスパイラルが入っているのが、曲想の盛り上がりを感じさせてものすごく素敵です。シニアプロにはこれがないんですね・・・。
けれども、まだフリーが残っています。彼はシーズン後半からFSを変えてきましたが、曰く
「新しい曲は僕により近くて、僕は動きから快感を得ることができ、満足を得ることができ、観客席の一人ひとりの観客の視線を一人占めににすることができ、なんというか、内側から湧きあがるような感情を味わうことができます。この新しい曲では、振り付けのほかに、感情を込めることができます。」
ということなので、巻き返しに期待したいと思います。というか、順位より何より満足のいく演技をして欲しいと思います。

とにかく選手たちみんな、悔いのない良い演技ができますように、心から祈ります。そして、今年は五輪前年ですので枠数の問題も絡んできます。
選手の派遣でもめたりするようなことがありませんように。。。


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イワンに願いを ミハイル・コリャダー ―ロシアの俗信


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(左より、イワン・パヴロフ、ミハイル・コリャダー、イワン・リギーニ)

先日、ロシアンの名前についてエントリーを作ったことがありましたが
ロシアン名前のマメ知識(愛称対象表つき)
今回ちょっとおもしろくも微笑ましい写真(上)を見つけたので・・・

当該エントリーにも書きましたが、ロシアには同名さんがべらぼうに多い。(スケーターにもたくさんいますね、マリア、アナスタシア、アレクサンドル、ドミトリーなどなど。いやぁ、認識が大変です(笑))

そんなわけなので、「同名さんに挟まれて座って願い事をすると叶う」という俗信があるのだそうです。

このコリャダー君の写真がまさにそれなんですね(笑)世界選手権のSP後に写したもののようですが・・・
パヴロフ、リギーニの2人のイワンに挟まれてミハイル君が座ってます。

この時、コリャダーくんはイワンズに願いをかけたんでしょうか?

もしも「翌日のFSがうまくいきますように」の願いだったら、バッチリ叶ったわけですね!(ロシアの俗信、おそるべし!)

日本でも、鈴木さんに挟まれて、とか佐藤さんに挟まれて、とか願いをかけてみたら叶うかな?(あ、これは苗字ですねw)


現在、ロシア語話者の方の協力を仰いで、コリャダーくんのインタを翻訳中です。近日中にアップできると思いますので、どうぞお待ちください!


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ロシアン名前のマメ知識(愛称対象表つき)

今回は、スケートからちょっと離れて、ロシア人の名前のプチ解説などしてみたいと思います。
覚えにくい、長ったらしい、発音しにくい、など難関なロシア人名ですが、法則性がわかると親しみも湧いてきますよ(だといいなあw)
ロシア語サイトなどを参考にしましたが(下記リンク)、最終チェックはロシアにお住まいのロシア語者のフォロワーさんにお願いしました。いつもありがとうございます。m(_ _)m

まず、ロシア人名は

:名前
・所謂ファーストネームのことで、イーミャというそう。聖書や神話、聖人由来のものが多いです。新しいものを作成することはまずなく、既存のものから選んでつけられることがほとんどのようです。だから同名さんがべらぼうに多く、同名さんに挟まれて座ったら願い事をすると叶う、なんて俗信があったりするそうです。
それぞれの名前には付随した愛称(これについては後述)があり、それで呼ばれることが多いです。

:父称
・父親の名前のことで、これに+ヴィッチ(男性の場合)、+ヴナ(女性の場合)などの語尾をつけ、〇〇の息子、△△の娘、という意味を表します。(例:セルゲーエヴィッチ⇒セルゲイの息子 アナトーリエヴナ⇒アナトーリーの娘、など)
ロシア人名においては、父称は必ず存在し、ない、ということはありえません。たとえ母親がシングルマザーの場合でも、父称を必ず付けます。

:姓
・いわゆる苗字です。男性形と女性形があり、一家でもお父さんとお母さん、兄と妹では姓の形が違います。(ただ、男女同形の姓もあります、ややこし!)
そして、特徴のある語尾でルーツのわかるケースもあります。(例を上げてみましょう。~コ(ウクライナ系)、プルシェンコ、ペトレンコなど。~ヤン、~アン(アルメニア系)アルトゥニアンなど。~ヴィリ、~シヴィリ、~ゼ(グルジア系)クヴィテラシヴィリ、トゥトベリーゼなど。グルジアのエレーネはゲデヴァニシヴィリ、ですね)

この3つから構成されます。

セリョージャでいうと、 セルゲイ(名前)・エフゲニーエヴィッチ(父称)・ヴォロノフ(姓) 
つまりこれは ヴォロノフ家の エフゲニーの息子の セルゲイ ということになるわけですね。もし彼にアリョーナ、という名前の妹がいたら  アリョーナ(名前)・エフゲニーエヴナ(父称)・ヴォロノワ(姓) です。


そして、忘れてはならないのが、ロシアは呼びかけ文化である、ということです。←ここ大事!
名前、父称、姓それぞれを組み合わせて、自分と相手の距離感を形成しつつ、コミュニケーションをとるのです。ですから、映画や物語で、登場人物同士の仲が良くなっていったり、疎遠になっていったりと、人間関係にゆらぎの起こる中で、呼びかけ方も変わってゆくのは当然なのですね。

ロシア文学を読み始めて、ただでさえめんどくさいカタカナ人名にひーこら言ってる所にもってきて、呼び名がやたらたくさんあり、Aさんを呼ぶのにBさんは「X」と呼び、Cさんは「Y」と呼ぶ。そしてストーリーが進むにつれてまたまた違う「Z」という呼び方が出てくる・・・。いったい誰が誰なの!なんてことになって投げ出してしまった方も多いのでは。←はい、私です(笑)

これも、コツを覚えるとなんとかわかってきます。

そして、ここで大事になってくるのが先程も述べた「愛称」です。

:愛称
これは名前(ファーストネーム、イーミャという)に必ず付随しているもので、親愛の情を込めて呼ぶ形です。
ロシアでは、本名をそのまま呼ぶ、ということはあまりしないようです。本名そのままだと、阻害してる、よそよそしい、という印象を与えるのだそうです。また、精神的な距離感がある、という場合です。ですから、敢えて「あまり親しくない」ということを表すために本名で呼ぶ場合もあります。
しかし、殆どの場合親しみを込めて愛称(略称)呼びすることが多いようです。。
この愛称ですが、日本で言うところの「略称」とは似て非なるものなので、本名より長くなることもままあります。
また、日本語で聞いた形だと、本名とまるっきり違う形になってたりするので、なんでこうなるの?とクエスチョンマーク乱れ飛び、という状態になることもしばしばです。これはもう覚えるしかありません(笑)
私の乏しい知識から行きますと、名前のアクセント部分の音節+ーシャ(ジャ)、ーニャ、となることが多いようです。
また、愛称は複数あることが多く、それぞれによって人間関係の近しさが違います。乱暴な言い方になりますが、カ行音で終わる、または長いほど近しい、親しい、という感じです。ですから、
「彼は私にとってコースチャであって、コースチェンカではない」
などということも起きるわけです。人間関係、精神的な距離感で呼び分けるわけですね。

例(右に行くほど近しさ・親しみが増す)
セルゲイ⇒セリョージャ⇒セリョーガ(主に男性から呼ぶ)⇒セリョージェンカ(主に女性から呼ぶ)
コンスタンチン⇒コースチャ⇒コースチク⇒コースチェンカ
マリア⇒マーシャ⇒マーニャ⇒マニューニャ
ダニール⇒ダーニャ⇒ダーニカ
エフゲニー(女性形エフゲニア)⇒ジェーニャ⇒ジェーンカ(ンとニの中間の音)
といった具合です。(下にもっと書いてあります)


では、本題の“呼びかけ”に入りましょう。 (すいません長くて)

まず、普通の場合。
英語で言うところの、ファーストネーム呼び捨て、の場合です。この際は名前の愛称のみを用います。

「マーシャ」「コースチャ」などですね。この二人がさらに親しくなると
「マニューニャ」「コースチェンカ」と呼び合うわけです。

そして、尊敬を込めた言い方。英語で言うと「Mr.」をつける感じ、日本語で言うと「先生」といった感じ。こういう場合は
「名前」+「父称」 となります。
「アレクセイ・ニコラエヴィッチ(・ミーシン)」「タチアナ・アナトーリエヴナ(・タラソワ)」
などです。
ただこれは、明らかに立場が上の人間に、礼儀を込めて呼ぶ場合です。年長者であっても、友人や仲間に関してはこういう呼び方はしません。
例えばジュニアの選手でも、インタビューで、メンショフやヴォロノフに向けて「コンスタンチン・アレクサンドロヴィッチ」「セルゲイ・エフゲーニエヴィッチ」という呼び方はしませんね?そういうことです。
ですから、この呼び方が出てきたら、目上の相手を敬って呼んでいるんだな、ということが解るわけです。
また逆に、愛称で呼び合う間柄であっても、「ムカついた、ちょっと距離取りたい」と思ったときは、敢えてこの「名前+父称」で呼んだりします。

こうして書いてくると、「ロシア人って、姓を使わないの?」という疑問が湧いてくるかと思います。もちろん用います。ただ、これはどちらかというとフォーマルな場合になるようです。インタビューなどで、リスペクトしている相手を語るときなど、
「リョーシャ・ヤグディンは~」とか
「セリョージャ・ヴォロノフについては~」
などのように用いるわけです。この際、名前に愛称を使うのは、親しみ・尊敬の表れで、ロシア人的感覚からすると、本名そのまま、というのはいかにも形式的、阻害してるまたは精神的な距離感がある、という印象になるようなのですね。

例えば、プーチン氏のフルネームはウラジーミル・ウラジミーロヴィッチ・プーチンですが、記者たちは、
ぶら下がり取材では「ウラジーミル・ウラジミーロヴィッチ」と呼び、
親しい友人、としての時間は「ワロージャ(ウラジーミルの愛称)」と呼び分けるんでは?と思われます。
といっても、カタカナで外国人名が正しく表記できるわけがないのでして 上記の「ワロージャ」の「ワ」音などは「ヴァ」と「ワ」の中間的な発音をしますし、エフゲニアの愛称「ジェーンカ」は「ジェーニカ」と「ジェーンカ」の中間の発音です。
あと、ロシア語ではti di はティ ディとは発音しない(これが英語などと違うところです)ので、Konstantin はコンスタンチン、Dima(ドミトリーの愛称)は、ジーマとなります。

あと、公式書類(連盟のバイオグラフィーなど)には、
(姓)(名前)(父称)の順で記されます。

ヴォロノフ セルゲイ エフゲーニエヴィッチ
メンショフ コンスタンチン アレクサンドロヴィッチ 

という具合です。



++参考サイト 
ロシア人の名前
ロシア人名について++


<主な選手の愛称(略称)対象表>
(なんでこうなるの?と考えず、とにかく覚えてくださいw、記載した他にもいろいろあります)
アデリナ(ソトニコワなど)⇒アデリンカ
アリョーナ(レオノワなど)⇒アリョンカ
アレクサンドル、女性形アレクサンドラ(サマリン、ペトロフなど)⇒サーシャ、シューラ、サーシェンカ
アレクセイ(ヤグディンなど)⇒アリョーシャ、リョーシャ、リョーハ
アジヤン(ピトキーエフなど)⇒アージク
アントン(シュレポフなど)⇒アントーシャ
アンドレイ(グリャーツェフなど)⇒アンドリューシャ
アンナ(ポゴリラヤなど)⇒アーニャ
ウラジーミル(ペトレンコ弟など)⇒ヴァロージャ(ワロージャ)、ヴォーバ
エリザヴェータ(タクタミシェワなど)⇒リーザ、リーザチカ
エフゲニー、女性形エフゲニア(プルシェンコ、メドヴェージェワなど)⇒ジェーニャ、ジェーンカ
エカテリーナ(ボブロワなど)⇒カーチャ、カーチェンカ
エレーナ(ラジオノワなど)⇒レーナ
コンスタンチン(メンショフなど)⇒コースチャ、コースチク、コースチェンカ
クセニア(ストルボワ、マカロワなど)⇒クシューシャ
セルゲイ(ヴォロノフなど)⇒セリョージャ、セリョーガ、セリョージェンカ
セラフィマ(サハノヴィチなど)⇒シーマ
ソフィア(ビリュコワなど)⇒ソーニャ
タチアナ(ヴォロソジャールなど)⇒ターニャ
ダニール、ダニエル(サモヒンなど)⇒ダーニャ、ダーニカ
デニス(テン、ヴァシリエフスなど)⇒デニスカ、デーニチカ
ドミトリー(アリエフ、ソロヴィヨフ、ソポトなど)⇒ジーマ、ジームカ、ジーマチク
ニコライ(モロゾフなど)⇒コーリャ
マリア(ソツコワ、アルテミエワなど)⇒マーシャ、マーニャ、マニューニャ
マキシム(トランコフ、コフトゥンなど)⇒マックス、マキシムカ
ミハイル(コリャダーなど)⇒ミーシャ、ミーハ、ミーシカ
ロマン(サヴォジンなど)⇒ローマ
ユーリ(プリセツキー?など)⇒ユーリィ、ユーラ、ユーラチカ(よほど親しい場合)
ユリア(リプニツカヤなど)⇒ユーリャ

他、お知りになりたい愛称がありましたらお問い合わせください、なるだけ頑張ってお答えします。




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氷上の国のアリス ―アリサ・フェジチキナインタビュー


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(JGPFより。© РИА Новости)

先日のジーマのインタビューと同じインタビュアーが、彼の公認の恋人(?)であるアリサ・フェジチキナのインタビューをとってくれていました。これはぜひ対で訳したい!と取り組んでみました。
もうすでに訳された方、読まれた方いらっしゃると思いますが・・・

アリサのことは、今年のJGPSで、猫耳をつけて「Cuts」をやってた子、といえば思い出される方は多いと思います(写真上)。衣装のせいもあるかもですが、ふんわりとした砂糖菓子のような可愛らしいイメージの彼女ですが、中身はなかなかどうしてアスリートです。ジーマがベタ惚れな理由もわかりますね。

今回も、ロシア語者の友人に協力を仰ぎました。心より御礼申し上げますm(_ _)m

では、本文行きます。


++++++++++

<私は“可愛い女の子”を演じているのに、もっと“生意気”になれ、と言われます>

フィギュアスケーターのアリサ・フェジチキナは、彼女の最初のジュニア国際試合のデビューシーズンにおいて、バルセロナでのジュニアグランプリファイナルに進出し、またハンガリーのデブレツェンにおいて行われる世界ジュニア選手権に出場を決めました。フェジチキナはロストフ・ナ・ダヌー生まれの14歳。彼女はスケートについて、そして氷上の優雅さについて、彼女の生活を彩る様々な色彩について、そして10代同士で築き上げた強い友情についてを「R—スポーツ」のアナトリー・スモヴァーロフ記者に語りました。


F:3年前、サンクトペテルブルグに来ましたけど、ここはロストフ生まれの私には体験したことのない湿った気候でした。
最初はこの湿気になかなか慣れることができなくて、大変な思いもしました。でも、今はもう平気です。
夏の市街の美しさにはとても感動しました。ちょっと風邪をひいたりすることはあるけれど、同じようにサンクトペテルブルグのアカデミーでエフゲニー・ルカヴィツィンのところで習っている他のスケーターと今は何ら変わりありません。


S:ロストフを覚えています?


F:ええ。毎年夏か秋の初めに、合宿の前に帰っています。お父さん、姉妹、お祖母さんと犬がいるんです。


S:あなたがわかります?


F:犬ですか?ええ、もちろん!うちのチワワはいつも大喜びで私を迎えてくれます。犬なしではどこにもいかないわ。そしてドン河の砂の岸辺を一緒に走り回るの。
私の家は河に近いので、休暇中には一日2回は泳ぎに行きます。私は泳ぎもうまいんですよ。


S:そして、サンクトペテルブルグに戻りますね。兵営にゆくような気分になりませんか?


F:いいえ。夏も冬も、私はジーマ(アリエフ)と一緒です。休日にはいろいろなところに出かけます。
中心街や、冬宮前広場、そして映画にも行きます。楽しみを探してね。
でもあの時は最悪でした。私たち4人(ジーマ、アリーナ、ジアーナ)(訳注1)で、人形博物館に行ったんですけど、とても恐ろしかった。私はそんなに臆病じゃないつもりなんですけどね。


S:恐怖はスキーヤーの最初の敵となりますね。


F:私は、フィンランドにダウンヒルスキーをしに行ったことがあります。とっても気に入りました。
もちろん、プロ級のコースなんてとんでもない、素人向けのところですけれど。でも、私はスピードを出して、ジャンプもしてみました。怖かったけれど、ほんのちょっとだけね。トリプルトウループに入る前よりは(ちょっと怖かった)。


S:フィギュアスケートにおいて怖いもの、ってありますか?


F:転倒を怖がる人もいますが、私は違います。転んでも、起き上がって、さらに先にゆきます。
子供の頃、私は骨折しないように着氷することを教えられました。


S:サンクトペテルブルグでは、サッカーを見に行きましたか?


F:もちろん、ゼニート(訳注2)戦を見に行きました。けれども、私はお父さんほどサッカー好きではないんです。
けれども、ロストフ(訳注3)の選手を1人覚えています。ジューバ(訳注4)。とっても大きくて、力強いプレーヤーですよね。


S:そして、彼はとても優しいんですよ。


F:そうなの?
あと、モスクワでは、ホッケーのツェスカ対トラクトル戦を見に行きました。だけど、私はやっぱりフィギュアスケートや体操の方が好きだわ。


S:新体操をやったことはありますか?


F:いいえ。何度かリボンを投げてみたことはあるんですけれど、受け止めることができなくて。難しくて、きついスポーツですよね。


S:あなたのコーチであり、振付師でもあるオルガ・グリンカは有名な体操選手でしたが、教えてもらわないのですか?


F:私たちが一緒にするのは、ダンスやストレッチくらいです。そう、一般的にフィギュアスケートに必要、とされているものですね。


S:体操のことはチェックしていないんですか?選手や大会の動向を気にかけたりとか。


F:私が気がかりなのはジーマだけです。


S:何があなた達の強い友情を築き上げたのでしょう?


F:私たちは、ほとんど同じ頃にサンクトペテルブルグに出てきました。私はロストフから、そして彼はウフタから。
最初はみんな同じように付き合っていたのですけど、今シーズンにはすでに私と彼はより緊密な友情に変わっていました。私たちが、お互いをより深く分かり合えるようになっている、ということだと思います。


S:あなたの名前が使われた映画はいくつもありますね?どれが好きですか?


F:「不思議の国のアリス」かしら。実写版の方ではなくて、アニメーション。ヒロインが私に似ていると思うの。明るい色調のブロンドの髪とか。


S:「未来から来た彼女」(ソヴィエトのTVドラマ)は見ました?


F:もちろんです。とても面白かったし、アイディアが斬新ですよね。けれども、「不思議の国のアリス」の多彩で華やかな色調の方に私は惹かれます。洋服でも、明るくてカラフルな華やかなものが好きなんです。


S:でも、あなたのプログラムはそんなに子供っぽいものではありませんよね?


F:SPの振り付けはオリガ・ゲルマノブナ(グリンカ)です。
私は柔らかなドレスをまとったレディーで、王子様の来るのを夢見ているんです。でもまだ彼女には王子様は現れない・・・。そんなストーリーです。
FSはワレンチン・ニコラエヴィッチ(モロトフ)。有名な子供向けのミュージカルの中に出てくる猫を演じています。


S:年長のスケーターとの交流はありますか?


F:はい、私たちのチームの女子はみんなフレンドリーなの。特に、アリョーナ・レオノワと、エフゲニア・メドヴェージェワとは、とても仲良しです。


S:泣きたくなったときは、誰が慰めてくれますか?


F:いいえ、私は泣きません。
けれど、なにかうまくいかないことがあったなら、私はジーマに相談します。彼は私を元気づけてくれます。そして、私も彼を励まします。


S:泣きたくなるのは、どんな時なのでしょう?


F:悔しさや、(自分自身への)怒り、こういったもの以外にはありえないわ。
私は、リガのクランプリシリーズで、3位と0.3か0.4点の差で表彰台を逃したことを忘れてはいません(訳注5)。
ええ、その時私は泣きませんでした。感情が高ぶって怒りが湧いてきました。そしてその悔しさは私の中で大きな刺激となっています。
なにか練習でうまくいかないことがあって凹んだりすると、すぐにあのリガのことを思い起こすんです。すると、更なる悔しさが湧いてきて、もとの気持ちに戻れます。
そして、あの時のようにほんの小さなミスでメダルを逃したりすることのないように、と思い続けています。


S:ジュニアグランプリファイナルは、大きく重大な試合であるという感じはありましたか?


F:私は、幸運がこちらに向かってくる、と感じました。


S:追いつくのが難しい、と感じる選手はいますか?


F:私は、(プログラムが成功したら)誰がどれくらいの点数を取るだろうか、ということは大体わかります。けれども、練習中に気をそらしたりはしません。
私のすべきことはいつも同じです、全ての試合で表彰台に登ること。そうすれば、シーズンの大きな大会への代表の座が約束されます。


S:ポリーナ・ツルスカヤは、ジュニア女子シングルの絶対的な女王と言えると思います?


F:あらゆる試合のたびにそれを証明し続けていますよね。彼女は背が高くて運動神経の素晴らしく良いアスリートです。


S:あなたの切り札となるものはなんですか?


F:感情表現、と言えるかしら。
コーチは私に、(プログラム中に)出さなくてはならない感情を作り上げるのではなくて、どこで微笑んで、悲しんで、といったように自然と思いが湧き出てくるままにしなさい、といいます。そういったものをコントロールする力が私には既に備わっているのだと言ってくれます。


S:まさに、あなたのイーグルひとつとっても、それを見て取ることができますね。


F:私はただ単に氷の上に乗って滑っているのではなくて、それを楽しんでいるのが好きなんです。
それは感じたものそのままを演じているに過ぎないのです。私はプログラムを通して感じたままのイメージに溶け込んでいたい。けれども、そうしていると最も大事なものであるプログラムから注意がそれてしまうので、そこが難しいんです。


S:不良的なイメージには惹かれませんか?(訳注6)


F:(声を出して笑う)いいえ、全然。
私は本当に、今シーズンやっているようなロマンティックなイメージが好きです。そして、上品で華麗に見えるようにしたいのです。他の組み合わせは想像すらつきません。


S:14歳にしてあなた自身のスタイルを確定させてしまってよいのですか?


F:ええ、いいと思います。「可愛い女の子」(訳注7)っていうイメージってありますよね、まさに私はそれを演じています。
実際の生活でもそうですし。


S:それは生まれつきのものですか?それともそう躾けられましたか?


F:生まれつきですね。明らかに。スポーツには性格が出ると思います。


S:子供が「可愛い女の子」でいすぎると、親たちは「もっと生意気になりなさい」「自分を出して」「押しが強くてもいいのよ」(訳注8)などと助言すると思いますが?


F:ええ、私もその通りのことを言われます。氷上でだけじゃなく、実生活でも。


S:スポーツをする上でと、生活上のそれは異なりますか?


F:もちろんです!氷上での、というかアスリートとしての「生意気さ」「押しの強さ」は、「乱暴さ」とは無縁です。スポーツにおいて必要な「生意気さ」とは、より大胆に、柔らかい滑りの後のジャンプの入りにだって思い切って速いスピードで入って行けるような、そんな自信過剰すぎるほどに強気な感情を言うのだと思います。


S:しかし、それは難しくはありませんか?柔らかく、滑らかでロマンチシズムに溢れた滑りと、自信に満ち溢れた強気さ、生意気さを融合させる、というのは?


F:なぜですか?経験を積んでゆけば、全てを寄り合わせることが出来ると思います。


S:あなたが好きなシニアのスケーターは誰ですか?


F:アシュリー・ワグナーです。私の考えですけど、今シーズン、彼女はとても素晴らしいプログラムを持っていると思います。それは女性的であるとともに、ドラマティックさが同居しています。ロマンスとインパクトの融合のいい例ですよね。
それに、彼女のジャンプは本当に見事で素晴らしいわ。


S:一般的には、誰もがマオ・アサダを目標にしている、と言われています。


F:私はアシュリーが好きです。バルセロナで、私たち少しだけどおしゃべりも出来たんです。


S:多くの若いスケーターは、大会の重要性やメダルの価値を本当にわかっていないので、緊張感に欠けている、という人も多いようですね。


F:私にとって、ロシア国内での試合と、国際試合では、大きな違いはありません。クリーンに滑って、表彰台に登ること、ただそれだけです。その一方で、観客がどんな雰囲気が、というのに影響されることもあります。お客さんが声援をおくってくれたりすると、大体においてその熱気に支えられてうまくできます。
けれども、どんな時でも多かれ少なかれ緊張感はあります。私が最も緊張したのは、エカテリンブルグの(シニアの)ロシア選手権でした。


S:それはなぜですか?


F:私が知りたいです。いつでも、どこででもあんなことはありませんでした。オーバーヒートしちゃった感じ。
そのロシア選手権は、私にとってさらに上の大会がかかっているわけではありませんでしたし、失うものもなかったんです。それは私にとって問題ない試合のスタートのはずでした。
私は年齢制限に達していなかったですし、選手権の参加者にも入っていませんでした。単にシーズンの成績が良かったから参加させてもらえたに過ぎなかったんです。


S:エカテリンブルクが終わり、ハンガリーのデブレツェン、世界ジュニア選手権がおとずれますね。
そこで新しく経験できることは少ないと思いますが?


F:予測するのはやめましょう。3月中旬はまもなくです。

=====ロシア語本文=====


(訳注1)ドミトリー・アリエフ、アリーナ・フョードロワ(ラトビア出身のスケーターで、アリサ達と同じルカヴィツィン門下生)、ジアーナ・ペルヴーシキナ、の3人とアリサで連れ立っていったと思われる。

(訳注2)ゼニートとは、サンクトペテルブルグをホーム(根拠地)とするロシアプレミアリーグのサッカーチーム。スケーターでは、トランコフとクリモフがこよなく愛しているチームでもある。

(訳注3)ロストフは、アリサの出身地ロストフをホームとするロシアプレミアリーグのサッカーチーム。強豪の1つ。

(訳注4)アルチョム・ジューバ。モスクワ出身のサッカー選手。フォワード。2013-14シーズンにスパルタークからロストフにレンタル移籍。アリサが彼を知ったのはこの頃のことと思われる。現在はゼニート所属。

(訳注5)2015JGPSラトビア大会のこと。3位のダビンが168.29、アリサは167.59で4位に終わる。⇒女子リザルトページ

(訳注6)原語は“フーリガン”の意。暴れ者、不良性を帯びた、など。記者はここで、アリサに今までとは全く毛色の違ったプログラムをすることに興味はないのか、というような問い掛けをしていると思われる。

(訳注7)ここでは文字通りの意味であるが、原語には「ウジウジしていてはっきりしない」「内気」「世間知らず」といったネガティブな意味もある。このネガティブな意味が(訳注8)とも関連してくる。

(訳注8)ここでは(訳注7)の意味をネガティブに捉え、「もっと生意気に」「押しを強く」と促している。タイトルにもあるように、この「可愛い女の子」と「生意気さ、押しの強さ」という言葉の対比が、少女としてのアリサと、アスリートとしての彼女の人間像を引き出す鍵になっている。


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ヴォロノフ、メンショフら新プロ発表! ―ロシアンテストスケート


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前回のエントリーにも書いたように、先日、ロシアではナショナルメンバーのテストスケートが行われました。
これはお客さんを入れて公開するものでもありますが、元々は選手たちが
「今年はこんな曲でこんなプログラムを滑りますよ」
と、自分以外の指導者や連盟のお偉方、ジャッジたちに見せ、それによって感想を聴いたり、感触を確かめたりするものです。
ですから、ジャンプ構成なども落としてきていたり、衣装も練習着だったりします。
そして、アドバイスを受けてプロの雰囲気を変えたりもします。ですからこれが必ずしも完成形のプロ、というわけではありません。

まずは男子行きます。
男子でこのテストスケートに参加したのは、ヴォロノフ、メンショフといったベテランを始め、ペトロフ、ピトキーエフ、クヴィテラシヴィリ、といったところ。前年チャンプのコフトゥンは足首の怪我で大事を取って欠席、ガチンスキーも体調不良で欠席でした。
けれども、ゴルシコフやシュレポフもサンクトペテルブルクオープンで新プロを披露していますので、男子のナショナルメンバー、サブメンバーは大体のところ、上々の仕上がりを見せているようです。


ではまず、ジェフリー・バトル振り付け、ということで楽しみと不安が入り混じっていたセルゲイ・ヴォロノフ。

出てきた時、私は彼がいつもの黒の着倒しセーターを着てるのを見逃しませんでした(笑)
これですね↓
COyB7bdU8AAIfz7.jpg
これを始めてみたのは2010-11シーズンの「道化師」初披露の時だったかな。そして、そのシーズン、次のシーズンのロシア選手権のEX,「キャンドル・ライト」の時にも着てました。

キャンドル・ライト


物持ちがいいのかなぁ、と思う彼ですが、ウルマノフから離れてモロゾフで仕切りなおし、という時といい、今回のジェフリー・バトル振り付けで勝負をかける、という時といい、この黒セーターは彼の勝負服なのかもしれません。

おっと、話がそれました。では、SPいきます。

セルゲイ・ヴォロノフSP


ジャッジ側から
https://www.youtube.com/watch?v=nPnH-4IIV4M

期待していたよりずっと素晴らしいものでした!見ていてあっという間に終わってしまいました。(ぜひジャッジ側のものも見ていただきたいです)
何度もリピートして見ましたが、この感想は変わりません。インタビューで、ジェフに直について振り写しができたのはいつもよりかなり遅い時期、それも2週間足らずだった、と聞いていたので不安もあったのですが、こんなに素敵なプロを作ってくれるとは!
ジェフ、本当にありがとう。セリョージャがジュニアの頃から憧れていた、という彼、まさにその気持ちに答えてくれたかのようです。
しかし、私は音楽について詳しくないのでこのヴォーカル曲を知らないのですが、振りが歌詞にあっておらず単なるBGMになってしまっている、という感想も聞きました(これはヴォーカル曲を使う場合常に伴う危険性です)。
けれどもセリョージャはいつも曲想から自分の世界を創り上げ、それを演じるタイプなので、ジェフもそれを知っていてこの振付にしたんだと思います。

そしてFS


こちらも私はとても気に入りました。SP,FSともに、3Aの前にイーグルを入れることで、彼の今まで目立っていた長い助走が緩和されて見え、またセリョージャの得意なイーグルをしっかり見せてくれるところがとてもいい。
そして、セリョージャは以前から「僕の役目はプロをクリーンに演じること、そしてそれを採点するのがジャッジの役目」と述べていたのですが、ジェフが「良いプログラムとは、選手、観客、ジャッジすべてが融合して作り上げるもの」と言い聞かせたらしく、演じるにあたって彼の意識の中でその言葉がかなり変化をもたらしたように思われます。特に、ジャッジ席や観客席に視線を送ることが増えました。両プロともしっかり滑り込むことができ、表情を作る余裕ができれば、ジャッジに訴えかけるものも大きくなってくるのでは、と期待しています。
また、これもジェフの影響だと思うのですが、彼比でかなりスケーティングがよくなっているので、今までブン!と手を動かす反動でターンしていたような部分(これはモロゾフ時代に顕著でした)がなくなり、腕の動きが大きく、また体の動きにゆったりと腕がついてくるような、美しい動きになっているように思われました。そのせいか、演技全体のスケール感がアップしているように感じられます。
演技後の「ブラボー!」の声が自分に向けられたもののように嬉しかったです。問題は衣装だな(笑)


そして、メンショフ。彼はSPは持ち越し、ということで衣装も同じ、ジャンプ構成も同じで挑んできました。4T-3T、4S、3Aというクワド2本の構成は今年も変わらず、こだわっているようです。スピンの形状を少し変えたかな?

メンショフSP

そしてFS.


このヴォーカル曲はメンショフ自身の選択、ということです。そのせいか、ゆったりと哀愁を帯びた旋律の中に入り込むような演技が印象的でした。
ただ、これはジャッジ評が分かれるんじゃないかなー、という気もしました。彼独特のこの世界観、私はとても好きですが、いつもPCSがかなり割れているので。今回もかなりそれが顕著になるのでは、という予感がいたします。
インタビューで、今ジャンプの調子を崩していて基礎からやり直さないと、ということを言っていたそうですが、確かに軸がバラ付いている感じで、いつもテストスケートの時期には安定してクワドを決めてくる彼にしてはかなりジャンプが不安定でした。
しかし、「自分は他国の選手に比べてスケーティングで劣るのは分かっている、だからテクニカルな面を磨きそれで押してゆく」ともいっていて、このFSにはクワド3本を組み込んでくるそうです。見た感じだと、4Tー3T、4S、4T(後半)となるのかな。そして、昨期何度も泣かされた2Tザヤ防止のため、3連のサードジャンプに2Loをしっかり組み込んできたのも凄いな、と思いました。まさにベテランの意地。


そして若手。昨年ロシア選手権で3位となり、ユーロも経験したアディヤン・ピトキーエフです。

ピトキーエフFS


軸の細い綺麗な回転の4T。本当に安定していますね。また、彼の持っていた冷たく、堅い雰囲気、それも活かしながら優しさと雄大さを感じさせるプロフラムになっているように思います。スケーティングのスピードも最後まで保たれているようですし、期待が持てそう。セリョージャ、うかうかしていられないぞ!?


そして、モリス・クヴィテラシヴィリ。まさかのクワド4本構成?それともリカバリーで跳んだのか?ちょっとまだよくわからないですね。

クヴィテラシヴィリFS


ちょっとコミカルなプロ。衣装が楽しみになります。
あと、ファンの間では「モリスのアクセル」とまで言われて心配されていた(いや、本当に昨季までは苦手だったんですよ)3Aを軽々とSPでもFSでも入れてきたのには驚きました。彼は身長も高く手足が長いので、ジャンプがキレイに決まると本当に映えます。


そして、女子で気になったプロを2つ。やはりワールドがアメリカ、ということで意識して選んだのかな、とも思いますが・・


ユリア・リプニツカヤSP


ユリアに男性ヴォーカル、それもプレスリー、というのは考えてもみなかった、というか意表をつかれた、という感じ。
「シンドラーのリスト」の赤いコートのあどけない少女がこれだけ大人びたのか、という感慨とともに、彼女も恋を演じる年代になのだよな、としみじみ。
そして、3Lzがきれいにアウトエッジで跳べていたことで、ユリアの並々ならぬ努力と強さを感じたのでした。


そして、アリョーナ・レオノワ。彼女もSPのチャップリンは持ち越しですが、FSでちょっと冒険をしてきました。

レオノワFS


サマータイム、監獄ロック、シング・シング・シング、etc.とどっぷりアメリカ。昨季のリギーニを思わせるのはフルヴォーカルでガンガン「やりたい曲を繋いでる」感のするところでしょうか。
ただ、本当に彼女の「楽しそうに滑ってる」雰囲気が感じられて、こちらまで楽しくなるプログラムです。まだジャンプの調子が完全ではないようで、転倒などもありましたが、このプロで彼女のスピードのある大きいジャンプが決まったら、本当にハマりプロになるだろうな、という気がします。女子スケーターではもうベテランの域に入りながら、これだけ可愛らしさ、コミカルさを出せる、というのも彼女の持ち味であろうかと思います。
ただ、フルにヴォーカルが入っていると、曲を繋いだ、というのがすごく印象に残ってしまうので、一部、インパクトをつけたい部分にだけヴォーカルを入れるようにしたほうがいいんじゃないかな?という気もしました。


テストスケート、こちらのチャンネルに全カテゴリー、全選手が収録されています。ジャッジ側からの撮影で音声も画質も良いです。
ただ選手名がキリル文字表記なので、練習着の選手はわかりづらいかもしれませんが・・・

ロシアンテストスケート演技集


今週末にはサマーラでロシアンカップ(ロシア国内で行われるGPSのようなもの)が行われ、このテストスケートに参加した選手の一部もエントリーしているので、衣装込みでは初披露、となる選手もいるかと思います。楽しみですね!






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プロフィール

Dora Quadski

Author:Dora Quadski
確かにフィギュアはジャンプだけじゃないですが・・・でも、やっぱりジャンパー・タイプのスケーターが好きです。
最近応援しているのは、ロシアのセルゲイ・ヴォロノフと、2009年に国別で来日した際に惚れ込んだコンスタンチン・メンショフです。
日本では小塚崇彦君、町田樹君を絶賛応援中!
 
他に、 『スター・トレック』(特にTOS 、TNG)も大好きです。
中でも、P・スチュワート扮するピカード艦長の大ファンです。もちろん、P・スチュワート自身も!
ただ、性格的にはヴァルカンに憧れるクリンゴンって感じかな(笑)ウォーフとサレックに惚れてますw。

そうです、わたしはトレッキー&シャーロッキアンなのです(笑)

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